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ゞりの手垖第五話 普通江駅に10時


    #創䜜倧賞2026
    #゚ンタメ原䜜郚門
    #映像化

    デパヌトの仕事が䌑みの日。
    ゞりォンの姿は食品工堎にあった。
    海老の髭を切る仕事の工堎。今日の䜜業は海老ではなく凍った海産物をトレむに詰める。
    指の感芚が無くなりそうなほど冷たい。
    「そこの人、もっず早く。今日の生産目暙が未達になる」
    「 はい」
    ゞりォンはかじかむ手で䜜業を続ける。
    この皋床の叱責ならただいいほうで、来なくおいいず蚀われるのが䞀番぀らい。粟神的にも財垃事情ずしおも。
    私はなんの為に働いおるんだろう 。
    掛け持ちの仕事が無いず生掻が回らないずわかっおいおも、手も心も限界になる時がある。
    倕方。䜜業終了を告げるくぐもったチャむムが響く。「本日の生産予定に達成したので、各自垰宅の準備をヌヌヌ
    やっずの事でノルマ達成。 
    劎働者たちが、疲れた足取りでぞろぞろず曎衣宀に向かっお歩いおいく。ゞりォンもかじかんだ手を掗い、その集団に混じる。
    工堎を出お倖の空気を吞い蟌むず、春の匂いがした。春の匂い、奜きだな。明るい気持ちになれる。
    優しい陜気に誘われるように、ゞりォンはたた闇垂の雑貚店に足が向いた。
    あの青いお皿、ただあればいいな。
    青いお皿はゞりォンを埅っおいたかのように、以前ず倉わらない堎所に䞊んでいた。
    ただあった今日こそ買おう。
    青いお皿は、新聞玙に包たれおゞりォンず垰宅する。ゞりォンの顔に自然ず笑みがこがれる。

    ぀いでに平壌垂民の台所、「人民向け売店」に向かう。屋根぀きの簡易的な調理堎で様々な料理が䜜られおいる。ズラリず䞊んだ売店で今倜の倕食を買う。今日も饅頭マントりず、枩かいずうもろこしスヌプ、人造肉飯味付け湯葉の䞭にごはんを詰めたような料理を買っお垰ろう。
    饅頭屋の売店の前で数名の行列を埅っおいるず、
    チリン。自転車のベルの音。
    「  ゞりォンさん」
    振り返っおも、芋芚えのある顔は芋぀からない。
      ゞホさん
    「ちょっず䌚わないうちに、忘れた笑
    俺よ、ゞホ」
    グレヌの䜜業着のような䞊着ず玺色の䞈が合っおない短めのズボン。人民垜子。くたくたのカバンに、小汚いスニヌカヌ。
    いたたで、デパヌトで出䌚った時の
    雰囲気ずはたるで別人だ。
    「  えゞホさんその栌奜はどうしたんですか」
    「い぀もの、むケおるコヌデもいいけど
    たたにはダサダサ北朝鮮スタむルもいいっしょ笑ギャップ萌えっおや぀笑」
    服装は北朝鮮の人間そのものなのに、
    胞に“あれ”はなかった。
    最高指導者バッゞ。
    それだけで、ゞホがこの䞖界の人間ではないこずが、劙に際立぀。
    「こんな堎所で偶然䌚うなんお、俺たち運呜なんじゃない(笑)」「‥はい。今日は車じゃないんですね。」「こんな屋台通りに車で来たら、即保安員に逮捕されるから笑あれから連絡埅っおたのにさぁ、本圓に逮捕されたず思った」
    「‥いえ。」
    「スマホ貞しお。」
    「え‥」
    「いいから、貞しお。」
    戞惑いながらも、
    ゞりォンはスマヌトフォンを差し出した。
    「ゞりォンさんから、俺に連絡しづらいなら
    俺から連絡する。ゞりォンさんの番号
    俺のスマホに入れるね。
    」
    「‥‥。」
    この前、連絡できずにいたのを芋透かされたような気がした。
    慣れた手付きで、スマヌトフォンを操䜜する。
    肩が觊れ合いそうな至近距離に
    ゞりォンは萜ち着かない。
    ‥‥やっぱり肌癜い。た぀毛、すごく長いな‥。幌い顔立ちず、察照的な長いキレむなた぀毛は印象的だった。
    「はい、番号登録したから。もう俺から逃げ
    られんよ笑
    ねぇ、今床1日ゆっくり出かけよう。
    次い぀䌑み❓」
    「土曜日ですね。」
    「おっけ〜。じゃあ土曜日に普通江ポトンガン駅に10時ね。」 
    「‥‥ゞホさん、なぜ私に構うんですか」
    「ん」
    䞀拍眮いお、
    ゞホは笑っお
    「興味あるから。」
    「‥‥からかっおたすか」
    「ううん俺、女にはい぀も真剣に向き合うタむプだから笑じゃあ土曜日10時ね」
    そう蚀い残すずギコギコず情けない音を立おながら自転車は去っおいった。

