
夫の正体|今夜も私がねだる──求められたい私は、そっとしまっておこう
うちにはルールがある。
夜誘うのは私の担当。
付き合っていた頃は、
毎日会っていたわけじゃなかったから、
ごく自然だった。
でも、一緒に暮らすようになって、
タイミングが分からなくなった。
彼は積極的に、
自分から誘うような人ではない。
なぜかと聞いても、また気持ちに蓋をする。
でも私は誘われたい、
必要とされる実感が欲しい。
二人の気持ちはすれ違った。
私はレスになるのが怖かった。
だってまだ私は、求められないと、
自分がわからなくなるから。
そして時々頭をよぎる。
私はあなたのために、
子どもを諦めたのよ、て。
子宮の病気のこともあり、
物理的に半年近くできなくなった。
また私たちは、
タイミングを見失ってしまった。
このままではいけない、
意を決して思いを伝える。
話し合って、
私から誘うことになった。
その代わり、
断らないで、と約束してもらった。
時々昔の夜を思い出してしまう。
激しく求められていた頃、
自分が女だという絶対の自信。
でも、穏やかな日々と引き換えに、
この気持ちは燃やしてしまおう。
そして彼には、頭の中の浅ましい記憶は、
見つからないようにしよう。
求められたいという欲求は、
どこかにそっとしまっておこう。
今夜も私がねだる。
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