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【連茉小説】「み぀ばち奇想曲カプリヌス」第十䞉話

    みなずせ はる

     この孊院に入っおすぐに分かったこずがある。それは、薫が孊院の生埒の䞭でも「栌別」ずいうこずだ。入孊する前は、圌女ず同じ孊校に入りさえすれば、孊幎は違っおいおも自由に話せるず思っおいたのだが、生埒䌚長の圌女は、ただの䞀生埒が気軜に話しかけられるような存圚ではなかった。
     生埒䌚は、䜕もかもが「特別」だった。生埒䌚メンバヌは党員が金刺繍の校章を巊胞に持ち、寮も教宀も他の生埒ずは区別され、「ランテルヌ塔」ず呌ばれる独立した建物で日々を過ごしおいる。生埒䌚を構成するメンバヌの孊幎は本来ばらばらであるが、「ひず぀のクラス」ずしお認められおいるため、他の生埒ず授業に参加するこずも、食堂で食事を共にするこずもない。他の生埒たちが唯䞀圌女たちに䌚えるのは、入孊匏や卒業匏、党䜓朝瀌などの特別な時だけで、生埒䌚長である薫に぀いおは、壇䞊にいる圌女の姿を遠くから眺めるこずができるだけだ。䞀般の生埒が話かけるチャンスなど皆無に等しかった。
     䞀幎半前、街䞭のファッションビルで偶然に圌女ず出䌚い、ベンチに座っお蚀葉を亀わしおいたこずが倢のようだ。癜雪が姿を消したこずをたず盞談したかった盞手は薫であったが、この環境がそれを蚱しおはくれなかった。
     ずころが、友梚が停孊凊分を受けたその翌日、思いもよらない事態が起きた。䞉接島薫をはじめずする生埒䌚メンバヌが、矎憂のクラスに突然珟れたのだ。
    「きゃあああ」
     普段は互いのこずに干枉せず、目線も合わさずに小さく埮笑み合うだけのクラスメむトたちが、この時ばかりは黄色い悲鳎を䞊げた。
     薫たちは、真っ盎ぐこちらに向かっおくる。
    「お久しぶりね。矎憂さん」
     名前を呌ぶ圌女は、倏だずいうのに盞倉わらずラトゥヌルの絵画のような癜い肌をしお、以前よりも曎に䌞びた黒髪が玲瓏たる矎しさを挂わせおいた。
    「薫さん  」
     名前を呌ばれた時に胞に蟌み䞊げおきたものは、喜びなのか、嬉しさなのか、切なさなのか。続く蚀葉が声にならない。感情が溢れお蚀葉が出おこないずいう初めおの経隓だった。
    「薫さた。生埒䌚の皆さたが、こんな堎所たでいかがなさいたしたか。䜕か倱瀌がございたしたでしょうか」
     ちゃんず返事をしない矎憂を芋かねお、さくらが薫に声を掛けた。
    「いいえ、そういうこずではないのよ。今日は倧切な甚があっお来たの」
     薫は、深い玫色の果実のような瞳を少しだけ朰しお、ふわりず埮笑む。
    「矎憂さん、おめでずう。今幎の『ドロシヌ』に、あなたが遞ばれたわ。倏䌑みから、䞀緒に劇のお皜叀を頑匵りたしょうね」
     薫のその蚀葉を合図に、薫のすぐ埌ろに立っおいた背の高いショヌトカットの生埒䌚メンバヌが教宀の隅たで響く倧きな拍手をした。するず、それに続くようにクラスメむトたちもぱらぱらず拍手をし始める。
    「ドロシヌ 䜕のこず」ず、さくらに芖線を向けるず、「信じられない」ず蚀った様子で目を芋開いたたたこちらを芋返しおいた。
     甚事を終えた薫ず生埒䌚メンバヌが教宀から去るず、さくらが「ドロシヌ」に぀いお教えおくれた。「ドロシヌ」ずは、秋に行われる「挔劇祭」で毎幎披露される、舞台『オズの魔法䜿い』の䞻人公のこずで、生埒䌚によっお遞ばれる出挔者の䞭でも「次期生埒䌚長候補」ずも蚀われる「ドロシヌ」圹は特に重芁な圹なのだずいう。
    「な、なんで、私  ⁉」
    「知らないわ 倖郚生が遞ばれるなんお、聞いたこずないもの。薫さたたちは、䞀䜓どういう぀もりなのかしら  」
     さくらず口をきくのは、実に二か月ぶりだった。保身を貫く圌女が、矎憂たちを避けおいたこずをすっかり忘れおしたうほど、それは倧きなニュヌスであったのだ。

     こうしお、矎憂は「挔劇祭」の出挔者、しかも「䞻圹」ずしお、倏䌑み以降、薫たち生埒䌚ず共に舞台『オズの魔法䜿い』の皜叀に携わるこずずなった。
     今幎の倏䌑みは、来幎の倏にパリに行くため、通垞の必芁課題ず䞍足単䜍を補うための「ドむツ語」ず「瀌法」のレポヌト制䜜に時間を割くはずだった。それに加えお芝居の䞻圹ずいう重芁任務を負うこずずなり、これから先の四十日間を想像するず眩暈めたいがする。
     それでも断らなかったのは、今回の舞台に参加すれば単䜍が取埗できるずいうメリットがあったこず、そしお、やっず䌚うこずのできた薫の圹に立ちたかったからだ。
     それに、『オズの魔法䜿い』には、癜雪に関わりのある人物が䜕人か配圹されおいる。この機䌚を逃すわけにはいかない。

    ぀づく


    🍀🐝第䞀話は、こちらから↓

    #創䜜倧賞2023

     
     
     
    20.8.18〜24.10.31 小説🖊メンバヌシップなど。珟圚は実生掻優先で時々noteに出珟。「私から芋えた瀟䌚をどう描くこずができるのか」が最近のテヌマ。最新小説は「螊る吠え声」。アむコンは秋月さん䜜。

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