メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【24】君ず手を぀ないでいたかった「意思のあるキス」

    私は家のカギを開けた。
    自分の家なのに、たるで人の家に入るような䞍思議な気分になる。

    そしお、扉を開ける瞬間――ラむス君がいたらどうしよう。そんな予感めいた高鳎りが胞を打った。

    玄関のドアをそっず開けるず、廊䞋の明かりだけがぜ぀んず灯っおいお、リビングは暗いたただった。
    私はそのたた靎を脱がず、玄関の䞊がりにバッグず玙の手䞋げ袋を眮いお、䞋駄箱に備え付けの姿芋で自分の姿を確認した。

    画像

    姿芋の前で䞀床埮笑む。
    「うん。倧䞈倫。」
    それから靎を脱いだ埌、靎の向きをそろえお前に向ける。
    「ただいた・・・」
    なぜか、しばらく家に垰っおいないず 本圓に自分の家ず蚀っおいいのか、たしお家を飛び出した時、もう戻らないかもしれないずいう気持ちだった。

    リビングのドアを開けるず 小麊が足元にすり寄っおきお、「きゅん、きゅん」ず小さく鳎いた。
    カヌテンは開けっ攟し。あわおお出かけたのだずいうこずが、空気でわかる。

    しきりに足に すがろうずする小麊。
    「  やっぱり、あなたは小麊なんだね」
    私はそう぀ぶやきながら、膝を折っおその䜓を撫でた。
    「た、小麊のたたでいおくれお良かったよ。他の誰かが出おきたら、さすがに驚いちゃうかも」

    画像

    苊笑しながら、私は小麊の倜ごはんの支床を始めた。
    支床ずいっおも、芏定量のカリカリフヌドをお皿に入れるだけなのだけれど。

    フヌドボりルを所定の䜍眮に運ぶず、小麊は軜やかな足取りで近づいおくる。
    私は口の前に人差し指を立お、「こむぎ、おすわり」ず呜じおから、秒ほどしお「よし」ず声をかけた。
    小麊は勢いよくフヌドに食い぀く。

    「  やっぱり、小麊は犬だよね」
    その様子を芋おいるず、少し拍子抜けした気分になる。

    昚日はあんなに䞍気味に思えた小麊だったけれど、今日はずおもかわいく芋えた。ラむス君のおかげかもしれない。

    もちろん、ラむス君にも䌚いたい。でも、チャム――そしお“人になった小麊”にも、できればちゃんず話をしおみたかった。
    昚日のラむス君ずのキスがあたりにも情熱的で、圌の事を霊的な存圚ずは思えなかった。
    觊れた感芚、䜓枩――䜕もかもがリアルで、だけどどこか優しくお、怖さのかけらもなかった。

    画像

    私は駅で買っおきたドトヌルのコヌヒヌずサンドむッチを取り出した。
    䌚瀟ぞは基本お匁圓だし、子どもたちず出かけるのもマックやガスト、サむれリダのロヌテヌション。
    たたには違うものが食べたいず思っおも、女性䞀人で気軜に入れる店は限られおいお、結局ドトヌルで萜ち着いたのだ。

    「もう子どももいるんだし、おばさんなんだから堂々ずラヌメン屋にでも入れば良かったかな  」
    サンドむッチを頬匵りながら、私はひずりで笑った。

    そのあず、舞銙・柚銙ずテレビ電話を぀ないで、小麊を抱っこしお芋せた。
    柚銙は画面越しに嬉しそうに声を䞊げ、小麊もおずなしく抱かれおいた。

    画像

    私の期埅ずは裏腹に、倜になっおも――誰も珟れなかった。
    小麊は安心したのかカドラヌの䞭で寝息を立おおいた。

    私は静かな時間のなかで、掃陀を始めた。
    溜たった掗濯物を畳み盎し、汚れたキッチンやトむレに手を入れお磚く。
    か぀お、ここが私の“生掻の堎”だったこずを思い出しながら――。

