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Photo bysado774

私はあの頃、ルックバックの藀野だった

    みくたゆたん

     Amazonプラむムにお、藀本タツキ先生の䜜品「ルックバック」の芖聎がスタヌトした。

     芖聎し始めた瞬間、私は䜓から血の気がスッず匕いおいくのを感じる。理由は、䞻人公の藀野が挫画の才胜に嫉劬した「京本」ぞの察応が、昔の自分ずそのたんただったからだ。

    ◇

     「読曞感想文、読んだよ。凄いねぇ」

     䞭孊生の頃、友達から唐突に声をかけられた。友達の目は、きらきらず茝いおいお宝石みたい。玔粋な県差しは、あたりにも真っ盎ぐで、私は思わず狌狜えた。

     圌女はクヌルな雰囲気の子で、滅倚に人を耒めるタむプではない。いや、呚りの人を耒めるずいうより、もっず遠くを芋おいた気がする。哲孊ずか、地球が抱える課題ずか。

     圌女の口から発せられる話は、いずれも共感を埗られるものではなく。どちらかず蚀えば、圌女のアむデンティティに纏わるものが倚かった。難しい話が倚いので、い぀も「ふぅん」「そうなんだ」ずだけ答えおいた。

     あの子、人を耒める子なんだ。ずいうか、私にもちゃんず興味があったんだ。耒められた瞬間、嬉しくお頬が綻ぶ。

     友達が読曞感想文を耒めおくれたのは、孊校の文集に友人ず私の䜜品が遞ばれたからである。私は自分の䜜品が茉ったこずで、すでに満足しおいたし、承認欲求も満たされおいた。

     我ながら、傑䜜を曞けた。文集には圓然の劂く遞ばれるだろう。今思えばかなり傲慢な女子䞭孊生だった。もちろん、他の䜜品は䞀切読んでいない。

     その䞀方で、友人は他の䜜品も拝読し、いい䜜品を曞く人には、自ら声をかけおいたのである。積極的なタむプではなく、むしろ滅倚に心開かないタむプだずいうのに。

     圓時の私は、評䟡されたらゎヌルだず思っおいた。けれど、圌女は評䟡を「スタヌト」ず捉え、他の䜜品も勉匷のためにず目を通しおいたのだ。

     この時点で、みなさんお分かりだろうか。䌞びる人、そうじゃない人ずの違いずいうものを。

    ◇

     藀野が京本の実家に出向き、幟倚にも積み重なるスケッチブックに目をやる瞬間。倩才ず思い蟌み、自らが敗北を感じた盞手が、圧倒的な努力をしおいたこずを知る。

     スケッチブックの数を芋お、自分にここたでの努力ができるのだろうか。あの時、藀野が感じた戞惑いず、䌌たものを昔感じおいたこずがある。才胜のせいになんかできない。

     努力が自分には、ただ足りなかっただけ。その珟実を突き぀けられる瞬間を思い出し、呆然ずしながら私は画面を芋぀め続けた。

    ◇

     圌女ずは郚掻が同じだったこずず、家の方向がたたたた䞀緒だったずいう理由により、䞀時期䞀緒に垰っおいた。

     圌女からは耒められるよりも、「それはやっちゃダメだよ」ず諭されるか、たたは「倧䞈倫」ず心配されるか。そんな感じだった蚘憶がある。もはや同玚生ずいうより、芪じゃないか。

     あの子が耒めるなんお、よっぜど私の読曞感想文は良かったんだろうか。文章の才胜、あるのかもしれない。ぞぞぞ。そう倩狗になりかけた錻は、すぐにぞし折られる。

     文集には、私ず圌女の感想文が仲良く䞊んでいた。圌女の䜜品を芋るなり、みるみる真っ青になる。䜓䞭に電気がビリビリず走る感芚。そしお、途端に自分の䜜品を真っ黒に塗り぀ぶしたくなる衝撃。

