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第7話 REIと死後の世界 

    元の世界へ

    連行されている宇宙人を見ながらレイはサキに尋ねる
    「この人たちはこれからどこに行くの?」

    「裁判にかけられて、どうなるか決まるね。アルヴェリア人は知能が高いから、同盟を組んで協力するんじゃないかな、まだわかんないけど。」

    レイは静かに、不審そうに尋ねる
    「同盟…。最初からそうしていれば、こんなに沢山の人が死ななくてもよかったんじゃないの?」

    レイの心情を察したようにサキが冷静に答える
    「そうだね、その辺もなぜいきなり侵略しようと思ったのかなど、裁判で全て明らかにするよ。」

    「そっか…」
    レイは下を向きながら、力なく答えた

    「レイ、お疲れ様。レイがいなかったら、この戦いは負けてたかもしれない。本当にありがとう。無事でよかった。」
    サキはレイの目を見ていつもの優しい顔で微笑んだ。

    レイもサキの目を見て答えた。その姿は少し疲れが滲み出ていた。
    「サキがいなかったら、ここまでこれなかった。こちらこそ本当にありがとう。」

    「帰ったら、お祝いがあるから、後のことは僕たちに任せて、レイは先に帰ってて。」
    サキは優しく微笑みながら言った。

    「わかった。サキ、体は大丈夫だよね?死なないよね?」
    レイは不安そうに聞く

    「大丈夫だよ。簡単な治療はしてもらったし、これくらいでは死なないから。」
    サキは怪我した場所を見た後、レイの顔を見て優しく笑った。

    レイはホッと安堵したと同時に、一気に色々なことが起こったので、もうこれで終わったんだと思うと、なんだか泣けてきた。

    静かに一筋の涙が頬をつたう。

    レイが泣いている姿を見て不安そうにサキが顔を覗き込み
    「レイ?」

    「あ、ごめん」
    レイは涙を片手でぬぐった。

    サキがレイを抱きしめる

    突然のことに驚くレイ

    「本当に、無事でよかった。」
    サキはレイを抱きしめたまま、愛おしそうに言った。

    レイはボロボロと涙が出てきた
    「うっ、本当は、ずっと怖かった…」

    「うんうん、よく頑張った、本当に。」
    サキは抱きしめながらレイを撫でていた。

    レイはサキの腕でひとしきり泣いた後、お別れをした。

    帰りの雲機ではレイは爆睡して、いつの間にか着陸していた。

    レイを出迎えてくれたのは、別の場所で戦っていたたえと、シャロンやミッシェルだった。

    みんなよく頑張ったと言ってレイを抱きしめた。

    子供のように泣きじゃくるレイ

    たえの腕で抱きしめられながら、たえは言った。
    「レイ、無事でよかった。今日は私の家でゆっくりしな。もう敵はいないし、のびのび過ごせるよ。全部終わったら、お祝いの会 があるよ。それまではゆっくりしようね。」

    レイはうんうんと泣きながら頷いた。

    たき隊長や他の隊員たちも、家族やたくさんの人たちに祝福されて幸せそうに涙していた。

    一方で、家族が亡くなり、泣いている人たちももちろんいた。

    レイは、その人たちに申し訳ない気持ちを抱えていた。
    それでもその後、しばらく祖母の家でのんびりと過ごすうちに、少しずつ心は落ち着いていった。
    そして、ずっと会いたかった祖父にも、ようやく会うことができた。
    たえとおじいちゃんとたえの家で過ごした後、シャロンとも遊んだりした。

    シャロンと遊んでいるうちに、レイは久しぶりの安心感を覚えていた。

    ――この感じ、久しぶりだな。こっちに来てから、友達とのんびり遊ぶことなんてなかったもんなぁ。

    シャロンの地元にある商業施設を二人で歩き、店をのぞいたり、雑貨を見たりする時間はとても楽しかった。

    やがて二人はシャーベットを買い、並んで食べながらひと息つく。

    そのとき、シャロンがふと話し始めた。

    「レイとせっかく友達になったのに、帰っちゃうのかぁ。寂しい。」
    シャロンは悲しい顔をした。

    レイはハッとした。

    (そうか、私、もうこっちの世界での目的を達成したから帰るの…?帰ったらもうサキとは二度と会えない…よね?)

