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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

あなたの手元のノートには、いま、いくつの書き込みがあるでしょうか。迷った末の決断と、その理由。通り過ぎてきた経験。使ってみたいのに、ためらっているお金の使い道。今週、自分から選んだ小さな変化。

全部に答えが出ている必要はありません。書いて、置いておく。それでいいのです。答えの出ていない問いは、失敗ではありません。まだ揺れている途中の、生きて動いている問いです。

「はじめに」で、こうお伝えしました。揺れることが、現代のライフプランだと。これまで見てきたのは、その揺れの中身でした。損か得かで割り切れないのも、もう遅いと思ってしまうのも、使っていいのに使えないのも、したいことが出てこないのも——どれも、感情と勘定という二つの声が、あなたの中で真剣に働いている証拠です。片方しか鳴らない人生のほうが、よほど心配です。

この本の題は、「感情と勘定のあいだ」です。最後まで読んでくださったいま、この「あいだ」の意味を、もう一度お伝えしたいと思います。あいだとは、どちらかに着くまでの通過点ではありません。立ち続ける場所です。揺れるたびに、自分のものさしを当て直し、そのときの自分の割合で決めていく。その繰り返しが、お手本のない時代を、自分の足で歩くということだと、私は思っています。

最後に、この本を書きながら、私自身が支えにしてきた三冊をご紹介します。

一冊目は、『選択の科学』(シーナ・アイエンガー著)。②で触れた「ジャムの実験」の出典です。選択肢が多いほど自由になるはずが、人はかえって選べなくなる。私たちが決められないのは、意志が弱いからではないと、科学の言葉で教えてくれます。

二冊目は、『DIE WITH ZERO』(ビル・パーキンス著)。⑨で触れた、資産を使い切ってゼロで終えるという考え方です。そこまで割り切れなくても構いません。「そのお金は、なんのためにあるのか」という問いを、これほどまっすぐ突きつけてくる本は、なかなかありません。

三冊目は、『女の“変さ値”』(鎌田實著)。「変さ値」という考え方に出会わせてくれた本です。偏差値のように周りと比べて測るのではなく、「自分としてどうか」で測る。②で紹介したこの視点は、私の言う「ものさし」の、いちばん近くにいる考え方です。

読み終わったいまが、ノートの書き終わりではありません。むしろ、ここからです。この先、また同じことで揺れる日が来ます。そのときは、ノートを開いて、あの日の自分の理由を読み返してみてください。過去のあなたが、いちばん近くにいる相談相手になってくれます。

揺れたままで、構いません。感情と勘定のあいだ——そこが、あなたの現在地であり、答えの生まれる場所です。


今日の問い

このシリーズを読んで、これからも考え続けたいことを一つ、手元のノートに書き留めてみてください。

(予告に代えて)

本シリーズは全13回です。 気になる回があれば、またそこから読み返してみてください。
≫マガジン「感情と勘定のあいだ」はこちら https://note.com/milabo_2024/m/m5d1cd4926b29

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