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倩才ず凡才【第䞀話】

【あらすじ】

 唄子ず沙莉は、䞀卵性双生児の姉効。効の沙莉は、才胜に溢れた姉の唄子に日々嫉劬しおいた。

 ある日、沙莉はむンタヌネットでどんな願いも叶える「ミラヌペンダント」ずいう商品を芋぀ける。

 ペンダントには、「身の䞈に合わない願いをかけるず、倧切な人が眰を受ける」ずいう恐ろしいルヌルがあった。沙莉がペンダントを手にした途端、人生は倧きく激倉する。その䞀方で、倧きな願いをかけるたびに、呚りの人が䞍審な死を遂げる。

 䞍思議なペンダントによっお人生を翻匄される双子姉効の葛藀ず愛憎を描くホラヌサスペンスストヌリヌ。

あらすじ

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【小説】倩才ず凡才

衚玙

第䞀話

プロロヌグ

 第6回日本よだか文孊賞には、23歳の朚村唄子さんの䜜品「ロヌマに恋をしお」に、決定したした。

 遞考委員䌚は9月4日、䜜家の青葉圭、亀嶋ゆかり、岞田菜摘、濱厎ナカ、間宮はるみ、吉川満次郎五十音順の六委員が出垭し、厳密な審査が行われたした。

 文孊賞は、満堎䞀臎で朚村さんに決定。䜜品を拝芋した遞考委員からも、感動の声が届いおいたす。

【遞考委員からの遞評】

こんなに暖かく、優しい小説を僕はいただか぀お知らない。

青葉圭(官胜䜜家)

「愛ずは、耇雑で難しいもの。繋ぎ止めようずしおも、蛇口からしたたり萜ちる氎滎のように、脆くお匱い」

この䞀文を読んだ瞬間、私の党身がピリピリしたのだ。感情だけでなく、䜓党身を揺さぶる倧䜜ずの出䌚いに、私は涙が止たらない。

亀嶋ゆかり(芥川賞䜜家)

海倖で起きた出来事を、巧みな技術で衚珟するのが倧倉䞊手い䜜家ず感じたした。

濱厎ナカ(小説家)

 双子の姉である唄子が、文孊賞に受賞した。

 炬燵で蜜柑の皮をずるずるず剥きながら、沙莉さいりはふぅずため息を぀く。い぀だっお、そうだ。唄子は、欲しいものを党郚暪から奪っおゆく。

 そもそも唄子は、昔から䜜家になりたかった蚳じゃない。いやいや、むしろ。唄子は昔から、倢なんお䜕䞀぀持っちゃいなかったはずだ。

 唄子は、昔から飄々ずした衚情の女だった。気分屋で、自信家、我儘なのに、倚くの人たちから愛されお生きおいた。

 唄子が陰で努力しおいる姿は、これたで䞀床も芋たこずがない。にも関わらず、倩才の唄子は、䜕をやっおも結果が぀いおいく。呚りの倧人たちからは、神童ずも呌ばれおいたっけ。

 それに比べ、凡才の私はどんなに努力をしおも、さっぱり芜が出ない。あの女は、私の暪から倢や垌望を、すべお奪い取り、嘲笑うのだ。

 沙莉は、癜い筋で芆われた蜜柑を、思い切りギュッず拳で朰す。指の隙間から、蜜柑の汁がポタポタず滎り萜ちる。

 沙莉は、服の䞊から手を勢いよく擊り付け、汁をそそくさず拭いた。沙莉は汁が僅かに残った手をそのたたに、無我倢䞭で携垯を掎む。

 携垯を手にした沙莉は、決死の圢盞で画面をスクロヌルし続ける。沙莉は、X(旧Twitter)で唄子の䜜品に぀いお、血県になっお゚ゎサヌチをし始めた。

 SNSを遡れば、誰かが唄子の䜜品に぀いおネガティブな発蚀をしおいるかもしれない。しかし、SNSを蟿っおみおも、圌女を賞賛する声しか芋぀からない。

矎人䜜家、爆誕!!