    「レイ、レイ!」
    シャロンはレイの前で手を振っている

    レイはハッとして、シャロンを見た

    「大丈夫?」
    シャロンは心配そうにレイを見る

    「うん。私、忘れてた。帰ること」
    レイはぼうっとしながら、呟く。

    「えー?」と言いながら、シャロンは笑っている

    「帰ってほしくないけど、レイには両親も残っているし、これからの人生も続きがあるもんね。」
    シャロンは自分に言い聞かせるように言う。

    「レイ、帰ったらなにするの?」
    シャロンは何気なく聞いた

    「何って?」
    レイがきょとんとしている

    「したいことだよ」
    シャロンは続けて話す

    「特にないなぁ。目を覚まして、親を安心させてあげたいな。それが終わったら、普通に学校に通うかな」
    レイは首をかしげ、右手を顎に添えながら答えた。

    「学校、いいね!私空の上から時々レイのこと見るね!」
    シャロンは嬉しそうに話す

    「えーやだ、やめてよ」
    レイは照れ笑いして答えた

    「いいじゃん。もし見れたらサインも送るね」
    シャロンは続けて話す

    「うん、絶対ね!」
    レイは明るく答える

    「約束!」
    そう言ってシャロンは嬉しそうに笑っていた

    「指切りげんまん」
    レイはシャロンに小指を差し出した

    「何それ?」
    シャロンは突然差し出された小指に不思議そうに尋ねる

    「指切りげんまん知らないのか、日本ではね、約束する時はお互いの小指を出して、『指切りげんまん、針千本のーます、ゆびきった!』って言うんだよ」
    レイは得意げに話した。

    「面白そう!」
    シャロンはニカッと笑って小指を差し出した

    「指切りげんまん針千本のーます!ゆびきった!」
    レイはシャロンと指きりをした。

    しばらくして、お祝いの式が始まった。

    レイは戦った時の恰好で、他の兵士と同じく式に並んでいた。

    式は雲の上で行われた。

    サキの名前が呼ばれた後、仙人にレイの名前が呼ばれた。

    そしてレイは仙人から一輪の花を受け取った。

    その花は見たこともないくらい可憐で美しい花だった。

    「わぁ、ありがとうございます…」
    お礼を言って席につく。

    花を愛でるレイ。

    その様子を見ていたサキが、こっそりレイに呟いた。
    「レイ、そのお花はただの花じゃない。特別な人にしかもらうことができない招待状だよ」
    と教えてくれた。

    「招待状…?」びっくりして、花を見るレイ

    サキは「あとで教えてあげるね」と言って、また静かにしていた。

    式が終わった後、宴が開かれた。

    ある程度食事も楽しんだ後、サキはレイの傍に近づいてきた。
    「いやー、ごめんごめん、遅くなっちゃった。お偉いさんたちに止められてね、なんとか出てこれたよ。」

    サキはそう言って笑った後、レイの花を見て
    「さあ、行こうか」と微笑んだ。

    花を持って、2人だけの場所に行った。
    花はレイが持っている。

    「その花の真ん中の黒い部分を覗いてごらん」とサキが言った。
    レイは花の真ん中の黒い部分を食い入るように、ジーと見た。

    すると、体がグワンと揺れて、その花の黒い部分に吸い込まれた。
    それは瞬間移動の時とは違い、吸い込まれた感じがわかるような気分だった。

    気が付くとそこは辺り一面真っ白な場所だった。
    レイが元々いた天上界も雲の上なので、白いのだが、それとはまた違って、さらに神聖な場所で、なんだか空気がキラキラとしていた。

