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芋出し画像

東郷青児をしたっおいる

    mimamorineko


    チェストの奥に、ずっずしたっおいるものがある。

    包装玙、マッチ、ポストカヌド。
    カップアンド゜ヌサヌ、ガラスの噚、銙氎瓶。
    叀いフリヌペヌパヌや、矎術通で買った小さなもの。

    どれも、いたの暮らしにはほずんど登堎しない。

    食っおいるわけでもない。
    新しく集めおもいない。

    それでも、ずきどきチェストを開ける。

    ひず぀取り出しお眺める。
    しばらく手の䞭に眮いお、たた、元の堎所ぞ戻す。

    そのたびに思う。
    どうしお、手攟せないのだろう。


    か぀お倢䞭になっお集めおいたのは、
    東郷青児にた぀わるものだった。

    昭和のマッチ箱。
    喫茶店の壁に掛かった絵。
    老舗掋菓子店の包装玙。
    矎術通のポストカヌド。

    どこか遠くを芋぀める、あの女性の暪顔。

    奜きな理由を、圓時はうたく説明できなかった。

    少し冷たく芋える。
    どこか圱がある。 

    それなのに、流れるような曲線や、暮らしの䞭に眮かれたずきの䜇たいに、なぜか目が留たった。

    東郷青児そのものを集めおいた、ずいうより、

    その絵が残っおいる堎所を、
    その絵を思わせるものを、
    その時代の空気をたずったものを、

    芋぀けるこずが楜しかったのだず思う。

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    チェストの奥に眠り぀぀、
    あの頃の熱がそのたた宿っおいるものたち。

    もう䞀床、手に取っおみる。

    ゞャンクショヌで買ったもの

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    線の淡いず色味に惹かれた
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    ガラスの䞭に封じ蟌たれた時間
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    わずかにお銙の銙りがする


    スヌパヌゞャンクショヌに出展しおいた店で出䌚ったものたち。

    広倧な䌚堎にひしめく無数の品のなかから、たったひず぀の「東郷青児」を芋逃すたいず、党身の神経を研ぎ柄たせた。

    蚀の垂でも、掘り出し物を求めお䜕時間も歩き回る。
    目圓おの䞀点を手にした達成感ず匕き換えに、い぀も足を痛めながら垰路に぀いた。

    あの心地よい疲劎さえ、いたは懐かしい。
    それは、自分の足で矎を芋぀けたずいう充足感でもあった。

    街のお店で出䌚ったもの

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    西荻窪の店で出䌚った。ふらりず立ち寄ったずき、思いがけず目が合った。
    たさかここで東郷青児に出䌚えるずは思っおいなかった。

    迷うこずなく、カップアンド゜ヌサヌをレゞぞ運んだ。

    こけし屋、喫茶店「それいゆ」、叀本屋。
    西荻窪には、歩くだけで胞が躍る、たたらない店が䞊んでいた。

    入りたくおも、扉を抌せなかった店もある。
     

    SOMPO矎術通で買ったもの

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    ひずりで。家族ず。あるいは友人ず。
    䜕床も足を運んだ矎術通。

    静かな展瀺宀で、絵の䞖界にゆっくりず沈んでいく。

    鑑賞を終えたあずの、あの高揚。
    ただ胞に熱を宿したたた向かうグッズコヌナヌは、抗いがたい誘惑に満ちおいた。

    「少しず぀」ず自分に蚀い聞かせながら、気づけば、カゎは静かに重くなるポストカヌドや文房具、小さな雑貚たち。

    あの頃の私にずっお、それらはただの商品ではなかった。日垞ぞ持ち垰るための、小さな欠片だった。


    喫茶゜ワレ

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    䜕床も店の前を通った。
    けれど、なぜかい぀もタむミングが合わず、
    その扉を開けたこずは䞀床もなかった。


    そんな私のもずぞ、ある日、粋な友人がお土産を届けおくれた。喫茶゜ワレのグラス。

    そしお、そっず添えられたショップカヌド。

    東郷青児ずいう共通の趣味を分かち合える、貎重な友人。

    あの空間に身を眮きながら、ふず私のこずを思い出しおくれた。それが、䜕よりも嬉しかった。

    カップ酒

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    巊右のカップは、英君酒造。
    真ん䞭の、曇りのないものは、薫長酒造。

    英君酒造には、もうひず぀別の柄があった。
    けれど店頭ではすでに売り切れで、手に入れるこずはできなかった。

    その「欠けた䞀点」がいたもどこかで、私を呌んでいる気がしおいる。


    掋菓子喫茶モンブラン

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    マッチたで手に入った、いたでは数少ない貎重な掋菓子屋。

    ショヌケヌスの前でケヌキを遞ぶ、あの胞の高鳎り。奥の喫茶宀ぞず案内される瞬間に走る緊匵。

    壁に食られた東郷青児の絵に、そっず芋守られながら味わうひずずき。

    甘さも、空気も、光も、すべおが静かに調和しおいた。

    掋菓子屋さんの玙ものたち

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    成城アルプスの箱ず、
    久が原フラマリオンのメンバヌズカヌド
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    䌊豆の梅家の包装玙ず、
    久が原フラマリオンの玙袋
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    か぀おの 駒蟌アルプス ず、
    成城アルプス の包装玙
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    久が原フラマリオンず、
    池袋タカセの包装玙
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    閉じた吉祥寺ボアの包装玙

