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夫の正体|喧嘩の夜、彼は脱衣所で洗濯物を畳んでいた。



    それは喧嘩と呼べるだろうか。

    一方的に私が文句を言い、
    彼は殻に閉じこもった。

    どこに行くかと思ったら、
    自分のクローゼットの中で、
    体育座りをしていた。


    一人になりたくて。
    彼は言った。

    私はいたたまれなかった。

    私は言葉にできる。

    でも彼は飲み込んでしまう。

    どれくらい経っただろう。

    スマホを渡しに部屋を覗く。

    体育座りの次は狭い中で横になっていた。

    話しかけてもろくな返事もせず。


    彼を追い詰めてしまった。

    でも私は、
    何にこんなに腹を立てているのか、
    自分でもうまく説明できなかった。


    その後も脱衣所に閉じ籠り、
    何をしているかと思ったら、

    洗濯物を畳んでいた。

    こんな時まで律儀に、家事をこなす。

    彼の真面目さに感服した。

    私と顔を合わせたくなくて、
    リビングではなく、
    脱衣所で服を畳んでいた彼を想像する。

    どんな思いだったんだろう。

    そのあとシャワーを浴び、私の顔を全く見ず、
    寝支度をして布団に入っていった。

    こんな喧嘩ははじめてだった。

    その態度はいつまで続くの?

    私も辛いから聞いてみた。

    明日の朝まで。

    ぼそっと答えた。

    私は少し安心して、無理やり目を閉じた。

    眠れないかもしれない。

    それでも静かな夜を恐れながら眠りについた。


    私は言葉でぶつかる。

    彼は黙って閉じこもる。


    同じように傷ついているのに、
    傷つき方が違うだけだった。






    傷つき方が違うだけだった。

    私は言葉でぶつかる。
    彼は黙って閉じこもる。

    それでも少しずつ、
    同じ場所で生きる練習をしている。

    ▶︎ 夫の正体|彼の心の蓋が、少し開いた気がする

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    ▶︎ OSの女――母に作られ、暗闇を愛し、日常を夫と呼ぶまで|プロローグ


     
     
     
    「お前はダメだ」と言われて育った。 それでも選んで、選ばれた。 母、恋愛、夫婦、仕事——全部、繋がっている。 恋愛と自己理解、人が作られていく過程を書いています。 企業の採用支援、コミュニケーション講師をしています。

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