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絵も、写真も【創作】

    財布野紐ゆるみ

    五年生の文集が、ようやくできあがった。
    みんなの作品が冊子になって、名前の横に、先生の字でちょっとしたコメントがついている。

    パラパラとページをめくっていたら、ふと手が止まった。
    ある一篇の詩が目に入る。

    「絵みたいな写真」も、
    「写真みたいな絵」も、
    どちらも、ほめ言葉になる。
    そんな世界が、いい。

    名前を見て、少し驚いた。
    あの子の作品だった。

    あの子は、もういない。

    ほんの数ヶ月前まで同じクラスだったけれど、特に仲が良かったわけじゃない。大人しかったし、休み時間もひとりで本を読んでいた。

    休みがちになったかと思うと、ある日を境に、教室に来なくなった。

    そのあと聞いた話では、親の離婚で、別の校区の祖父母の家に預けられることになったらしい。

    理由はどうあれ、生徒ひとりが転校するだけのこと。
    誰も特別なこととしては扱わなかった。
    先生も、家庭の事情だと、それ以上のことは言わなかった。

    でも、文集にそのまま載っていた、彼女のこの詩が。
    たった四行のことばが。

    「いなくなった」ことを、ぼくに強く感じさせた。

    先生のコメント欄は空白だった。
    誰に向けたらいいのかわからなかったのかもしれない。
    でも、なんでもいいから、何か書いてあってほしかった。

    彼女がどうしてこの詩を書いたのかは、わからない。
    これから先、ぼくが彼女にできることも、きっとない。

    でも、なんとなく、いいなと思った。
    ふつうの言葉だけど、きれいだと思った。

    それだけのこと。
    それだけのことだけど、今も少し、ぼくの心に残っている。

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