    レイは来たこともないその場所にうっとりして、周りをキョロキョロと見渡していた。
    すると、シャンシャンシャンという音が聞こえた

    音がする方を見てみると、杖を持ったおじいちゃんがいた

    おじいちゃんは杖と同じくらいの背丈で、背が低くて、歩くのではなく、ぴょんぴょんとニコニコしながら飛んでいるのだ。

    (誰だろう、あの人)

    その老人はなんだか、とても神々しかった。
    「フォフォフォ」と笑っている。

    老人がレイの前に立ちはだかると、ブワッと神聖な風が吹いてきた。

    「わぁ」と思わず言ってしまうほどの迫力だった。

    金色のオーラまで見れる。

    老人はレイの前でニコニコと笑っていた。

    レイが目を離さず見ていると、頭から声が聞こえた。

    『この度は大活躍だったのう。』
    その声は透き通るように綺麗で、聞いているだけで癒された。
    直感で目の前のこの老人が言っているんだと思った。

    『戦では、大変活躍しておったな。』
    続けてゆっくりとまた、さっきの透き通るような声が聞こえる

    夢の中にいるような居心地の良い空間にうっとりしながら、レイはボーと考えた。

    (なんでわかるんだろう)

    レイが心の中でそうつぶやいた、その直後だった。
    まるでその考えが聞こえていたかのように、老人がすかさず答える。
    『見ておったよ。』

    レイは考えていることが読まれているようで、背筋が伸びた

    『よくやったな。褒美をやろう。まずは時を戻して差し上げよう』
    そう言って杖をシャン!と鳴らした後、レイの近くに大きな時計が見えた。

    時計が逆再生をしている。

    レイはよくわからなかったが、時計をボーと見ていた。

    『これで、よし、そして…これもあげよう』
    そう聞こえた直後、レイは手の中に違和感を覚えた。
    視線を落とすと、そこにはいつの間にか、綺麗な小瓶が握られていた。

    『フォッフォッフォッ、それでは、幸あれ!』

    と言って、杖をシャン!と鳴らすと、光ごと上に消えていった

    その後すぐにキラキラした小さな光が、体にまとわりつく

    体についたキラキラしたその光をレイが不思議そうに見ていると、光が神々しくなり、レイの意識が消えた。

    気が付くと、サキといた場所に戻っていた。

    「あれ?夢」
    自分の体を見るレイ

    「どうだった?神様は」
    サキが優しく聞いた

    「え、か、神様?」
    驚いたレイがサキに聞き返す

    「只者ではないと思ったけど、神様だったの、あの人。そうかどうりで」
    レイが納得したように呟く。

    レイの手には、綺麗な小瓶があった。

    「香水だよ。それは」
    小瓶を見てサキが言う。

    「香水?これが」
    レイは小瓶を見つめる

    「そう、こうやって使うんだ」
    サキが小瓶を手にとり、開けた。
    シュッと音がして、、空気が透き通るような心から癒されるようなそんな気持ちになれた

    「わぁ、綺麗な匂い」
    レイがうっとりして言った。

    レイはサキに神様の様子を伝えた。
    雑談をした後、レイが思い出したかのようにサキに尋ねる。
    「そういえば、宇宙人たちはどうなったの?」

    「あぁ、そのことだけど、彼らは僕たちと一緒に共存する方向になっているよ。彼らの知能は高いから、彼らの知能を借りて僕たちも新しい町を建設したりしようかなって。」
    サキは当然のように話した。

    「そっか、そういえば、なんで最初に交渉ではなく、いきなり攻撃してきたの?」
    レイはずっと疑問に思っていたことを話した。

    「それも裁判で話していたけど、やっぱり怖かったみたいだよ。彼らは平凡に暮らしていただけなのに急に侵略されたでしょ。一度そういうことをされたら、誰のことも信じられなくなったみたい。」
    サキは真剣な表情で、寂しそうに話した。