幞圊倢を叶える旅人

なんお矎しく、可憐な文章を曞く人なのだろう。きっず芋た目のみならず、心も矎しい方に違いない  。

レンミニマリスト

実䜓隓に基づいた恋愛ストヌリヌで、共感するポむントも倚かった。
倧倉お綺麗な方で、海倖でたくさん恋をされた方ずいうのも頷ける。今床はぜひ、恋愛゚ッセむも読んでみたいものだ。

ayumi@矎容研究家

 絶賛の声ばかりで、面癜くない。沙莉は、携垯をぶんず宙に攟り投げた。携垯は勢いよく壁に圓たり、がしゃんず音を立おお床に転がった。

 唄子のこず、みんな綺麗ず耒めおる。芋た目が綺麗だから、心も矎しいに違いないっお。そんなの、あなたの思い蟌みでしかないでしょうに。

 䞀卵性双生児で同じ顔の筈なのに、どうしお唄子ばかり綺麗ず耒められるのかしら。沙莉は、自分の頬に手を圓おる。昔から「可愛い」「矎人」ず持お囃されるのは、い぀だっお唄子だけ。

 俯き加枛で猫背の私は、衚情の暗さもあっおか、䞀床も容姿を耒められたこずはない。

  ——なぜ、唄子ばかり瓜二぀の、たったく同じ顔なのに  。

 きっず、唄子が矎しく芋えるのは、自信に満ち溢れおいお、い぀も笑顔だからだろう。どうしお唄子は笑顔なのに、私は圌女ず同じように笑えないんだろう。

 い぀も、隣でふんふんず錻歌を歌いながら、髪をずく唄子に苛立぀日々。い぀もニコニコず嬉しそうに過ごす圌女を芋る床に、沙莉は思った。どうすれば、圌女のように矎しく笑えるのだろう、ず。

 ふず唄子の行動を振り返った沙莉は、あるこずに気づく。唄子は矎を保぀ために、定期的に゚ステに通っおいたはず。゚ステに通えば、自信が぀いお、笑顔になれるのかもしれない。

 単玔明快な発想ずは理解しおいたが、そう感じた沙莉は、すぐさた゚ゎサヌチをやめ、今床は矎容゚ステ、矎容医療に関する情報をひたすら探し続けた。

 しかし、矎容゚ステや矎容医療を根気よく調べたずころ、どうやら䞀回では倉化が難しく䜕床も通う必芁があるずのこず。

 時間がかかるのは、駄目。そもそも沙莉の所持金は、珟圚5䞇円ほどしかない。゚ステに通い続けるのは、お金も時間もかかるからダメだ。

 もっず、効率よく。できれば時間をかけずに、運呜を倧きく倉えられそうなものを芋぀けなければ  。

 ネットサヌフィンを続ける䞭で、ふず沙莉の目に飛び蟌んできたのが「どんな願いも叶う。ミラヌペンダント」ずいう商品だった。

ミラヌペンダント

 挆黒の色をしたミラヌペンダントの広告バナヌは、党䜓的にどこかおどろおどろしいデザむンだった。沙莉は思わず、バナヌをクリックするのを躊躇う。

沙莉は、恐る恐る広告バナヌをクリックする。

「キィィィィ」

 ガラスを匕っ搔いたような、奇劙な音が蜟く。沙莉は恐怖で「ひぃ  」ず声をあげた。クリックした先のペヌゞ䞭倮には、「幞せを芚悟できる人だけ、お入りください」ずいう文字が、匱匱しいフォントで曞かれおいた。

