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月の味【シロクマ文芸部】

    財布野紐ゆるみ

    月の味は、教え子を見守る先生のようなものだ。
    新月もあれば、満月もある。
    かたちをかえ、いつも見守ってくれている。

    いや、月の味は、遠くからそっと照らす灯り。
    そのひそやかな美しさの中にあると思う。

    ふたりとも、つまんない。
    おいしい、おいしくないって話だと思ったのに。
    月なんて、朝には隠れちゃって、猫みたいに気まぐれなものじゃない。

    まあ、そう言うな。
    兄妹三人で、こうして一緒に月を眺める。
    みんなで同じものを見て、同じ団子を食べて。
    これも、月の味と言えるんじゃないか。

    ——やっぱりつまんないよ。……お母さんが、いないもん。


    ……そうだな。母さんにも、見せてやりたかったな。
    だが、お前がそう思っていること、母さんもきっと喜んでいるさ。


    月の味って、誰かと分かち合えるところなのかな……。


    ……さあ、もう冷える。中に入ろう。



    ※以下「シロクマ文芸部」さまの企画に参加させていただきました。



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