30年間取り憑いていたモノがYouTubeの動画でお祓いできた話
子供の頃から少し不安が強くてネガティブな性格だった。
もしかしたら金縛りにあったり影が見えていたのは低い次元のそういうものを受け入れてしまう性格だったのかもしれない。
何かが現れるときには決まって地鳴りがするので、私はいつも布団を抱き抱えるようにして体を丸めて横向きに寝るようにしていた。
しかし、だからといって見逃してくれるでもなく、背中を引っ掻かれたり、髪をぐちゃぐちゃと触られたりと、何の意味もないいたずらをされる。
私は気配がなくなるまで眠ることができずにいたので小学生なのにいつも寝不足だった。
中学生になっても高校生になっても社会人になっても引っ越しても続いた。
夜更かししてゲームをしていると急にコントローラーがきかなくなり、手を離しても画面の中のキャラクターがしばらくグルグルと回っていたりした。
大人になるにつれて輪郭の曖昧な、黒い人影が体をベタベタと触ってきて余計に不快だったが、私は金縛りで硬直していたのでなす術がなかった。
一番驚いたのは、目を覚ますと真っ白な体の子供が私の体にしがみついていたこと。
とりあえず目を閉じてやり過ごしている間に朝だった。
ガラケーがスマホになり、YouTubeを見るようになって、ある時におすすめに上がってきた龍神祝詩(りゅうじんのりと)の動画を見て、何となくお守り代わりに流しながら寝てみた。
私は夢を見た。
古い時代を思わせる田舎の風景の中に着物姿の知らない女性が立っている。
その女性から届け物を頼まれて、風呂敷に包まれた箱を受け取った。
なぜか行き先を知っていた私はそれを引き受けて出かけることにした。
途中、夜の畦道になり、一本道の遥か先には大きな山が見えた。その麓には点々と明かりが付いている。
「ねえ、あっち」
腰より少し低いくらいの背の幼い子供に手を引かれて、私は一本道を歩き出したが、私の顔の高さに無数の虫がけっこうな強さで当たってくるので、私は子供の手を振り払って元の道に戻った。
歩いていると明るくなり、待っていた一人の男性に荷物を手渡したところで夢は終わり、深夜の暗い部屋で目を開けた。
目を開けると私の頭から足先に向かって薄皮がぺりぺりと剥がれるように黒い影が私の体から離れている最中だった。
私はその黒い影が天井に上がっていくのをぼんやりと見ていた。
そして、それが天井に届くくらいでフワッと消えた…
瞬間…
ベッドの横で何かが表現のしようもない奇声をあげて床をのたうちまわり、壁をザリザリと引っ掻く音が聞こえた。
黒い塊のようなそれは奇声をあげながら壁や棚にぶつかりながら部屋を出るとドタドタとどこかへ駆け抜けていった。
まだ5月なのに私は髪も服もびしょびしょに濡れるほど汗をかいていた。
今からシャワーを浴びたい気分だったが、あれがどこに行ったのかが分からず、部屋から出る勇気がない私は朝を待つことにした。
いつの間にか二度寝していた私はベッドから降りてよろめいた。
何年も凝り固まって重苦しかった肩と腰が軽くなっていたのだ。
本当に、まるで長い間乗せていた岩の塊が取れたようだった。
なんだか部屋も明るい。
とても不思議だった。
さらに驚いたのはLLサイズの服しか入らなかったのが、一週間でMサイズが入るようになったこと。
職場の人にも驚かれたが、こんな話しても理解されないのは分かるので適当に濁しておいた。
あれ以来怪奇現象は起こらなくなった。
小学生のころから私の中に入っていたのはあれだったのだろうか。
もしかすると友達と一緒に遊んだこっくりさんやおまじないの中で何かを呼んでしまったのかもしれない。
あるいは、小学生の頃に林間学校の肝試しで夜の山に入ったからだろうか。
どこから何が憑いたのかは分からないが、YouTubeでお祓いできた私は幸運なのだと思う。