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華のないふたり【アマノ文筆クラブ】

    財布野紐ゆるみ

    あー、しんど。こたえるなあ。

    しっ、見てみ。出てきたで。

    ほんまや。張った甲斐あったな。両脇のおばはんは? 奴の後援会の……。

    秘書と……バーのママさんちゃうか。

    ママのバーさんやろ、あれやと。結構いってるで年。

    まあでも、両手に花ってやつやな。

    花っていうても、仏さんの花やろ。

    ひどいこと言うたんなや。……ほら、次のポイント行くで。街頭場所、押さえられたら仕舞いや。

    演説、さっきので八十人てとこやな。団体票……まだ切ってへん感じや。

    県議ついてたな。こっちも誰か出さな、バランス悪い。

    次は駅前張るで。移動しよ。事務所へはライン飛ばしとくわ。

    ……この感じで、今日結果出せば、正式ポストも夢やないで。

    ……なあ。偉くなったら、楽できるんやろか?

    んなわけあらへん。楽したきゃトップ座らな。上あがっても、偉いわけちゃうし、身体がエラいだけやわ。

    ああ、風が、冷たいな……。

    実際、こんな地図上での陣取りゲームをやるために、働いてるわけちゃうのにな。

    広報のやつらは華があるよな。野戦もやらんでええし。

    でも、先輩は言うてたで。「印象に残りにくい」顔立ちは貴重やって。要は我々は才能あるねん、裏方の。それに、光が当たってりゃええってもんちゃうやろ。前に出てる分、影も濃くなるんやで。

    せやけど、裏方は、強いんは風当たりだけやからなあ。

    ほんま、ようやってるわ。……もう十年やもんな。ふたりとも。

    うちら、学生んころはもっと華あった気ぃせん?

    あったような、なかったような。

    ……もし、結婚して子供でも産んでたら、うちらもまた違ってたんかいね。

    泣きごと言う暇あるなら進もうや。風ん中やったら、涙目でもバレへんで。


    ※以下の企画に参加させていただきました。


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