    「…そういう人たちと共存なんてできるの?」
    レイは眉間に皺をよせて聞く。

    「わからない。もしできなければその時は可哀そうだけど、力でねじ伏せるしかないかもね。」
    サキはレイの顔を時折見ながら、険しい顔をして話す。

    「そっか、仲良くなれたらいいね」
    レイが下を向きながら、相槌を打った。

    「そうだね。」

    2人は遠い空を見た。

    「そういえば!レイにお礼をしなくちゃ!」
    サキが思い出したように明るく話す

    「お礼?」
    レイは不思議そうにサキを見る

    「そう!これの」
    サキはそう言って胸ポケットからレイが渡したお守りを出した

    「あぁ」
    忘れていたというような顔をしてレイがサキを見る

    「お守りなんて貰ったの初めてだよ。本当にありがとう。」
    そう言って嬉しそうにしているサキ。

    そんなサキの様子を見て、照れるレイ。

    「おいで」
    サキはレイに片手を差し出す

    レイは久しぶりにサキとお出かけできることが嬉しく、サキの手を触る

    着いた先は、辺り一面綺麗な星空とオーロラだった。

    レイは、初めて目にするオーロラに思わず息をのんだ。

    夜空に広がる光は、静かに波打ちながら揺れている。淡くなったかと思えば、ふいに強く輝きを増し、そのたびに表情を変えていく様子は、まるで空に棲む生き物がゆっくりと身をくねらせているようだった。

    「ここは僕が生まれ育った国なんだ。」
    サキがオーロラを見ながら言った。

    「そうなの?」
    レイが驚いてサキを見た。

    「そう。あまり長くはいなかったけどね。」
    サキが寂しそうに微笑む

    「そっか…。」
    寂しそうなサキの顔に、それ以上聞いちゃいけないような気がして、レイは相槌を打った。

    「レイ、そろそろ帰る時間だね。帰る準備はできた?」
    サキは話題をそらすように、レイを見た。

    「そのことなんだけど…」
    レイは下を見ながらつぶやく

    「ここにいちゃダメかな?」

    「え?」
    びっくりした顔をしてサキが聞き返す

    「私、ここにいたい。ここにはおばあちゃんもいるし、友達だって出来た。そして何よりサキがいるもの。」
    レイはサキに申し訳なさそうに目を合わせずに呟く

    しばらく間を置いた後、
    「レイ、そう言ってもらえてとても嬉しいよ。」優しそうにサキが言う。

    レイはパッと顔が上がり、明るい顔をした

    「でも…帰らないとダメなんだ」
    サキが真剣な表情をする

    「どうして?」
    不安そうに質問するレイ

    「レイ、産まれてくる前にねみんなそれぞれ、人生のプランをたてているんだ。レイはまだ死ぬ時じゃない。地上でやり残したことをやらないといけないんだよ。」
    優しく諭すように話すサキ

    「そんなの知らない、覚えてない。私、戻っても友達いないし」
    レイは顔を左右に振りながら悲しそうに話す

    「レイ、ないものを見てはダメって言ったでしょ。レイには家族もいるし、僕やそして何百人というご先祖様だっているよ。」
    サキがレイの顔を見て言った。

    「そう…だけど、私、私サキと離れたくない!」
    レイが不安そうに上目遣いをした

    「レイ、僕はずっと君をそばで見守っているよ。いつも君のそばにいる。それにずっとこっちで待っているよ。いつか君がこっちの世界にくることを。その時が来たら一緒にいよう。」
    サキはレイの肩を両手で掴んで言った

