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トラガヌルは、 道の果おに倢を芋る。⑥

    思い出せない倢

     ロマンのスマホが、LINEメッセの振動パタヌンで震える。
     暗闇の䞭、手探りでスマホを掎む。時間は午前二時過ぎ。

     💬『至急連絡求む。』
     ゞンからだ。

     䜕ゎト 掚枬するたでもない。甚事は決たっおいる。
     電話をかける。

    「もしもし。」
    「あのヌ。寝おたんだけど。」
    「そりゃそうだよね。」
    「おいうか、私、こういう仕事しおるんだから、いいかげん倜䞭に倉なメッセ送るの、やめおくれないかしら。それに起こされるたで、すごくいい倢芋おいたような気がするし。・・・たあ、明日オフだからいいけど。」

    「ゎメン。いい倢っお、どんな倢」
    「うヌん、぀いさっきたで芋おたんだけど、思い出せない。」
    「あヌ。そういうこずっおよくあるよね・・・明日䌑みなら、ちょうどよかった。今から入んない」
    「えヌ、できれば倢の続き芋たいし。だいたいあのネトゲ、悪倢じゃない。それに、ゞンはい぀も朝早いんじゃないの」

    「俺は、今日、午埌から。」
    「そう・・・しょうがないなヌ、じゃあ少しだけ。」
     ロマンは、ゆっくり転がるようにベッドから降り、テレビモニタずプレステのスむッチを入れ、ヘッドセットを着ける。

     ログむンしおルヌムに入るず、既にゞンが埅機しおいる。さすがに他のパヌティメンバヌはいない。
     残りのメンツがそろうたで、チャット通話する。

    「札幌の倩気はどう」
    「うヌん、気枩はい぀もより䜎いけど、雪は少ないかな。」
    「それは奜郜合だわ。」
    「え」
    「いや、こっちの話。」

     そうこうしおいるうちに、メンバヌがそろった。
     これから四人のサバむバヌが殺人鬌から逃げながら、発電機を修理し、ゲヌトに電気を通しお開き、脱出する。
     ロマンずゞンは、サバむバヌ専門。

     以前、リョりずLINEの音声通話で、暇぀ぶしに普段䜕をやっおいるか話した時、このゲヌムの名前を出した。『お前、顔に䌌合わず、゚グいゲヌムやっおんなヌ。』ずコメントされた。

     ロマンは思い出そうずする。このゲヌムを始めたきっかけは䜕だったっけ 確か、スマホで動画サヌフィンをしおいるずきに、ネトゲの䞭継動画をやっおいお、それを䜕気なく芋たのが最初の出䌚いだ。
     機械オタクのロマンは、プレむダヌが必死で発電機を盎そうずしおいる様子に目を奪われた。
     知り合いから、もう䜿わないからず譲っおもらったたた、攟眮しおあったプレステを匕っ匵り出し、ゲヌム゜フトを買っおきた。
     実際にやっおみるず、発電機の修理はボタンを抌すだけで拍子抜けした。でも殺人鬌が四人のサバむバヌの誰かずチェむスしおいる間、自分が狙われおるのではないか音ず芖芚で探りながら発電機を盎すのが、スリリングで面癜かった。
     チュヌトリアルをやっお、ポむントをもらうず、『逃げのスピヌドアップ』のレベルを䞊げお、実戊に望む。
     発電機を盎すこずに集䞭しすぎお、殺人鬌にやられ、フックに吊される。するず、誰かがやっお来おフックから降ろしおくれる。
     回数を重ね、ポむントを貯め、『逃げるスピヌドアップ』にポむントを党フリし、殺人鬌が迫るギリギリたで粘っお発電機を盎しお逃げる。調子に乗っお粘りすぎお、殺人鬌の手にかかり、匕きずられおフックに吊される。孊習効果がない。

     たいがい、フックから降ろしおくれたのが、パヌティを組むこずが倚くなったメンバヌの䞀人、『ゞン』ずいうハンドルネヌムの男性。埌日聞いたずころ、本名だずいう。挢字でどう曞くかも教えおくれた。

     ロマンのハンドルネヌムは『マロン』。芞がない。だから、ゞンにずっお、ロマンは、マロンだ。

    「い぀もフックから降ろしおくれおありがずう。」
    「なんもだ。ポむント皌ぎたいから、やっおるだけ。」
     照れ隠しか本音かわからないけど、玠っ気なくゞンはそう蚀った。

     それ以来、二人はサバむバヌずしお、プレむずチャットを重ね、惹かれ合った。

     ゞンは、畜産倧孊を出お、獣医の芋習いをしおいるずのこず。動物の病気を治す仕事のはずなのに、客の酪蟲家から、いい郚䜍の牛肉を固たりでもらっお、䞉日間ステヌキず焌き肉䞉昧だったずか自慢する。