    「普通江駅に時」
    ゞりォンは手垖の文字を芋お、決心したように手垖を閉じた。
    楜しみにしおいる自分を打ち消すように、
     断り切れず行くだけだから。
    ず蚀い聞かせ普通江ポトンガン駅に向かう。
    駅は平壌内でも人が行き亀う倧きな駅。
    倩井がアヌチ型になっおおり、重厚感のある照明が印象的。
    少し早く着いたゞりォンは駅のホヌムで埅っおいるず
    ゞホを乗せた電車がホヌムに入っお来た。
    ゆっくり速床を萜ずしながらホヌムに入る電車。
    車内の様子が芋える。新型りィルスの圱響で公共機関でのマスク着甚は必須。灰色や玺色の服装の人々の䞭に赀色が芋えた。
    ゞホさんだ 
    マスクを着甚し䞋向き加枛の人々の䞭に混じり、マスク越しに満面の笑顔を向けるゞホの姿があった。胞の前で小さく手を振っおいる。
    無衚情でくたびれたような人々に混じり、ゞホの笑顔は茝いお芋えた。
    「ゞりォンさんおはよう」
    嬉しそうに電車を降りおくる。「手降ったのになんで無芖すんの。」ずい぀もの調子だ。
    「 いや、だっお恥ずかしいじゃないですか。ほかの人たちも乗っおたすし。」
    「䜕が恥ずかしいの手を振り替えすだけでしょ。(笑)」
    「あそれに敬語犁止党然守っおないし。次敬語話したら眰金にするよ(笑)」
    「  眰金。」真顔で悲壮感を出すゞりォンに
    「冗談冗談早くいこ」ずゞホは促した。
    「朝ごはん食べた」
    「ただ 。」
    「屋台で買っお普通江で歩きながら食べよう。」
    「うん。 ゞホさん、今日は北朝鮮スタむルじゃないんで  だね。」
    「敬語無理にやめなくおいいよ(笑)でも、おもしろいからやっぱこのたた敬語犁止ね。」
    「そう今日はデヌトだからダサい北朝鮮スタむルじゃゞりォンさんも嫌でしょ笑」今日のゞホの服装は、赀いマりンテンパヌカヌに、玺色の枅朔感のあるパンツスタむル。スニヌカヌもスポヌツブランドの物だ。
    「このたえの北朝鮮スタむルも䌌合っおたよ 。」ずゞりォンは少し笑顔で答えた。「元が良いず䜕着おもキマるんよね(笑)」「  。」

    屋台ではホットドッグやコヌヒヌずいった軜食も販売されおいる。
    「ゞりォンさん、ホットドッグ食べよう。」
    普段食べない食事に心が螊った。
    普通江の河川沿いを二人で歩く。ただそれだけの事が特別な事に思えた。
    「ここで、食べよう。」
    ベンチで少し遅めの朝食。
    コヌヒヌずホットドッグの銙りず春の銙り。
    穏やかな青空。
    こんな時間がずっず続けばいいのにな。
    「ゞホさん、そろそろお仕事のお話きかせおもらえない 」
    「ん仕事の話」
    ホットドッグを頬匵りながら、ゞホはゞりォンの方に向き盎る。
    「倖貚皌ぎの仕事だっお。」
    「ゞホさんは、倖囜人なんでしょう」
    「 うん。」
    「䞭囜人」
    「うん 。」
    明らかに答えづらそうな衚情を浮かべた。
    「俺が䜕者かが、そんなに気になる(笑)」
    普段浮かべないような衚情を向けおきた。
    ゞりォンは䜕も蚀えなくなっおしたった。
    「俺さ、確かにゞりォンさんからしたらただの挙動が怪しい男かもしれないし玠性も気になるかもしれないけど、俺の仕事ずか俺の囜籍ずかじゃなくお
    俺自身をもっず知っおほしいな。」
    「  。」ゞりォンは蚀葉を倱った。
    ゞホに惹かれながらも、ゞホの玠性を知っお安心したい気持ちがあった自分に気づいた。
    「 ごめんなさい。」
    「謝らなくおいいよ。」
    そう蚀っおゞホはホットドッグの包み玙を䞞めた。
    「疑われおるんじゃなくお、頌られお無い気がしお、ちょい寂しかっただけ。」
    ず蚀いながらゞホは話題を倉えた。

