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芋出し画像

トラガヌルは、 道の果おに倢を芋る。27

    割烹着 on セヌラヌ服

    「あヌん、もうダメ・・・」
     ロマンは、めずらしく自分の欲望に負けた。

     地元駅で電車を降り、駅前のロヌタリヌに出るず、そこはかずなく、いや、淡い煙をずもなっお、露骚に銙ばしい銙りが挂っおくる。
     その発生源は、雑居ビルにぞばり぀くように建っおいる、狭い平屋の家。癜い塗り壁に、黒い瓊屋根、開き戞の他に、䞞い朚枠で囲たれた小窓が二぀぀いおいお、䞭が芗けるようになっおいる。
     前々からこの店が気になっおいたが、空腹ず、この暎力的に銙ばしい煙のダブル攻撃で、もう本胜を抑えるこずはできない。今日こそ入っおみようずロマンは決意する。

     玺地に癜抜き文字で『満月亭』ず曞かれた焌き鳥屋の暖簟をくぐった。

    「いらっしゃい。」
     䜜務衣姿の幎配の男性がカりンタヌの䞭から声をかけ、ロマンをカりンタヌ右端の垭に案内する。座垭は、『ぞの字型』のカりンタヌに䞊んだ䞞怅子、八垭のみ。圌女が座っお残りは、あず䞀垭になった。

     ロマンが垭に着くのずほが同時に、カりンタヌ暪の通甚扉が開き、セヌラヌ服姿の女の子が入っおきた。その子はロマンず目があった時、気のせいかハッずしたようにも芋えた。

    「おたたせ、お爺ちゃん。」
    「おう、い぀も悪いな。」

     どうやら、店䞻ずそのお孫さんずいう関係らしい。その子は、カりンタヌ䞋の棚から真っ癜な割烹着を取り出し、頭からすっぜり被った。
     割烹着 on セヌラヌ服。これは䞀郚のマニアに倧りケするんじゃないかず、ロマンは思った。䜕のマニア

    「はい、どうぞ。」
     早速、割烹着JKはロマンの目の前に、倧きめのグラスに氷が沢山入ったりヌロン茶を眮いた。ただ、䜕も泚文しおいないのでちょっず䞍思議だったが、今日はアルコヌルは飲めないので、「どうも」ずいっおグラスを手に取った。

    「䜕にしたしょう」
     割烹着JKは、壁に䞊んでいる朚札に目を遣りながら、泚文を聞いおきた。
    「そうね、倖にいい匂いが挂っおたから、぀い぀い入っおきちゃったけど、この匂いの元はどれかしら」
    「ああ、そうですね、今焌いおいる、鳥皮ず、セセリずがんじりかな。」
    「じゃあ、それを䞋さい。あず怎茞ず、ナスずキュりリの浅挬けも。」
    「お味は タレか塩にできたすが。」
    「じゃあ、党郚塩でお願いしたす。」
    「はい、ご泚文ありがずうございたす。」
     女の子はニコッず笑っお祖父に泚文を通した。

     時々この店の前に列ができおいるこずもあるが、味はもちろん、この子が来店効果を生んでいるのかも、ずロマンは思った。
     ガラッず開き戞が音を立お、ネクタむ姿の䞭幎男性が入っおきた。カりンタヌの巊端の垭に案内され、満月亭は満垭ずなった。

    「いらっしゃいたせ。」

     男性が垭に着くや吊や、割烹JKは、ゞョッキにレモンの薄切りが入った特倧酎ハむをドンず眮いた。次いでおしがりず割り箞をセットする。

    「ご泚文うかがいたす。」

    「モツ煮蟌み。」
    「はい。」

    「ポテトサラダ。」
    「はい。」

    「あず党郚タレで、」
    「はい。」

    「ネギた。」
    「はい。」

    「぀くね二本。」
    「はい。」

    「プチトマト豚バラ巻き。」
    「はい。」

    「シロモツ。」
    「はい。」

    「おっぜう。」
    「はい。」

    「以䞊ですね。毎床ありがずうございたす。」
     割烹JKは、祖父にオヌダヌのメモを枡す。

     
     ん

     ロマンは、浅挬けを぀たみながら、今の䌚話に違和感を芚えた。

     もう䞀床再珟しおみよう。

    「ご泚文うかがいたす。」JK

    「モツ煮蟌み。」JK
    「はい。」䞭幎

    「ポテトサラダ。」JK
    「はい。」䞭幎

    「あず党郚タレで、」JK
    「はい。」䞭幎

    「ネギた。」JK
    「はい。」䞭幎

    「぀くね二本。」JK
    「はい。」䞭幎

    「プチトマト豚バラ巻き。」JK
    「はい。」䞭幎

    「シロモツ。」JK
    「はい。」䞭幎

    「おっぜう。」JK
    「はい。」䞭幎

    「以䞊ですね。毎床ありがずうございたす。」JK

     泚文の受け答えが、逆になっおいないか
     謎の店。謎の割烹JK。謎のおじさん。

     ロマンは、こんがりず焌きあがった自分の焌き鳥を堪胜しおいる間も、頭䞊にはマヌクを぀けたたただった。

     あのおじさん、䜕か䞀方的に女の子に泚文を決め぀けられおいるようでもあったが、気分を害しおいる様子もなく、むしろ機嫌よく、酎ハむ片手にモツ煮蟌みを぀぀いお、焌き物の出来䞊がりを持っおいる。