    「その時がきたらずっと一緒にいられる?」
    レイが不安そうにサキを見る

    「いられるよ。神様にお願いしよう。レイの功績はすごいからきっと叶えてくれるよ。」
    サキが優しそうに微笑む

    「そっか、わかった…。」
    レイは涙がこらえられなくて、泣いた
    サキに止められてホッとしている自分もいるのも事実だった。

    なぜなら、天上界に残ったら両親はずっと悲しみにくれるだろうから。
    安堵とサキと別れる悲しさでレイの胸ははちきれそうだった。

    サキは優しくレイを抱きしめる

    翌朝、レイは、ここへ来た時に着ていた服に着替えていた。

    そして、落ち着かない様子で何度も手元を見つめながら、誰かが来るのを静かに待っていた。
    コンコン、ガチャッ

    「レイ、準備はできた?」
    以前のようにサキが迎えにきた

    「うん、でも何も持っていくものがない」レイは笑った

    「持っていけないもんね、香水は持っていきな。」
    サキが香水を見ながら呟く

    「うん。」
    レイが小瓶を手に取った。

    「みんな待ってるよ。」
    サキは手を差し伸べる。

    レイはサキの手に触れようと、そっと手を伸ばした。
    二人でワープするのもこれが最後かもしれない。そう思うと、指先が一瞬止まる。
    それでもレイは切なげな表情のまま、もう一度手を伸ばし、サキの手にそっと触れた。

    着いたのは、最初に来た場所だった。

    そこには沢山の人がいた

    「今日はお祭りかなにか?」
    周囲の人たちを見渡しながらレイがサキに聞いた

    「何言ってんの。みんなレイのお見送りの人たちだよ。」
    サキが笑って答えた

    「え?」
    目を丸くするレイ

    「この人たちに見覚えない?」

    レイが辺りを見回すと、周りのみんながレイを見ている
    その目は優しそうで、どこか懐かしそうで愛おしそう

    (あ、この目、どっかで…)

    「もしかして、ご先祖様?」
    レイははにかんで答えた

    「そうだよ。みんなレイのご先祖様だよ」
    サキは優しそうに答える

    「わぁ」
    レイの表情は明るくなる

    みんなレイを囲んで
    「大きくなったわねぇ」「本当」「私にそっくりじゃない。」「あら、私に似てるわ」なんて会話をしている

    そんな中、群衆の中から出てきた一人のおばあちゃんがいた。

    レイはそのおばあちゃんに見覚えがあった。でも誰かは思い出せない

    おばあちゃんは優しくレイの手を握って、話しかけてきた。
    「レイちゃん。よく頑張ったわね。この世界を救ってくれてありがとう。忘れないで。あなたにはこんなにも沢山のご先祖様がいつも見守っているということを。あっちの世界で、頑張ってね。おばあちゃん、応援してるわね。」

    「ありがとう。」
    レイはお礼を言う

    シャロンや愛やサマリー、たえも来ていた。

    「レイ!」
    シャロンは泣いていた

    「必ずまた会おうね」
    ぐちゃぐちゃに泣きながらシャロンが話す

    「うん、絶対だよ。」
    泣いているシャロンにつられてレイも泣く

    シャロンが泣きながら、レイの前に小指を差し出す。
    二人は指切りげんまんをした。

    「じゃあ、みんないくね。お見送りありがとう!元気でね!」
    レイはみんなに笑顔で手を振った。

    レイはサキと歩き出す

    「レイ、あの光に向かって、突き進んで。光に入る手前で、これを飲んでね。」
    サキは前の光を指さして言った。そして、レイに一粒の飴のようなお菓子を渡した

    「これ、何?」
    お菓子を、見ながらレイが聞く

    「覚えていて、必ず僕がいつも見守っているからね。大好きだよ、レイ。いってらっしゃい」
    レイとサキは抱き合ってお別れをした

    レイは光の着前になって止まり、サキにもらったお菓子を取り出した
    ポケットから取り出した瞬間、雲の下に落ちてしまい、お菓子が割れて片方はどこかへ行ってしまった。