 沙莉は、文面にどこか䞍気味さを芚え、ごくりず唟を飲み蟌む。

幞せになる芚悟、か  。沙莉は、自分の心にそっず胞を圓おる。その文を芋るなり、幞せや成功を手にするには、芚悟が必芁なのかもしれないず、沙莉は思った。

 沙莉は勇気を出しお「幞せを芚悟できる人だけ、お入りください」の文字をクリックする。するず、開いたペヌゞには、商品の説明に぀いお぀ら぀らず曞かれおいた。

 ホヌムペヌゞの商品説明によるず、ミラヌペンダントずは、ペンダントトップに鏡が぀いた、メッキ玠材のアクセサリヌらしい。

 広告の䞀文によれば、そのペンダントを぀けるず、その時心で感じた願いが、䜕でも叶うそうだ。

【どんな願いも叶えるミラヌペンダント】

 ミラヌペンダントは、あなたのどんな願いも叶えるアクセサリヌです。
 䟡栌は、100,000円(皎蟌)。今ならキャンペヌンで、金利0%にお24回払いで賌入できるので、お金のない方もご安心ください。

ミラヌペンダントの説明

 鏡は、その人の願いを増幅されるスピリチュアルなパワヌを秘めおいたす。人の幞せを願えば、より䞀局あなたに幞運が蚪れたす。

鏡のスピリチュアル効果に぀いお

 ミラヌペンダントの取り扱いには、泚意が必芁です。泚意点は、以䞋のずおりずなりたす。

①人の䞍幞や、死を連想するこずを願っおはいけない
②無理目な願いが叶った堎合、その反動で呚りの人に䞍幞が蚪れる可胜性がある。

 人の䞍幞を願うず「呪い」や「黒魔術」の䞀皮ずなり、しっぺ返しずしお呪いに襲われるので泚意が必芁です。

 このペンタントは、あなたの身の䞈に合わない願いすら、たやすく叶えおしたいたす。その䞀方で、身の䞈に合わない願いが叶った堎合、その犠牲ずしお「倧切な人」が眰を受ける可胜性がありたす。

ミラヌペンダントの泚意点に぀いお

 「あなたの願いを叶える」ずいう蚀葉を芋た瞬間、沙莉の心臓はドクドクず高鳎る。

 このペンダントさえ持おば、私も䜜家になれるのだろうか。沙莉は、そのペンダントが欲しくおたたらなくなった。

 唯䞀気になった点ず蚀えば、「身の䞈に合わない願いが叶った堎合、その犠牲ずしお倧切な人が、眰を受ける可胜性がある」ずいう項目だ。

 沙莉は、ふず母ず姉のこずを思い出す。沙莉は、母も姉も、どちらも倧が぀くほどの嫌いだ。唯䞀可愛がっおくれた父は、数幎前に他界しおいる。

 沙莉の父は、数幎前に家の䞭で、心臓発䜜で倒れ、この䞖を去った。

 父の死䜓を䞀番最初に発芋したのは、沙莉だった。父の死䜓は、たるで党身からすべお血が抜き取られたかのように、真っ青な状態をしおいた。

 目は癜目をぐるっずひん剝いおおり、口からはピクピクず泡を吹いおいる。父の衚情は、たるでこの䞖の終わりをみたような顔だった。奇劙な父の姿は、今でも忘れられない。

 沙莉が母に、父の様子がおかしいこずを䌝えるず、母は「いっ、いゃぁぁぁ」ず倧声でわめき出す。やがお母は、震える手で救急車を呌んでいた。

 父の死䜓は、腕、足がぐりっず捻れた状態だった。死䜓が奇劙なため、䞀時は事件性も疑われた。しかし、第䞉者の指王が確認できなかったこずから、病死ずしお片づけられおしたう。

 専業䞻婊だった母は、父の死埌、死亡保険ず遺族幎金でやりくりを重ねおいた。母は、働かないのだろうか。そう䜕床か声をかけようずしたが、どうやら死亡保険でかなりの額が入ったらしい。

 母は父が死んでから、憑き物が取れたような顔をしおいた。父の生前は、い぀も私のやるこずなすこず口出しするから面倒だず、そう蚀えば蚀っおいたっけ。でもだからっお、死を悌たないのは配偶者ずしおはあたりにも残酷だ。

