「また試合?」——母親100%じゃなくてもよかった日
昨日、私はテニスの団体戦に出ました。でも朝から、ずっと心が揺れていました。大学生の娘に言われた、たった一言で。
「また試合?」
家庭教師のアルバイトから帰ってきたばかりの娘と、今すぐにでも出かけなければならなかった私。そのタイミングで言われた一言でした。その瞬間、「私、ダメな母親なのかな」という気持ちが、すっと出てきました。
4人の子育てをしてきた私は、長い間、“母親100%“で生きてきました。
お弁当を3個、4個作っていた時期もありました。子供中心で動くのが当たり前。それが私の日常でした。大学生になっても、学校、部活、アルバイトと毎日一生懸命頑張って帰ってくる子供たちに、おいしいご飯を作って待っていてあげたい。それが母親というものだと、どこかで思っていたのです。
だから、「自分の人生を優先してはいけない」そんな感覚が、まだどこかに残っていたのだと思います。
それでも私は、試合の合間にスマホを握りしめ、わずか5分間のうちに怒涛のLINEを送り続けました。
娘からの返信は、一言でした。「昨日のパパのハンバーグ食べるよー」…
最初からそれでよかったんや。
実はそのハンバーグ、
パパがふるさと納税で送ってくれたものでした。
昨晩、
野菜と一緒に焼いて、
お皿に並べて冷蔵庫へ。
帰宅すると、
シンクのおけの中に、
お茶碗、お椀、お皿、小皿、コップ、お箸。
ああ、
ちゃんと食べたんだな。
それだけで、
十分でした。
離れて暮らすパパが送ってくれた食材が、
試合に出かけたお母さんの代わりに、
娘のお腹を満たしてくれた。
なんだかそれが、
おかしくて、
でもあたたかかった。
そんな気持ちで臨んだ団体戦。
結果は、チーム優勝でした。
そして優勝商品は、パックご飯10食分。
レンジでチンするだけで食べられる、あのお米です。
「また試合?」と言われた日に、私が持って帰ったのが、子供たちが一人で食べられるお米だったというのが、なんとも偶然すぎて笑えました。
炊飯器を買うか迷っていた東京の長男にも、同じお米を送りました。
一人暮らしには、
こういうのが結局いちばん助かる。
私が走って、
動いて、
試合をして、
自分の力で持って帰ってきたお米。
お金を稼いだわけじゃない。
でも、
主婦の私でも、
こんなふうに家族に何かを持って帰れる日があるんだなと思った。
夜、子供たちに報告しました。
次男はちょうど試験期間中で、友達と一緒に勉強中。
娘はもう部屋でベッドに入っていたので、LINEで報告しました。
次男に報告すると「天才女かいな」「すごすごわろた!」「すごすぎ」と大喜び。

「また試合?」と言っていた娘からは、
「まじですごすぎる」と全力の祝福スタンプが。……と思ったら、パックご飯の写真を見た瞬間に、
「わろた」「ご飯なんだ」と冷静なツッコミ。
朝あんなに私を揺らした娘が、最後に笑ってくれた。
それが一番、うれしかったかもしれません。
夜中に送った報告に、
翌朝、長男から一言だけLINEが来ました。
「優勝おめでとう」
新しい土地で働く長男からの、
たった一言が、
じんわり嬉しかったです。
試合の帰り道、
「もう全部やらなくてもいいのかもしれないな」
そんなことを、
ぼんやり考えていました。
私が試合でもらって帰ったのは、
子供たちが自分で食べられるパックご飯10食分でした。
昔みたいに、
私が全部作らなくても、
今は自分で温めて食べていく。
なんだか、
今の私たち親子みたいだなと思って、
少し笑ってしまいました。
少し切なくて、
でもちょっと笑える。
そんな50代の日常を、
これからも書いていきます。