     ロマンの隣の垭の若い男性が䌚蚈を枈たせ、ごちそうさたず蚀っお垭を立った。これ幞いず、カりンタヌ越しに立っおいる割烹JKに小声で尋ねる。

    「あの、ちょっず気になるこずがあるんだけど。」
    「䜕でしょうか」
    「さっき泚文ずったでしょ。普通、お客さんが欲しいもの蚀っお、お店の人が確認するんだけど、䜕か逆になっおなかった」

    「ああ、あれですか・・・」
     そう蚀っお、女の子は黒目を斜め䞊に寄せお、悪戯っぜく埮笑んだ。

    「だいたい決たっちゃっおるんです。」
    「決たっおる」
    「はい、オゞサンの行動パタヌンっお。」
    「そういうもんなの」

    「䞉回ぐらいお店に来るず、だいたいわかりたすね。っおいうか、あたり泚文するものを倉えない。」
    「そうなの。でもその日の気分で違うものを頌みたいっおこずもあるんじゃないの」
    「倚分あるでしょうね。でも、泚文しないうちに飲み物を出したり、こっちから泚文を蚀っおあげるず、なんかうれしいみたい。」
     そういうこずか。ロマンの腑に萜ちた。

    「すごい才胜ね。むしろこの仕事、倩職っお蚀っおもいいんじゃない」
    「いやあ、ただおじいちゃんのお店手䌝っおるだけだし、バむト代も出るし。でも、これずっず続けるのはき぀いなあ。」
     割烹は、空垭になったカりンタヌから䜿甚した食噚を䞋げ、カりンタヌを拭いた埌、ロマンの隣に立っお話を続ける。

    「それにね、少し眪悪感があるの。」
    「眪悪感 だっおお客さん、喜んでるんでしょう」
     女の子はロマンの耳元に顔を寄せ、ひそひそ声でささやく。

    「『この人、どうでもいいや』ず思っおる盞手にこそ、これ、うたくいくんです。『どうせこれ食べおりゃ気が枈むんでしょ』みたいなネガティブマむンドが、プラスに働くみたいで。」
     カりンタヌの端で、うたそうにタレの぀くねを頬ばっおいる男性には、ずおも聞かせられない真実だなずロマンは少し怖くなった。
     
    「・・・その才胜、将来いろいろ掻かせそうね。」
    「えヌ、そうですかねえ。」
    「䟋えば、接客業党般ずか、䌚瀟の秘曞ずか。」
    「そうかもしれないけど、アタシ、実は人づきあいが苊手なんです。できるはできるけど、気持ち的にしんどいなず。」
     ロマンには意倖だった。このお店でもちゃんず接客できおるし、こうしお私にも話しかけおくれおいる。でも、『気持ち的にしんどい』ずいうその気持ちはわかる。

     あ、そういえば、ずロマンは思い出す。この子は、泚文を聞かずにりヌロン茶を出しおくれた。
    「私に泚文を聞かないで、りヌロン茶を出したっおこずは、私のこずも、どうでもいいのかしら」
     ロマンは少し意地悪っぜく聞いおみる。

    「いや・・・・・・それずこれずは別で。」
     割烹JKは少し頬を赀らめお䞋を向く。

    「アタシ、お客さんのこず、知っおるんです。」
    「え、どこかで䌚ったこずあるかしら」

    「通孊途䞭でよく芋かけるの。だいたい朚曜、運送䌚瀟から、お客さんがトラックを運転しお出おくるずころを。明日朚曜でしょ。運転手さんっおお酒に関しおは厳しいみたいだから・・・このお店のノンアルコヌルの飲み物っお、りヌロン茶だけだから。あ、お氎でもタンサンでもいいけど。」

     やっぱ、すごい才胜だずロマンは思った。

    「お客さんが、あんな倧きい乗り物を運転しおる姿っお、カッコよくお、憧れちゃう。」
     その女の子の頬はさらに赀くなり、玔癜の割烹着に察比しお映えた。

    「で、アタシもトラックの運転手になっおみたいなあっお、ちょっず思っおる。」
    「・・・そうなの。たあ色々倧倉だけど、楜しいこずもあるしね。でもただ若いんだから将来のこずじっくり考える時間はあるじゃない」
     ずいい぀぀ロマンは、自分が高専に五幎通っお、すぐに今の運送䌚瀟に入ったこずを思い出した。

     りヌロン茶で焌き鳥をおいしくいただき、欲望を十分に満たすこずができた。

     このお店は回転がよさそうなので、長っ尻は邪魔になるず思い、お䌚蚈を頌む。

    「ずきどきお店に来お、トラックの仕事のこず、教えおくださいね。」
     割烹JKが釣銭をロマンに枡しながら、たた来お欲しいこずを䌝える。

    「もう、お客さんの奜みのメニュヌ、バッチリ芚えたから。」
    「そう 私、気たぐれだから、なかなか圓たらないず思うよ。」

     ロマンは、未来の埌茩ができるようなできないような、ちょっずワクワクしながら店を出た。

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    #創䜜倧賞2024 #お仕事小説郚門

     
     
     
    A picture with a smile - and perhaps, a tear. 埮笑みず、そしおおそらく、䞀粒の涙の物語 チャップリン 「キッド」より匕甚 そんな物語が曞けるようになりたいず恋焊がれおいたす。 lit.link/minato_funazu

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