 父は、ずおも優しい人だった。どうしお母じゃなくお、優しい父が死ななければならなかったのか。沙莉は父が死んでから、悲しみに暮れおいた。

 そんなある日、突然姉の唄子が「海倖留孊をしたい」ず我儘を蚀い始める。父が死んで、ただ数ヶ月しか経っおいないのに。家族を顧みず、身勝手な発蚀を取る姉に、沙莉は憀慚した。

 母は、そんな姉に察し、「この子は特別だから」ず疑うこずなく、すぐさたお金を甚意した。母も母で狂っおいるず、沙莉は思った。

 父の遺圱に手を合わせるのは、結局沙莉だけ。母も姉も、誰も仏壇ぞ手を合わせようずしない。沙莉のむラむラは、日々募るばかり。父は、唄子のこずだっお可愛いがっおくれたのに。姉は、恩を仇で返す女なのだろう。

 ちょうどこの頃、沙莉は倧孊ぞの進孊を垌望しおいた。ずころが、沙莉は進路盞談で孊校の先生から「進孊は難しい」ず䌝えられる。沙莉はショックのあたり、呆然ずした。

 おっきり、私もみんなず同じように、倧孊ぞ進孊できるず思っおいたのに。沙莉は倧孊に進孊できないず知り、がっくりず肩を萜ずす。

 するず母は、沙莉の手を匕いお、ある䜜業珟堎ぞず向かった。

「明日から、ここで働きなさい。あなたにずっお、生きる堎所になるかもしれないから」

 母は、どこか決たりの悪そうな衚情で、ボ゜ッず囁く。䜜業珟堎には、砎棄のない衚情をした人、ぶ぀ぶ぀ず䜕かを呟いおいる人、キョロキョロず終始萜ち着きのない人など、人のタむプも千差䞇別だ。その光景を芋るなり、沙莉は自分の未来を諊めた。

 その日から、沙莉は母の指瀺通り、その珟堎で箱詰め䜜業の仕事をし始めた。唄子は海倖留孊のお金をポンず出しおもらえるのに、自分はなぜ倧孊に行かせおもらえないのだろうか。

 现々ず䜜業珟堎で仕事をこなし぀぀、沙莉のモダモダした気持ちは止たらない。

 姉の唄子は、海倖留孊したのち、わずか数か月埌に倧孊を䞭退した。䞭退埌は、䞖界䞭を旅し、呑気に遊び惚けおいるらしい。

 倧孊に行く気がないなら、私にその垭を譲っおくれればよかったのに。沙莉は、母が姉ばかり䟝怙莔屓するのが、昔から蚱せなかった。

 私には、既に倧事な人なんお䞀人もいない  。沙莉は、躊躇うこずもなくペンダントをカヌトに入れ、賌入手続きをし始めた。

 このミラヌペンダントで人生が逆転すれば、唄子を芋返すこずだっおできるかもしれない。それに、父の死を䜕ずも思わないような、血の涙もない母、姉が犠牲になっおも、私には関係ないわ。

 本圓に願いが叶っお、人生が倉わるなら安いものだず、沙莉は感じた。

 それから数日埌、ミラヌペンダントが沙莉の元に届く。ペンダントが入っおいた箱は、かなりボロボロな状態で、四隅は穎が空いおいる。届いた日が雚だったこずもあり、雚氎が䞭に䟵入しおいる様子も感じられた。

 高䟡な商品だったにも関わらず、あたりにボロボロのパッケヌゞだったため、沙莉はかなり憀慚した。パッケヌゞを開けるず、箱の䞭倮にペンダントが無造䜜に入っおいるのを確認する。

 梱包材が入っおいないこずに察し、「10䞇円もしたのに」ず、沙莉は匷い苛立ちを芚えた。これで商品に䟡倀を感じられなければ、正盎消費者センタヌに蚎えおやろうずも、沙莉は考えた。

 ペンダントの䞭倮には、鏡のシヌルが貌られおおり、玠材もメッキのせいか、所々剥げおいる。あたりに簡玠な䜜りのペンダントだったので、商品を芋た瞬間、思わず隙されたのかもしれないず、沙莉は思った。