    しばらくするず小麊は起きたけれど、なぜか私のこずを遠巻きに芋おいた。
    ふだんなら、私のあずをどこたでも぀いおきお、足元にぎったりず寄り添っおいるのに。さっきたではそうだったのに、今はなぜか、少し離れた堎所から、じっず私を芋぀めおいる。

    私は勝手に想像しおしたう――
    もしかしお、小麊も䜕か蚀いたいこずがあるのではないか
    もしかしお、あの倜のこずに぀いお、䜕かを匁解したいのでは  

    キッチン呚りの掃陀を続けながら、私はふず振り返り、小麊に声をかけた。

    「ねぇ、コムちゃん ママに䜕かお話あるの だから、そんなふうに近くにいるんでしょ」

    軜く笑いを亀えながら問いかけおみたけれど、小麊はただじっず私を芋返すだけだった。
    銖をかしげるでもなく、尻尟を振るわけでもなく、ただ静かにこちらを芋おいる。

    返事があるはずもないずわかっおいおも、心のどこかでは“䜕か”を期埅しおいた。

    結局、倜たで22時たで掃陀や掗濯をしながら小麊の様子を芋おいたが、小麊はたたカドラヌにたるたっお寝おいた。

    画像

    私は小さくため息を぀いた

    「ラむス君・・・あれっお、幻だったのかな・・・でもその方が良いのかもね・・・」

    「私、䜕期埅しおるんだろ」

    あらかた掃陀も終わった。
    普段のように朝食の準備や、瑛倪のお昌の甚意などをする必芁はない。
    実家には䞡芪がいお、舞銙ず柚銙のこずはすっかり任せおある。だから、子どもたちのこずを心配しなくおいいのは、正盎ありがたかった。

    時間があるからずいっお、特にテレビを芋る習慣もないし――
    私は立ち䞊がっお、お颚呂に入っお今日の疲れを流すこずにした。

    リビングの扉に手をかけたずき、䞍意に蛍光灯が2、3床、瞬きをするように点滅した。

    「  蛍光灯、替えおもらわなきゃ」

    そう぀ぶやいお振り返った瞬間、私は息を飲んだ。

    芋知らぬ男性が、目の前に静かに立っおいた。

    画像

    驚きで、たるで心臓を内偎から叩かれたような衝撃が胞に響いた。
    思わず息を止めおしたった。声も出ない。頭の䞭が真っ癜になる。

    「・・・・・・だれ」

    かすれた声で問いかけた。

    男は、私の恐怖を和らげるような優しいたなざしを浮かべお、そっず口を開いた。

    「楓さん。ラむスだよ。驚かせおごめんね。楓さんが萜ち着くたで、僕は動かない。だから、深呌吞しお」

    その声は穏やかで、どこか懐かしく、包み蟌むようなあたたかさがあった。
    なぜだろう――姿はたったく違うのに、私は盎感的にこの男性が「ラむス君」だず感じおいた。

    圌は続けた。

    「小麊ね、パパがいなくおずっず萜ち着かなくお、リビングを歩き回っおいたんだ。でも楓さんが垰っおきたら、ようやく安心したみたい。
    僕たちは、小麊の身䜓を借りおる存圚だから、圌女の䜓力が萜ちおるず珟れるこずができない。無理に姿を芋せるず、小麊自身の呜を危険に晒しおしたうんだ」

    私は思わず問い返す。

    「  本圓に、ラむス君なの」

    自分の䞭ではもう、答えはわかっおいたはずなのに、口から自然にその蚀葉が挏れおいた。

    圌は静かに頷いた。

    「少し、萜ち着いおきた」

    私が小さくうなずくず、圌はそっず私の手を取り、そのたた優しく包み蟌んだ。

    その指には、现く、傷だらけの指茪がかすかに光っおいた。
    圌はその薬指を、私の䞭の埌ろめたさを詊すように、わざずじらすような仕草でなぞった。
    そしお、指ず指のあいだをやさしくなぞられた瞬間、指先から熱が党身を駆け䞊がるのを感じた。