    「ゞりォンさんは䌑日はい぀もバむトなの」
    「いえ、友人ず矎術通に行っおレストランで食事したり 。」
    「ぞぇ、かけもちバむトしおるから生掻に䜙裕がないのかなっお思っおた。」
    「 䜙裕なんおない。でも行かなきゃ私の䟡倀が䞋がるような気がする。」
    「 䟡倀なんで。」
    「高玚デパヌトの店員ずしおのステヌタスずいうか 。憧れの物を販売しおいる店員が矎術通やレストランにも行けないなんお栌奜が悪くお。」
    「は䜕その芋栄(笑)」
    「  え」
    ゞりォンは驚いた。北朝鮮の階玚瀟䌚に眮いおステヌタスや芋栄は圓たり前の物だったからだ。共感される事はあっおも吊定される事はなかった。
    「なんで、そんな芋栄匵る必芁あんの本圓に矎術が奜きでレストランに生きたいなら別に止めないけど。」
    「 矎術通は興味ある。」
    「高玚店の店員やっおなかったら行かないでしょ。」
    「そんな事ない」
    少し声を荒らげたゞりォンを、ゞホはたっすぐに芋぀めお蚀った。
    「゚ビの工堎で働いお、クタクタになっおたで守りたいステヌタスなんお、俺は意味ないず思うけど。」
    そう蚀っおふわりずベンチから立ち䞊がり
    「ケツ痛いわ、このベンチ(笑)ちょっず歩こ」ず歩き出した。
    ゞりォンは混乱しおいた。
    ステヌタスを守る事が正しいず信じお生きおきたのに、
    その信念を軜々ず越えお、心に螏み蟌んできたゞホの蚀葉。
    ゞりォンの心に深く刺さった。
    二人で䞊んで川沿いを歩く。
    たわいもない話をしおいるず、ずっず前から知り合いだったかのような
    安心感があった。
    玠性もわからない人なのに、なぜか惹かれおしたう 。
    「楜しいけど、川沿い歩いお䞀日はさすがに過ごせないな(笑)
    堎所倉えよう」

    ちょうど昌時ずいう事もあり、昌食を食べる事に。
    「俺の行き着けの店行こ」ずゞホは足取り軜くゞりォンの前を歩いおいく。
     倖貚皌ぎの、仕事しおるんだし行き着けは高玚店ずか私そんなずころ払えない。倧䞈倫かな 。
    䞍安で衚情が曇るゞりォンに「倧䞈倫絶察気に入っおくれるず思う」
     気に入るかどうかはお倀段次第ですが 。

    蟿り着いた店は、高玚ずいう蚀葉からは皋遠い、庶民ど真ん䞭のような
    䞭華飯店。慣れた様子で店に入っおいくゞホ。
    迷いもなく、奥の小さなテヌブルに向かう。
    壁の色もくすんでいお、怅子の脚もガタ぀いおいる。
    でも、劙に萜ち着く空間だった。
    「  高くなさそう。」思わずゞりォンはそう蚀っおしたった。
    「そうそう、だから奜き。たあ女ずのデヌトには䞍向きかな(笑)
    でも、この店俺のお気に入りだからゞりォンさんに教えおあげたかったんよ。」
    ゞホの時々出るヘンなむントネヌションに気になりながらも、ゞホのお気に入りを共有できた嬉しさのほうが勝っおいた。
    「ここの、炒めごはんチャヌハンのような物はマゞで食べおほしい。
    あずは、ゞりォンさんの奜きな饅頭マントりもいっずこう。揚げ鶏も旚いから、これもいこう。」
    「スヌプずかもある」
    「あるよ。卵スヌプも旚いからこれも行っずこう。」
    いかにも䞭華系の店員が次々料理を運んで来る。
    「ここは早い安い旚いの䞉拍子」
    炒めごはんを䞀口食べお衝撃が走った。
    「凄く矎味しい」ず蚀葉が口を぀いおでおしたった。
    「でしょ、ゞりォンさんず食の奜みが合いそうで良かった。」
    ず子䟛みたいに嬉しそうな笑顔を向けるゞホ。
    ゞりォンも思わず優しい笑顔を向けおいた。

    「ただ時間あるし、もうちょっずいい」
    「 うん。」
    「デヌトの最埌はやっぱ倜景でしょ(笑)倧同江テドンガンの倜景芳にいこう」
    倧同江の氎面にビルの倜景が写る。
    遠くには䞻䜓思想塔がラむトアップされおいる姿も芋えた。
    颚が匷くなっおきた。ゞりォンの短い髪を颚が揺らした。
    「ゞりォンさん、俺たち付き合わない」
    「え」ド盎球の告癜にゞりォンのすべおの感芚が停止した。
    「ちょっず考えさせお。ずかはダメだから。ゞりォンさんから返事もらえるの䞀幎埌ずかになりそうだから(笑)俺そんな埅おないし。」
    「今すぐ答えおほしい。ゞりォンさんにずっお俺は必芁な男だず思うから。 ゞりォンさんの事、助けたい。」
    ゞホのたっすぐな告癜に、ゞりォンはい぀もの䞍安が先回りする感情が消え
    「うん。いいよ 。」ず答えおいた。

    6話目はこちら

     
     

    haru

     
     
    はじめお小説を曞きたした。 『ゞりの手垖』は、 普通の人が“普通じゃない日々”に出䌚っお、 ゆっくりず倉わっおいく物語です。 倧きな事件より、 誰かの䞀蚀や 静かな倜の気配みたいなものを倧切にしおいたす。 気軜に読んでいただけたら嬉しいです。 どうぞよろしくお願いしたす。

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