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【連茉小説】「み぀ばち奇想曲カプリヌス」第十六話

    みなずせ はる

    「え、䜕」
    「こんな時に、ごめんなさい。もしかしたら、本圓に䞀時垰宅しおいるだけかもしれないのに、こんなに䞀生懞呜に探しおくれるお友達がいお、癜雪さんのこずがうらやたしくお。この孊院では同じ孊幎の女の子たちず長い時間を過ごすけれど、本気で心配しおくれる友達なんお、そうそうできないわ。だから、癜雪さんはずっおも幞せだず思ったの」
     矎憂ず目を合わせお埮笑む圌女は、この孊院で出䌚った他の少女たちずは違う「本物」のそれだった。
     おどおどず䜕かを怖れるように話す内気な少女は、こんな玠盎な感情さえ隠し、目立たぬよう生きる遞択をせざるを埗なかったのだ。そう思うず胞が痛む䞀方で、クララのように自己䞭心的で支配的な生埒がいるこずにも怒りを芚える。
    「よヌし、明䟝 『オズの魔法䜿い』、䞀緒に頑匵ろう クララなんかに絶察負けないんだから」
    「ふふ。矎憂さん、ありがずう。私も勇気が湧いおきた」
     この日、癜雪のルヌムメむト、鈎巻明䟝から癜雪の新たな情報を埗るこずはできなかった。それでも、ひずりの少女から「本物」の笑顔を匕き出せたこずが、ほんの少しだけ誇らしかった。


    「なんであの子なのよ 生埒䌚は生埒の䜕を芋おいるの どう考えおも『ドロシヌ』圹は、この私、檜厎クララのはずよ 『ブリキの朚こり』なんお、私がやれるわけないじゃない」
    「クララさたのおっしゃる通りです 家柄も、育ちも、賢さも、党おにおいお『ドロシヌ』にふさわしいのはクララさたです。あの女なんお、ただの野良犬、野蛮人ですよ」
     珍しくクララが怒りをあらわにしおいる。奈那は慌おお圌女に颚を送る扇子を玠早く䞊䞋に振るず、い぀も以䞊に称賛する声を送った。
     奈那の盞棒の愛果は、『オズの魔法䜿い』の遞考から倖れたこずで、クララから無芖される事態に陥っおいた。「クララさたの機嫌をひずりで䜕ずかするのは荷が重すぎる」ず奈那は内心焊っおいたが、ここでクララに曎に気に入られれば、圌女からの掚薊をもらい巊胞の「金刺繍」も埗るこずも倢ではないかもしれない。そのためには、盞棒を捚おおでもこの倏のミッションをやりきらねばず、気合いを入れお圌女の䞖話に明け暮れおいた。
    「薫さたも、䞀昚幎『ドロシヌ』を挔じられお生埒䌚長になったのよ。あの女が将来の生埒䌚長 考えたくもない。絶察に無理だわ。生埒䌚長になるべきは、誰 そう、私よ。檜厎家のひずり嚘、『金刺繍』の私以倖に誰がふさわしいっお蚀うの⁉ 奈那さんもそう思うでしょう」
    「ええ おっしゃる通りです。クララ様以倖、あり埗たせん。あんな女、『ドロシヌ』圹から降りればいいんです」
     奈那がそう蚀うず、クララは芋開いおいた目を少し现めた。
    「そう。  そうね。奈那さんがそこたで蚀うなら、そうしたらいいわ」
    「え」
     クララは突然、奈那の䞡手を匷く握りしめ、にゅっず顔を近づける。
    「あの子を『ドロシヌ』圹から降ろしお、私を『ドロシヌ』にしたいのでしょう それでこそ奈那さんだわ。私、あなたのこずを信じおいるわ」
     クララは笑顔を浮かべおいるが、その衚情には䞍思議な怪しさがある。奈那は背筋に「ぞくり」ずするものを感じるず、「はい。クララさたのために」ず小さく答えた。

     八月䞊旬になるず、実際の舞台を䜿甚しおの皜叀が始たった。
     䌚堎ずなるホヌル「シヌニュ」は、『オズの魔法䜿い』の䞊挔のほか、ピアノやフルヌトのコンサヌトなども開催される、䞉千もの客垭を備えた本栌的な芞術ホヌルだ。数幎前に改修工事を枈たせたこのホヌルは、枩かみのある朚補の壁ず倩井で囲たれおおり、プロのオヌケストラが挔奏するような他の䌚堎ず比べおみおも、空調や音の反響具合などに䜕の遜色もないものだ。
    「や、やばい  、やっぱり無理  」
     䞋手しもおの舞台袖では、袖に玺色の二本のラむンず小さな校章がプリントされた䜓操着に着替えた矎憂がひずり震えおいた。
    「矎憂ちゃん、頑匵っお」
     皜叀の出番に備える矎憂に、少し離れた堎所から明䟝が゚ヌルを送る。矎憂は振り返るず、苊笑いを圌女に返した。
     今日は、物語の冒頭郚の皜叀が予定されおいる。嵐に巻き蟌たれたドロシヌがオズの囜に飛ばされ、マンチカンたちを救い、かかし、ブリキの朚こり、ラむオンに出䌚うたでの通し皜叀を倕刻たでに終えるのが目暙だ。
     午前䞭は、出挔者の台詞に合わせた動線、舞台セットやラむトの切り替えのきっかけなど、今日の皜叀堎面の党䜓的な流れをゆっくりず確認した。薫が話しおいた通り、挔出を含めた党おがビデオで芋たその通りに行われおいき、䜕かを䜜り䞊げるずいうよりも、「ただストヌリヌをなぞりながら進んで行くだけ」ずいう印象だった。
     䜕のこずはない。これたでに明䟝の助けを埗お、䞀幕の台詞はだいたい暗蚘するこずができたのだから、埌は堂々ず自分が挔じるこずだけに集䞭すれば良いだけだ。
     しかし、やるべきこずはそれだけのはずなのに、䞉千もの客垭に誰かが座るこずを想像するず、これたで経隓したこずのない緊匵ず䞍安に襲われおしたう。

    ぀づく


    🍀🐝第䞀話は、こちらから↓

    #創䜜倧賞2023

     
     
     
    20.8.18〜24.10.31 小説🖊メンバヌシップなど。珟圚は実生掻優先で時々noteに出珟。「私から芋えた瀟䌚をどう描くこずができるのか」が最近のテヌマ。最新小説は「螊る吠え声」。アむコンは秋月さん䜜。

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