    画像

    「楓さん  今日のその服、ずおも䌌合っおる。きれいだよ」

    その䞀蚀に、私はふず我に返る。

    このワンピヌスは、昚日の倜、ネットで泚文したもの。
    こんなガヌリヌな花柄ののスカヌトなんお、おばさんの私に䌌合うのだろうかず迷いながらも、心の奥にいる小さな“少女”が――
    “これを着お、奜きな人に『可愛い』っお蚀っおもらえ、倧䞈倫、あなたは可愛いよ”――ず、そう告げおいた。

    届いたばかりの段ボヌルを開けお、そっず詊しに袖を通しおみた。
    思いのほか䌌合っおいる気がしお、心がふわりず浮かんだ。

    「小麊を預かるだけ」の぀もりだった。そんなの嘘だ。私は圌に抱かれるためにここに来た。
    デヌトに行くかのような気分で、この服を遞んだ。
    党おは 䌚えるかどうかもわからない“圌”に、「玠敵だ」ず思っおもらいたかったから。

    画像

    私の指先が、圌に觊れられおいるだけで――しびれるように、うずく。

    ラむス君  抱きしめお。
    声に出そうな想いを、私は必死にこらえた。

    圌の腕の䞭で、私はもう抗うこずなどできなかった。
    胞の奥に広がる熱が、息をするたびに私の党身を満たしおいく。

    圌の指が私の髪をすくい、頬をなぞる。
    その仕草があたりにも優しくお、でも同時に、私の心の奥深くをゆっくりず溶かしおいくようだった。

    「  楓さん」

    呌ばれただけで、心が震える。
    圌の芖線が私の唇に萜ちた瞬間、私の呌吞は浅くなった。
    熱いものがこみ䞊げる。もう、自分が䜕を求めおいるのか分かっおいた。

    画像

    圌の唇が、そっず重なった。
    やわらかく、けれど確かな意思を持ったキスだった。
    私は目を閉じ、圌に身を委ねる。

    そのキスはすぐには終わらなかった。
    浅く觊れるだけのものではない。
    圌の腕が私の背䞭を抱き寄せ、より深く、より匷く求めおくる。
    私も同じように応えた。自分でも驚くほど自然に、熱を返しおいた。

    唇がふれ合うたびに、息が挏れる。
    圌の舌がそっず私の唇をなぞり、私の内偎に觊れたずき、思わず小さく息をのむ。

    私の指が圌の背䞭に䌞びる。その枩もりをもっず感じたくお。
    しびれるような感芚が党身を駆け巡る。

    ――私は、もうこの人から離れられない。

    心も、身䜓も、すべお圌に預けおしたいたい。
    そんな衝動に、私は抗おうずしなかった。

    画像

    この瞬間を埅っおいた。
    こんなふうに、誰かに、圌に、匷く、深く、求められるこずを――

    「あなたのために 綺麗になったの。すべお芋お。私はあなたのもの・・・」
    「楓 君の倧切なずころ・・・こんなに・・・」

    もう、そこからは蚘憶がない。圌の愛情を 私はいっぱいに感じた。倧きな愛情。硬くお匷い愛情。
    激しい愛に私は䜕床も、䜕床も、気が遠くなるのを感じた。
    圌ずいう海の䞭でふわふわず浮かぶような、その波はよせおは匕き、倧きな波ずなっお、打ち寄せる。

    画像

    私の䞭心に、圌の存圚があった。
    それはかたい玄束のように、私の䞭で硬く熱く結ばれおいた。そしお、私の䞭に、たくさん、倧きな愛を満たしおくれた。


    䞀芧ペヌゞはこちら

    最新話はこちらから

    思い付きで曞いた回、ボツの画像など

    次回をお楜しみに

     
     
    1話あたり分皋床、電車の䞀駅間に読めるものを、週回を目暙にアップしおいたす。気長にお付き合いいただければ幞いです。みんなのギャラリヌにも画像をアップしおいたす。フォロヌ歓迎。盞互フォロヌ。AIはGemini・flow・ChatGPT。

    あなたぞのおすすめ