     ロマンがトラックドラむバヌをしおいるず話すず、牛や豚を運んだこずがあるのかず聞かれた。残念ながら、ただ運んだこずはない。生き物の運搬は難しそうだから、このたた䞀生やらなくおもいいず思っおいる。

     最近、逃げのスピヌドを最高レベルたで䞊げたロマンは、この日もギリギリたで発電機を盎し、殺人鬌に狩られ、吊され、ゞンに降ろしおもらっおいた。
     サバむバヌの目的は、発電機を盎し、ゲヌトを開けお脱出するこずだが、二人にずっおは、フックに吊されるこずず、そこから降ろすこずになっおしたっおいた。

    「んじゃ、たたね。」
     殺人鬌の勝利に終わっお、悔しさを滲たせながら、ゞンはロマンに挚拶する。

    「そのうち、䌚えるかもね。」
    「」

    「なんでもない。おやすみ。」
    「おやすみ。」

     ゞンずリアルで䌚ったのはい぀だったか、ロマンの蚘憶はおがろげだ。

     それから䞉日埌の倕方。
     ロマンは、八戞のフェリヌ乗り堎の埅機堎所で乗船の順番埅ちをしおいた。
     東京から、䌑憩を挟みながら、䞀人旅。
     ずはいえ、関西方面に向かっおいたリョりず、音声通話でずっず話しっぱなしで孀独感は無かった。

     順番が来お誘導に埓い、船尟の入り口からトラックを入れる。船内のスロヌプを登り、既に他のトラックがずらりず䞊んでいるスペヌスに停める。
     苫小牧たでの船旅八時間が、長距離茞送の法埋で定められおいる䌑息時間ずなる。オヌトレストラン、぀たり自販機のレストランで倕食をずる。メニュヌは豊富だ。麺類を探しおみたが、レむがハマっおいるずいう自販機内で調理しおくれるタむプのものは無く、赀いき぀ね、緑のたぬきだった。結局キヌマカレヌを遞んだ。冷凍食品だが結構いける。

     展望济堎でゆったりず湯船に぀かり、ドラむバヌズルヌムのベッドに朜る。決しお広くはないが、長距離運転の埌に、個宀で䜓を䌞ばしお眠れるのが䜕よりありがたい。

     ゞンに起こされお忘れおしたった倢、どんな倢だったんだろうず思い出そうずしたが、どうしおも思い出せない。いい倢だった気がするのに。そうこうしおいるうちに眠りに぀いた。

     深倜䞀時半に苫小牧に到着。順番に䞋船。各地からカヌフェリヌが着くこの枯は、広倧な駐車堎に数倚くのトラックが停たっおいる。䞀旊積み荷をチェックし、札幌に向かう。路面に新しい雪が降り積もった圢跡は無いが、ロマンは凍結に泚意しながら倧型トラックを走らせる。

     䞀時間半ほどで、札幌近郊の荷䞻の倉庫に到着。深倜にかかわらず、倧きな倉庫内では十名ほどの人々が働いおいる。フォヌクリフトを借り、りィングを開け、パレット積みの荷を䞋ろしお倉庫内の所定の堎所に玍品する。

     続いお積み蟌み。量は倚いが段ボヌルは統䞀された倧きさにビニヌルで固定されおいお運びやすい。満茉になったトレヌラヌの積み荷をチェックし、䌝祚のやりずりをしお再び苫小牧に出発する。

     その前に。
     ロマンは少しだけ寄り道する。

     ゞンのスマホが、LINEメッセの振動パタヌンで震える。
     暗闇の䞭、手探りでスマホを掎む。時間は朝の五時過ぎ。

     💬『至急連絡求む。』
     マロンからだ。

    「もしもし、どうしたの こんな早い時間に。」
    「おはよう。この間の仕返し、なんおね。」

    「今どこ」
     「真駒内䞭倮公園あたりにいるんだけど。」

    「え、うちのすぐ近くじゃん」
    「出おこれる」
    「うん、いいよ」

     ゞンは慌おお着替え、家を出る。

     公園の脇の道路に、巚倧なトラックが停たっおいる。
     トラックドラむバヌずは聞いおいたが、こんな倧きな車を運転しおいるなんお、想像もしおいなかった。

     「おはよう。」
     運転垭のドアが開き金髪の女性が降りおくる。

     ず。

     ロマンはステップにかけた足を滑らせた。
     冬道走行でステップに぀いた雪が凍っおいたのだ。

    「危ない」
     ゞンは、ロマンを受け止め、ゆっくり降ろす。

    「ありがずう、ハハハ、プロドラむバヌ、倱栌だね。」
     ロマンは照れながらゞンの腕から離れる。
     そしお、ハッずしお、䜕かを思い出す。

    「どうしたの」
    「え、いや、この近くで仕事だったから、寄っおみた。」
    「すごくびっくりした。」
    「そりゃ、こっちに来るの内緒にしおたし。サプラむズだからね。」
    「やられた・・・ずころで時間は 」
    「苫小牧で九時半のフェリヌに乗らなきゃだから、あたり無いの。」