 沙莉がそのペンダントを぀けるず、身䜓䞭にビリビリず電気が走るような感芚を芚える。

「えっ  。な、なに」

 ペンダントを぀けた瞬間、沙莉の䜓党身は熱くなり、ほおりを感じた。その途端、䞍思議なこずに、䜓が勝手にするするず動きはじめたのである。

「やめお」

 声を出そうずしおも、䜓は止たっおくれない。やがお、背䞭を匷く䜕者かにドヌンず抌される感芚のたた、沙莉の䜓は廊䞋をスヌヌッず進んでいく。䜓は唄子の郚屋前に蟿り着き、ドアが勝手に「バヌン」ず音を立おお開いた。

 沙莉の䜓は、郚屋の䞭にすうっず吞い蟌たれおいく。気づくず、沙莉の䜓は、唄子のノヌトパ゜コンの前に座っおいた。

 ノヌトパ゜コンは唄子のものなので、もちろんパスワヌドなんお知る由もない。にも関わらず、沙莉の指の動きは止たらない。指が勝手に動き、なんずパ゜コンのパスワヌドを解陀したのである。

「ひっ  ひぃ  。な、䜕で勝手に指が動くのよ  。やっ、やめおよ  」

 恐怖のあたり、沙莉の顔が匷匵る。それでも、䜓は勝手に動き続けおいく。どんなに「やめお」ず願っおも、指の動きは止たらない。

 自動でパカっず開いたパ゜コンは、䜕もしなくおも電源が぀き、指は勝手にキヌボヌドの䞊で流暢に螊り出した。

 カタカタずキヌボヌドを打ち蟌む音が、郚屋いっぱいに響き枡る。郚屋の電気は、消えたり぀いたり䞍安定な状態だった。沙莉の指はそのたた止たらず、勝手にカタカタず音を立おお動き続けたのである。

 ふず画面に目をやるず、驚きで沙莉の顔が止たる。なんず、あっずいう間に小説が完成しおいたのだ。驚いたのは、それだけではない。なんず、勝手に指が動いお、その䜜品を「第7回よだか文孊賞」に応募ぞず進めおいたのだ。

 文章が曞き終わっおしばらくの間は、沙莉の腕ず䜓党身は、たるで鉛のように重かった。

 無理もない。自分の意思ずは裏腹に、䞉日䞉晩䞀睡もせずに、沙莉は小説を曞き続けおいたのだから。

 小説を執筆する間、時には睡魔が遅い、沙莉はりトりトず眠りに぀くこずもあったが、腕の動きだけは䞀切止たらなかった。

 朝に目が芚め、腕がただカタカタず音を鳎らす様子を芋お、沙莉は恐怖で心臓がキュッず苊しくなった。

 やがおすべおの䜜品を曞き終え、䜜品が応募たで進むず、急にパ゜コンの画面がプツッず消えた。その瞬間、沙莉はその堎で倒れるように眠り続けた。

 そしお䞀幎埌、沙莉は唄子ず同じ文孊賞に入遞。文孊賞のお知らせが届いた時、沙莉は嬉しさよりも恐怖心で党身が震え続けた。これは䞀䜓、倢なのか。それずも  。

䜜家デビュヌ

 沙莉は䞍思議なペンダントのお陰で、あれよずいうたに䜜家ずしおデビュヌするこずずなった。

 遞考委員の䞭には、憧れの濱厎ナカの姿もある。入賞匏で濱厎の姿を芋るなり、沙莉は緊匵のあたり手の震えが止たらない。

 濱厎は、人気の売れっ子䜜家だ。個性的なファッションに身を包んでいるこずから、ファッションリヌダヌずしおも呌び名が高い。

 濱厎は、その日も鮮やかな服を身に纏っおいた。濱厎の党身から醞し出す売れっ子オヌラに怯み、沙莉は思わず埌ずさりをしおしたう。

 そんな沙莉に察し、濱厎は優しく「おめでずう」ず声をかける。沙莉は憧れの人に声をかけられ、頬を赀く染めお興奮した。憧れの濱厎からは、なんず遞評たで頂いた。

繊现さず、心の葛藀が䞊手く曞かれおいたす。これからの時代を背負う䜜家が誕生したずいっおも、過蚀ではありたせん。私は今、この䜜品に出䌚い、感動のあたり猛烈に震えおいたす。

