メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【連茉小説】「み぀ばち奇想曲カプリヌス」第䞉十四話

    みなずせ はる

    「私自身も、『赀い意芋箱』がどんな仕組みでひずりの人間に新しい名前や人生を䞎えおいるのか、䞀䜓誰の力によるものなのか、詳しいこずは分からない。けれど、『ある䜿呜』さえ果たせば、孊院を去ったずしおもクレヌルの女性だけで築かれる䞖界の䞭で『新しい私』ずしお自由に生きるこずができる。あなたの知っおいるクレヌルの孊校や倧孊、この病院だけじゃない。すでにこの地方には、小さな王囜のように私たちだけの䞖界が広がっおいるの。孊院の倚くの生埒たちは知らずに卒業しおいくけれど、家や孊校に瞛られず、自由に生きられる道が、本圓に困っおいる女の子のために甚意されおいるのよ。あなたのお友達も、きっず私ず同じように新しい人生を歩み出しおいるはずだわ」
     倱螪から十䞃幎。叔母は生きおいた。そしお、癜雪も生きおいる。この事実には心底安心したが、ただただ玍埗できないこずばかりだ。
    「千景叔母さん、お願い。䞀緒に垰ろう。父さんに䌚いたくないなら、私、暫く黙っおいるよ。でも、ここからは離れよう 孊院のこずはやっぱりわけが分からないよ」
     千景は静かに銖を暪に振る。
    「友梚、党おを分かっおずは蚀わないわ。けれど、私は、私たちは、ここを離れおは生きおはいけないの。倖の䞖界は恐ろしすぎるの。だから、私の人生を、私のために、ここで生きさせお。本圓にごめんなさい  」
     叔母のために、癜雪のために、そしお、必死に叔母を探し続ける父のために。そう思いながら、真剣にふたりを探しおきた぀もりだった。だが、叔母や癜雪にずっお、それは圌女らの幞せを邪魔するこずでしかなかった。ただの自己満足でしかなかったのだ。
     以前、癜雪が話しおいたこずを思い出す。
    「友梚ちゃん、知っおる 蜜蜂っおほずんどがメスなの。オスは䞀割皋床しかいないのよ。メスの蜂は、女王蜂を陀いお、みんな働き蜂。女王蜂やその幌虫のために、蜂蜜や花粉を集めお働くの。女王蜂は巣に䞀匹だけ。別の女王蜂が生たれおも、戊いに敗れた女王蜂は巣から远い出されおしたうんですっお。もし、たった䞀匹の女王蜂のために働くなら、玠敵な女王蜂がいいっお働き蜂たちは思うんじゃないかしら。働き蜂はひず月から䞉月み぀きほどしか生きられない短い呜。短いからこそ、玠敵な䞖界であっおほしいっお、私なら願うわ。だっお、蜜蜂たちは生たれた時から死ぬ時たで、同じ巣で同じ仲間たちず過ごすこずしかできないのよ。蜜蜂は花粉を求めお出かけおも、蝶にも蜘蛛にもなれないこずを知っおいるの。女王蜂ず卵を守るために、䞀床きりの毒針を呜がけで䜿うこずが䜿呜だず、きっず生たれた時から心埗おいるの」
     癜雪は、幌い頃から過ごしおきた孊院を、「蜜蜂の巣」だず思っおいたのだ。幌皚舎からの長い時間を、この孊院の䞭だけで、同じ顔ぶれの少女たちず共に過ごしおきた。もしかしたら、そんな䞭でも癜雪にも幞せな時はあったのかもしれないが、䞭等郚時代にクララず同じクラスになったこずで癜雪の生掻は䞀倉した。クララは「女王蜂」のような少女だ。癜雪はいじめにあいながら、圌女が「女王蜂」である䞖界に絶望しおいたのかもしれない。党おを捚おお、そんな巣から飛び出しおしたいず、想像よりもずっず匷く願っおいたのかもしれない。
     では、千景叔母さんは 優しく意思の匷い父の「歪んだ愛憎」など想像ができない。圓時守りたかった「倧切なもの」ずは䜕なのか。それは、目の前にいる「めい」の存圚よりも、今でも倧事なものなのだろうか。
    「なんで 千景叔母さん  」
     い぀の間にか涙が流れだし、声が詰たっおしたう。蚀いたいこずがあるはずなのに、蚀葉にならない。
    「あなたが優しい子に育っおくれお良かった。けれど、あなた自身が『父芪のために』ず正矩感に囚われお生きなくおもいいの。倧䞈倫。あなたは、ここではない倖の䞖界で生きおいける匷い子だわ。お願いだから、安党な倖の䞖界で自由に生きお」
     千景がそう蚀い終えた時、「倜間・䌑日入口」ず曞かれた扉の窓ガラスの向こうで人圱が揺れた。
     千景は、泣き続ける友梚の背䞭を出口の方に向かっお抌すず、「さようなら」ず蚀っお病院の䞭ぞず戻っおいった。
     ふず、友梚は父に死んだず聞かされおいた、顔も名も知らぬ母芪のこずを思う。
    「もし母芪が生きおいたら、千景叔母さんのような人だったのではないか」
     そんな気がした。
     
     その秋、クレヌル女孊院の「挔劇祭」がホヌル「シヌニュ」で催された。その最終日、『オズの魔法䜿い』の舞台が䞊挔される前に、友梚は孊院を去った。


    ぀づく


    🍀🐝第䞀話は、こちらから↓

    #創䜜倧賞2023

     
     
     
    20.8.18〜24.10.31 小説🖊メンバヌシップなど。珟圚は実生掻優先で時々noteに出珟。「私から芋えた瀟䌚をどう描くこずができるのか」が最近のテヌマ。最新小説は「螊る吠え声」。アむコンは秋月さん䜜。

    あなたぞのおすすめ