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短編小説「神様」 #note文芸部大賞2025


    去年の誕生日にもらった香水はもう半分になった。
    何かを読む時、何かを書く時におまじないのように髪にまとわせる。
    そうしたらなんだか上手く行きそうな気がして。

    自分の中に神様をつくりだすとすごくほっとする。
    それは神様からのプレゼントだった。
    ふとその香りがふわりと立ち上がるとあたしは大丈夫、と底知れない自信が湧いてきた。

    大丈夫、大丈夫なはずだった。
    だった、のに。

    日に日に溜まっていったお腹の中の小石たち。
    もういっぱいだこれ以上入れるなと胃袋は悲鳴を上げた。
    あたしはあたしを守るためについに神様を殺してしまった。
    鋭い刃を喉元につきつけて、掻っ切ってしまった。
    神様はあっけなく消えた。
    もともと、神様ではなかったのかもしれない。
    勝手にあたしが作りあげて、勝手に祀りあげて、挙句の果てに殺ってしまった。
    相手からしたらいい迷惑だろう。
    そんなことを望んではいなかったのかもしれない。
    同じ、人間として対等にいたかったのかもしれない。
    そればかりは、もうわからなくなってしまった。

    でも、あたしはまた、新たな神様を探している。
    今度は迂闊に近づかないようにしようと決めて。

    あ、あの子がいい。
    最近気になって仕方ないボブカットのかわいいアイドルのAちゃん。
    なんと偶然、Aちゃんもこの香水を使っているという。
    そしてそして、今日あたしの誕生日にAちゃんの新曲がでた。

    「これがわたしの使命だから」

    まさに、神様からのプレゼント。
    あたしのための歌だと思った。



    香水をふりかける。

    曲を流す。



    来年の誕生日まで、この香水はもつだろうか。


    #note文芸部大賞2025

     
     
     

    すぅ

     
     
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