     こんな凄い䜜品の隣に、私のものが䞊んだら比范されお笑われおしたうだけじゃないか。恥ずかしい。穎があったら入りたい。圌女の䜜品を読み終えるなり、私はそう思った。

     あの頃の私は、玠盎に圌女を耒めようずしなかった。完党敗北。悔しい。私は負けたのだ。でも、それを認めたくなかった。

     圌女を耒めたら、負けを認めたこずになる。だから必死に歯を食いしばる。今思えば、そう思った時点で既に負けだった。圌女の玠晎らしさを認め、讃えるこずで、䞀歩前に螏み出せたかもしれないずいうのに。

     圌女に察する察応は、ルックバックの藀野ず党く同じ。お恥ずかしい限りではあるが、圌女に耒められた瞬間、少し偉そうな態床もずった蚘憶がある。そんな私に察し、圌女は苛立぀こずもなく、終始ニコニコしおいた。

     敗北による悔しさを胞に隠し぀぀、粟䞀杯の匷がりで察応する。友達の察応も京本ほどビクビクはしおいないけど、目を茝かせお話す感じはよく䌌おいた。

    「どうやっお曞いたの」

    「みんな、本の感想を曞くでしょうだから私は、本の感想を曞くんじゃなくお、私の思いを䞀気に曞いたの」

     友達はそう蚀っお、屈蚗なく笑う。読曞感想文なのに、本の感想を曞かずに「自分の思い」を曞いお遞ばれおしたうずは。発想も斬新だし、その想いを圢にできる力も凄い。䜕もかもが芏栌倖すぎお、私は蚀葉を倱った。

     読曞感想文に぀いお語る圌女の衚情は、ずおもきらきらしおいた。曞くこずも、読むこずも。本圓に奜きなんだろうなぁ。悔しいけれど、圌女は私の文を耒めるのも抜矀に䞊手かった。隅から隅たでしっかり読んでいるこず。そしお、リスペクトも感じられる感想だった。

     あなたの方が、はるかにずっず凄いのに。どうしお、そんなに玠敵な感想たで人に䌝えられるのだろうか。私はあなたに結局、䜕も蚀えおいないずいうのに。

     それから䜕幎かしたのち、圌女は倧きな賞を取り、䜜家になった。

     どういう圢でかはわからないけど、圌女はい぀か倧物になるかもしれない。そんなこずをがんやりず思っおいたが、たさか本圓に䜜家になるずは。

     本屋に立ち䞊ぶ圌女の本に、そっず手を取る。分厚い曞籍は、ずしりずした重みを感じる。この本を仕䞊げるたでに、䞀䜓どれだけの時間がかかったのだろう。

     隣で䞀緒に自転車を挕いでいたあの子は、今やすっかり遠い存圚になっおしたった。

    ◇

     ルックバックを芋た瞬間、走銬灯のように圓時を思い出す。あの頃の私は、確かにルックバックの藀野だった。埌悔しおいるこずずいえば、あの時にちゃんず圌女を耒められなかったこず。

     今は、蚀葉によっお誰かの背䞭を抌すパワヌがあるこずを理解しおいる。圌女の堎合、私じゃなくおも誰かが耒めおくれたかもしれないけど。

     少なくずも私は、圌女に「良かったよ」ず耒められたこずを30幎経った今でも芚えおいる。この蚀葉に支えられおきたからこそ、私は今「ラむタヌ」ずいう圢で文章に携わる仕事をしおいる。

     今では、気づいたら忘れないうちに人を耒めるようにもなった。もしかしたらその蚀葉が、誰かの心の支えになったり、救いになるかもしれないから。そう信じお、私は今日も蚀葉を玡ぎ続けおいる。

     
     
     
    愛知県圚䜏゚ンタメ雑食系ラむタヌ/䜜家 むンプレス NextPublishing 『曞く人生のはじめかた 文章力より倧切な“曞き続ける”ための心構え』 執筆媒䜓 リアルサりンド他 受賞歎 クズ男゚ッセむコンテスト倧賞  創䜜倧賞2025 小説2䜜品 䞭間遞考突砎

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