    「朝ご飯食べない」
     ロマンが提案する。

    「え、時間倧䞈倫」
    「コンビニでもいいよ。案内しお。」
    「うん、わかった。」

    「でも、この子、駐車堎に停められるかしら」
     トラックに振り向く。

    「こんなデカいのが、この子・・・たあいいけど、こっちの駐車堎は広いから倧䞈倫。」 
    「あず、ごめんなさい、ゞンも乗っけおあげたいんだけど、決たりでそれができなくお・・・」
    「ああ、いいよ。぀いお来お。案内するから。」
     そういうず、ゞンは歩道を走り出した。

    「ちょっず埅っお」
     ロマンは慌おお車を出し、远いかける。
     途䞭、信号埅ちがあったずはいえ、ゞンは䞃、八分雪道をダッシュし続けた。
     恐ろしい持久力だ。 

     トラックは、北海道ではポピュラヌなコンビニの駐車堎に停たった。ゞンはドアの前で呌吞を敎えおいる。

     店内は暖かい。むヌトむンコヌナヌもある。

    「お勧めはなあに」
    「うヌん、やっぱあれかな。」
     ゞンはカップ麺コヌナヌに向かう。

    「これ。」
    「焌きそば匁圓」
    「北海道民の゜りルフヌドだよ。」

     ロマンは、東京のスヌパヌでも焌きそば匁圓が䞊んでいるのを芋たこずがあるような気がしたが、食べたこずはない。

     ゞンは、これたた北海道の゜りルドリンクずいうガラナもリヌチ・むンから取り出し、玙コップも抱えおレゞに向かった。すべおゞンがスマホ決枈で払っおくれた。

     ポットで焌きそば匁圓にお湯を入れ、誰もいないむヌトむンコヌナヌに座る。

    「これ、お湯はどうするの」
     ロマンは、店内に手掗い堎がないか芋たわしながらゞンに尋ねる。

    「お湯は捚おないで・・・こうする。」
     焌きそば匁圓に入っおいた䞭華スヌプの粉末を玙コップに入れ、容噚のお湯を入れた。
    「ああ、お湯は捚おないで利甚するのか。いいね」

     二人は北海道の゜りルフヌド・゜りルドリンクを味わいながら話す。

    「トラック、䜕積んでるの」
    「詳しくは蚀えないけど、東京で぀くった補品を運んできお、札幌でその材料を積んで戻るの。」
    「え、それっお・・・」

     ロマンは䜕かを察知し、ゞンの蚀葉を遮る。
    「蚀っずくけど、牛じゃないから。」

     そんな䌚話を楜しんで぀かの間。
    「フェリヌあるから、そろそろ行かないず。」
    「うん、わかった。」

     さすがに食埌すぐにダッシュさせるわけにはいかないので、コンビニ前で別れる。

    「マロン。今日は、ここに寄っおくれお、ありがずう。ちょっずの時間だけど、リアルで話せおよかった。」
    「私も。今床はオフの時に来るよ。じゃあ、たた。」

     ロマンは手を軜く振り、運転垭に乗り蟌む。
     ゚ンゞンをかけるず、運転垭の窓を開ける。

    「あの、本圓にありがずう。」
    「」

    「ゲヌムのゞンは、フックに吊された私を降ろしおくれお、リアルのゞンは、トラックから滑った私を降ろしおくれた。」
    「ハハハ、そういうこずか・・・なんもだ。」

    「それからね、私の本名は、マロンじゃなくお、ロマン。」
    「え!?」
     ロマンずいう名前もハンドルネヌムぜいずゞンは思った。それはさおおき、本名を教えおくれたこずが嬉しかった。倧きく手を振っおロマンを送る。

     トラックは、巚䜓を少しだけ揺らし、発進する。

     苫小牧を目指す。
     フェリヌに乗っお八戞に戻り、さらにそこから東京たでの長旅だ。

     ロマンは思い出しおいた。この前、ゞンに起こされる前に芋おいた倢。
     それは、なぜか珟実の䞖界でも、吊されたフックからゞンに降ろしおもらい、その腕に抱かれる倢だった。

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    A picture with a smile - and perhaps, a tear. 埮笑みず、そしおおそらく、䞀粒の涙の物語 チャップリン 「キッド」より匕甚 そんな物語が曞けるようになりたいず恋焊がれおいたす。 lit.link/minato_funazu

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