    レイは仕方なく片方だけを呑み込み、光の方へ進んだ。

    あの香水だけを持って。

    目が覚めると、見覚えのない場所だった。

    「え、レイ?レイ!!!起きたの!?」母がびっくりしてレイを覗き込む

    レイはゆっくり目を覚ました。

    「お母さん…」
    レイの頭はボーとしていた。

    レイの母親は泣いて喜び、病室には医師も駆け付け、看護師たちも集まった

    みんなが奇跡が起きたと泣いて喜んでいた。

    落ち着いてからレイは何があったかを聞いた

    「事故にあってから、植物状態だったのよ。本当に死ぬかと思った。」
    母が泣きながら答えた

    「レイ、よかった本当に」
    母の連絡で急いで駆けつけた父もいた。

    「お父さん、お母さん、仲直りしたんだ」
    レイは二人の姿を見ていった。

    二人はびっくりした顔をした後、笑いあった

    「レイが事故にあってから、会話が増えたの」
    母が泣きながら話す

    「知ってる。上から見てたもん」
    レイは笑いながら答えた

    母と父は不思議そうにレイを見ていた。

    事故に遭ってから、目が覚めるまで、三か月が経っていたことを医師から聞かされた。

    3か月、予定では1年だったはず…その時、神様に会ったことを思い出した。時計の時間が逆再生された時のことを。神様が時間をプレゼントしてくれたのか。
    レイはフフッと一人で笑った

    それから、リハビリを開始した。

    ある日、レイは病室の棚に、小さい頃のアルバムが置かれていることに気づいた。

    入院生活は退屈だろうから、と母が持ってきてくれたものだった。

    何気なくアルバムを手に取り、ぱらぱらとページをめくる。幼い頃の自分、家族との写真、見覚えのない景色――。

    その中の一枚で、レイの指が止まった。

    そこには、見覚えのある顔が写っていた。

    (この人見たことある)

    その写真に映っていたのは、おばあちゃんと赤ちゃんの頃のレイの写真だった。
    レイと一緒に映っているその人は、空の世界で最後に声をかけてきたおばあちゃんだった。

    レイの記憶は断片的になっていた。

    サキが最後に渡したお菓子は記憶を消すお菓子で、レイは半分食べたので、おばあちゃんと遊んだことや色々な人との交流があったことは覚えているが、戦ったことなどは忘れていた。

    リハビリも順調にこなし、学校に通いだした。

    学校にいくと、顔なじみの人が。レイをハブっていたサラ達だった。

    みんな登校してきたレイを見て驚いている。

    レイが席に着く。

    「誰かさん、治ったんだ。治らなくてもよかったのに!」
    教室の一番奥で固まっていた三人組が、レイのほうを見ていた。

    その中心にいたサラが、わざと周りに聞こえるような声でそう言った。

    レイはその言葉を聞いて、立ち上がる。

    そして、サラの元へ行く。
    「な、なによ」
    サラはこっちに向かってくると思ってなかったようで、びっくりした顔をしてレイを見る

    レイはニコッと笑って言った
    「そんなこと言ってる暇があったら、勉強すれば」

    急に言われて、戸惑うサラ

    レイはそのまま無視して廊下へ出た

    「何、あいつ」
    サラはレイのことを睨みながら小声で言った。

    今までのレイだったら、聞いてないふりしかできなかっただろう。

    堂々としているレイが苦手になったサラはそれ以来なにかをしてくることも言ってくることもなかった。

    3年後、大人になったレイがいた。
    大学生になっていた。

    大学からの帰り道、車で引かれそうになるレイ
    キキー!

    まっすぐレイの方に来た車、レイにぶつかる直前のところで横にカーブしてそのままレイに当たることなく壁に激突

    レイはびっくりして目を丸くしながら、心臓がドキドキしていた。

    次の日、レイは最寄り神社にお礼を言いに行った。

    (昨日はありがとうございました。私は本当に幸せです。いつも本当にありがとうございます。)

    レイが背筋を伸ばして、参拝していると、お稲荷さんがキラキラ光る

    そしてあの懐かしい匂いがした。

    (この匂い、どこかで…)

    それは式でいただいた香水の匂いだった。

    おしまい

    #創作大賞2026
    #ファンタジー小説部門

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