濱厎ナカ(小説家)

 遞評を読んだ途端、沙莉は嬉しさのあたり膝がガクガク震えお止たらなかった。なんず、憧れの人が自分の䜜品を読み、感想たでくれたのだ。

 ずはいっおも、䜜品を仕䞊げたのは自分ではない。党おは、ミラヌペンダントのお陰だ。正盎なずころ、䜜品を自分で完成させた蚳ではないので、受賞した時に達成感のようなものは感じられなかった。

 それでも沙莉からすれば、憧れの濱厎ナカが、自分の存圚を知っおくれただけでも嬉しかった。

「あの  ずっず。ずっず、䜜品を小さい時から読んでいたした  」

 沙莉は震える声で、濱厎にそう䌝えた。

「ありがずう。そんな颚に蚀っおもらえるなんお、嬉しいわ」

 濱厎は、優しい口調で答えた。嬉しさのあたり、沙莉はすっかり興奮する。

「私ずっず、濱厎さんの䜜品が倧奜きで、党䜜品読んでいたす。ずくに濱厎さんのデビュヌ䜜である「孀高の女神」は、私が䜜家を目指すきっかけずなった䞀冊です。

孀高の女神では、瀟䌚に銎染めない女性が、魔女ずの出䌚いをきっかけに、どんどん成長しおいく姿が玠敵でした。

ずくに、䜜品の60ペヌゞで、䞻人公のナキが『私は䞍噚甚な性栌だけど、幞せになるこずを絶察に諊めないんだ』ず、蚀い攟぀シヌンは最高でした。

2䜜目ずなる『日曜日のナナ』は、孀児院育ちの女性が環境に負けず、䞀生懞呜奮闘する姿が玠晎らしくお、䜕床も勇気をもらえたした。

3䜜目の『サツキの憂鬱』では、障害を抱えながら、前ぞ䞀歩進もうずするサツキの姿に自分を重ねたこずもありたす  。

ずくに132ペヌゞのサツキの母のセリフも玠晎らしくお、䞀語䞀句芚えおいたす」

「ぞぇ。ペヌゞから、セリフたで芚えおいるなんお。あなたっお、蚘憶力が凄いのね」

「そ  そんな私、普段は、蚘憶力は党然働かないんです。

でも、奜きなこずに関しおは䞍思議ず胜力を発揮しお、濱厎さんの䜜品なら䜕ペヌゞにどんな内容があるかも党郚䌝えられるかず  。

あっ。すいたせん぀い぀い、自分の話ばかりしおしたっお。

癖なんです。興奮するず、頭に浮かんだこずをブワヌッず䞀方的に話しおしたう癖があるんです」

 申し蚳なさそうにペコペコず䜕床も頭を䞋げるず、「ふふっ。いいのよ」ず蚀っお、濱厎さんは手を差し出しおくれた。

 たさか、濱厎さんず握手たでできるなんお。濱厎さんの手を握るず、ずおも枩かくお、優しい手だった。手を握った瞬間、沙莉は嬉しさのあたり涙が溢れお止たらなかった。

「こんなに感激しおくれるなんお。今たで、頑匵っお小説を曞いおきお、本圓によかった。あなたも、これから頑匵っおね」

 濱厎さんはあの日、優しい声で確かにそう蚀ったのに。翌日、沙莉の目に信じられないニュヌスが飛び蟌んできたのである。

 臚時ニュヌスを申し䞊げたす。䜜家の濱厎ナカさん30が、死亡したした。

臚時ニュヌス

 䜜家の濱厎ナカが、死亡したのだ。

【第二話ぞ続く】

【第二話第四話リンク】

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