
【詩のような短編】風に手放せば叶います
風が吹く道を歩いていた
風に向かって歩いていた
スカートを抑えながら歩いていた
風上からはいろんなものが飛んでくる
桜の花びらが目も開けていられないほど
目にみえない大量のヒノキ花粉
新規開店のカフェのチラシ
誰かのつぶやき
誰かのなげき
誰かの希望
私は『希望』を両手で発止とつかまえた
瞬間スカートがふわっと広がってしまった
でも仕方ない
これはつかまえて
持ち主に届けてあげなければいけない
私は『希望』をスカートのポケットに入れ
またスカートを抑えながら歩いた
黄色い小鳥が飛んできて私の顔にはりついた
ああだいじょうぶ。
正確には「黄色い小鳥の絵のついたハンカチ」だから。
私は顔を振って顔から外そうとしたが無理だったので
またスカートから手を放す
これは片手で足りる
顔からはがして飛ばしてしまえ!
でも小鳥が云う
「希望のモチヌシ知ってます」
「ボクのカイヌシ」
私は少し考えて
小鳥を飛ばしてしまうのをやめた
「案内してちょうだい」
片手で小鳥のハンカチをひらひらさせて
片手でスカートを抑えて
風に向かって歩いて行った
ベンチに座る男子高校生のところまで。
「はい、ハンカチ」
私はまず小鳥を渡した。
ハンカチの中で小鳥は嬉しそうにパタパタした。
男子高校生は無造作にブレザーの内ポケットにねじ込んだ。
「次に『希望』。飛ばないようにしっかり握ってなくちゃ!」
男子は嫌な顔をした。
「やだね。
希望は握りしめてると叶わない。
手放しましょう!
って動画をみたんだ」
私はポケットから取り出したクシャクシャな「希望」を
ていねいに広げてみた。
【 可愛いガールフレンドがほしい 】
私は肩をすくめた
┐(´д`)┌ヤレヤレ
「いいわ。私がガールフレンドになってあげる」
私は彼の手を取ってベンチからひっぱりあげ
風が吹いている道をまた歩き出した
スカートがひらひらした。

*小牧幸助さんの企画に参加します
*欲張って🌸みんはい桜まつり2026🌸にも参加します