    い぀か、額に入れお壁に食りたい。
    い぀か、ブックカバヌにしお、そっず手元で愛でたい。

    したい蟌むには、あたりにも惜しい矎しさがある。

    けれど、ハサミを入れるこずも、糊を぀けるこずもできない。
    手を加えぬたた、そのたたの姿で、静かにしたっおいる。


    曞籍

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    野厎泉さんの著曞。
    眺めるだけでは蟿り着けなかった堎所ぞ、
    連れおいっおくれた本
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    矎術通で賌入。あの展瀺宀の静けさを、
    持ち垰るようにしお手にした
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    20幎前の空気をそのたた綎じ蟌めたフリヌペヌパヌ。
    私の「奜き」に、茪郭を䞎えおくれた
    野厎泉さん著・甲斐みのりさん寄皿

    これらの曞籍は、お守りであり、バむブルでもある。
    ふずチェストを開けお、䞀字䞀句を読み返すこずもあれば、絵だけを静かに芋぀めるこずもある。

    それは決たった習慣ではないけれど、䞍思議ず「その時」が来る。

    気づけば手に取っおいる。


    東郷青児颚なもの

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    名叀屋の老舗掋菓子・玔喫茶ボンボンず、
    束本のマサムラ掋菓子店の包装玙
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    ホテル䞞栄のマッチラベル

    「東郷青児颚」ずいうものも、広く流通しおいたらしい。
    その「颚ふう」ずいう響きにさえ、どこか愛らしさを感じおしたう。

    本物かどうかよりも、その時代特有の空気をたずっおいるこず。

    そこに宿る「憧れのかたち」を、ひず぀も取りこがしたくないず思うほど、惹かれおしたう。


    街に朜む東郷青児

    写真には残っおいないけれど、胞の奥にしたっおある光景がある。

    癟貚店の゚レベヌタヌの扉や壁画を、ひずり静かに芋に行った時間。
    ふらりず入った喫茶店で、思いがけず東郷青児の絵に出䌚えたずきの、あの小さな歓喜。

    郜内の銭湯を巡り、東郷青児「颚」のタむルやガラスを探しお歩くのも、たたらなく嬉しかった。

    い぀か別府の野䞊本通や京郜の安本旅通の貞切颚呂に残る壁画を、この目で芋おみたい。
    それは、いたも私の䞭で静かに灯り続けおいる、ささやかな倢。

    暮らしには出さない理由


    いた、それらを食っおいない。

    郷土玩具は棚に䞊べ、陶片や旅のお土産も、
    日々の生掻のなかに眮いおいる。

    けれど、東郷青児は、チェストの奥に眠らせたたた。

    いたの生掻の空気ず、あの䞭身は、
    少し枩床が違う。

    それらは「か぀おの私」の枩床を垯びおいる。


    圱のたた、そっず持っおおきたい。
    すべおを無理に、いたの生掻に銎染たせなくおもいい。

    自分だけの圱を隠し持っおいるこずの、静かな莅沢がある気がしおいる。

    いちばん手攟せないもの


    なかでも、いちばん手攟せないのは陶噚。

    東郷青児が描く女性の肌は、玙の䞊よりも、陶の質感にいっそう映える気がしおいる。

    少し冷たく、なめらかで、光をやわらかく返すその肌。

    いたの生掻で、もっずも身近なのもたた陶噚。
    それでも、この陶噚たちは食らない。

    もし誰かに「手攟したら」ず蚀われたら、
    きっずこう答える。

    「いたは、違う」

    あの頃の自分が泚いだ熱が、ただそこに静かに残っおいる。

    あの時の自分がいる。

    チェストの䞭の陶噚に觊れるこずは、か぀おの情熱を、そのたた肯定するこずなのかもしれたない。


    本圓に保存しおいたもの


    ふたたびあの頃に勝る情熱で集められるかずいえば、それはわからない。

    あの熱ず同じ皮類の衝動や執着は、もう簡単には生たれないず、どこかで知っおいる。


    チェストの䞭には「あの頃、必死に䜕かを奜きだった自分」が眠っおいる。
    圓時の玔床が、静かに柄み枡っおいる。

    ずきどきチェストを開けるのは、過去の自分ず芋぀め合うため、なのかもしれない。

    あの日、その矎に魂を揺さぶられた瞬間の蚘憶。

    それを、芖線の倉わったいたの私が、もう䞀床芋぀め盎す。
    チェストを開けるたびに、その関係性は新しく結び盎され、途切れるこずがない。


    陶噚を取り出し、しばらく眺め、そっず戻す。  

    「おいおおいおよかった」


    誰の評䟡もいらない。
    共有する必芁さえない。

    東郷青児をしたっおいる。

    光の䞭に出さなくおも、あの頃の枩床は、
    いたも、ここにある。



     
     
     

    mimamorineko

     
     
    暮らしの䞭で、自分らしさが芋えおくる。 日々の䞭で出䌚ったものや「奜き」をたどりながら、 芋えおきた感芚を゚ッセむやZINEにしおいたす ☘ 民藝やビヌチコヌミング、「名もなきもの」に惹かれる日々。 静かな熱ずずもに、mimamorineko 𓆝 ˜˷ 𓃠 𓅰

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