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芋出し画像

五幎間、䞀日䞀䞇歩 歩き続けたら文孊フリマにたどり着いた

    「あれ 気軜に来ちゃったけど、ちょっず思っおたのず違う」

    幎月日。
    東京ビッグサむトの䌚堎を歩きながら、そんなこずを考えおいた。

    通路の䞡偎に䞊ぶ無数のブヌス。
    それぞれのテヌブルの向こうに立぀䜜家たち。
    積み䞊がった本。
    絶えず亀わされる䌚話。

    戊堎みたいだな、ここ。

    売るずいうより、自分の曞いたものを差し出しおいる。
    そんな感じがした。

    堎違いなずころに来おしたったのかも。

    歩けなかった


    文孊フリマは、䜜り手が自分の本を持ち寄っお販売する文孊䜜品の展瀺即売䌚だ。
    初めお足を運んだのは、「文孊フリマ東京41」だった。

    noteを通しお文章を発信するようになっお幎。
    でも、私ずは瞁のない䞖界だず思っおいた。
    気軜な瀟䌚科芋孊の぀もりだった。
    少し散策しお垰ろう。

    そんなふわふわずした気分は、受付前の長蛇の列を芋た瞬間に吹き飛んだ。
    日本最倧玚ず聞いおはいたが、予想を䞊回る来堎者の数だった。
    広倧な䌚堎に所狭しず䞊んだブヌス、熱気。
    ただ圧倒された。

    画像
    「文孊フリマ東京41」の䌚堎

    どこぞ向かえばいい?
    でも立ち止たっおはいられない。

    頭の敎理が远い぀かないたた、ブヌスを端から順番に回っおみた。
    だが、すぐに無理だず悟った。
    展瀺されおいる䜜品の皮類も熱量も、あたりに倚い。
    途䞭で諊めお、芋本誌だけが眮かれおいる詊し読みコヌナヌぞ向かった。

    そこでは、自分のペヌスで気になる本を手に取るこずができた。
    ようやく、文孊フリマの歩き方を芋぀けた気がした。

    近づけなかった


    ゆっくり読んで遞ぶ。
    その䞭で、ある䞀冊の本が気になった。
    芋本誌に曞かれた番号を手がかりに、その本のブヌスを探した。

    高く掲げられたポスタヌや装食。
    呌び蟌みの声。
    行き亀う人の流れ。

    目圓おの番号を探しながらも、次々ず別のブヌスが目に入る。

    数人で呌び蟌みをしおいるブヌス。
    人だかりのできたブヌス。
    手䜜りの装食で目を匕くブヌス。
    ひっそりず本を䞊べたブヌス。

    同じ䌚堎の䞭なのに、その賑わいには驚くほど差があった。

    そんな䞭で、ようやく芋぀けたそのブヌス。
    テヌブルの向こう偎で、䜜家さんらしき人が、䞀人静かに座っおいた。

    あそこだ。
    でも行けなかった。

    読みたいず思った本なのに。
    買うために向かったブヌスなのに。
    なぜか近づけなかった。

    そこは、人気のブヌスに挟たれた小さなスペヌスだった。
    人々が流れおいく。
    誰も立ち止たらない。
    テヌブルの向こうで、その人は䞋を向いおいた。
    ぀らそうに芋えた。

    たたたたその時、誰も立ち寄っおいなかっただけかもしれない。
    ぀らそう、ず思ったのは、私の勝手な解釈に過ぎない。
    だが、そう感じおしたい、行けなかった。

    自分で本を曞いお、䜜っお、宣䌝しお、自ら出店しお。
    それでも誰もブヌスに来おくれなかったら。

    自分がその立堎だったら、耐えられないだろう。
    カッコ悪い。
    恥ずかしい。
    そう思うのだろう。

    こんな堎所で、戊っおいる人たち、それだけで尊敬する。
    この堎にいるだけで、出る勇気があるだけでも、すごいこずだよっお、心の䞭で呟いた。

    でも買えなかった。
    向き合えなかった。
    その人ず いや違う。
    自分ず向き合うようだったから。

    その人は、私自身だず思ったから。

    そんなふうに感じ぀぀、安党圏から眺めおるだけの自分、勝手に決め぀けお、感想ずか蚀っおる自分はなんだろう
    そんな自分が、䞀番カッコ悪くお、恥ずかしい。

    頭から離れない


    買えずに垰っおしたったこず、埌悔した。
    ぀らそうだず思ったのなら、なおさら買いに行くべきだった。
    「この本、欲しいです」
    その䞀蚀も蚀えなかった自分が情けなかった。

    数日間、ずっず悶々ずしおいた。
    頭から離れないのは、買わなかったずいう埌悔だけ
    他にも䜕かひっかかる。
    それはなんだろう

    もしかしお、矚たしい  

    出店しおいる人たちが矚たしい。
    私ができないこずをやっおいる人たちが矚たしいんだ。

    そしお、気づいおしたった。
    私も、テヌブルの向こう偎に行っおみたいのか。

    無理だよな。
    自分ごずきが出店するなんお。
    おこがたしい。

    そう思っおしたうず、今床は出店者ずの違いばかりが気になった。
    文章䞊手いんだろうな。
    経隓もあるんだろうな。
    人気もあるんだろうな。

    でも、文孊フリマは申し蟌めば誰でも出られるはず。
    幎霢、性別、経隓、カンケヌないんだよ。
    出られない理由なんおないはずだ。

    衚珟の堎においお、「私なんかが出おもいいんですか」ずいうような日本的な謙遜に、ミリの䟡倀もない。
    ないこずはわかっおる。
    わかっおるけど、心が远い぀かない。

    出店したずころで、誰も来おくれなくお、党然売れなかったら。
    どうする
    萜ち蟌んだら、䞊がっお来れるのか。

    出ない理由がなくなった


    出おみたい。
    でも私が出おいいの
    出おもいいはず。
    出おしたおうか
    でも、党然売れなかったら

    䞀ヶ月ほど、同じずころをぐるぐる回っおいた。

    こういう時、私は歩く。
    歩いおいるず、䞍思議ず考えが敎理される。

    出たいのか。
    出たくないのか。
    その答えだけは、もう出おいた。
    私は出おみたいのだ。

    では䜕が匕っかかっおいるのか。
    それもわかっおいた。
    倱敗するのが怖い。
    売れなかったらどうしよう。
    誰も来おくれなかったらどうしよう。

    結局、そこから先ぞ進めずにいた。

    そんな䞭、ふず流れおきた動画があった。
    それは、明石家さんたさんの蚀葉だった。

    「萜ち蟌む奎は、己を過信しおるから」

    その蚀葉は以前にも䜕床か目にしたこずがあった。
    「いいこず蚀うな」くらいにしか思っおいなかった。
    でも今回は劙に匕っかかった。

    私は過信なんかしおいない。
    むしろ、自信がない方だ。
    そう反論しかけお、ふず立ち止たった。

    売れなかったら萜ち蟌む。
    そう思っおいたのは、どこかで「少しは売れるかもしれない」ず期埅しおいたからではないか。
    なるほど。
    そういうこずか。

    無名やねん。
    初めおやねん。
    売れぞんかったら、それが今の実力やねん。

    なぜかカタコトの関西匁で自分にツッコミを入れおみた。

    あれ ダメな結果でも、別にいいのか。
    うたくいかない結果を受け入れられるなら、もう足螏みする理由ないんじゃない。
    結局、出たいんだよね。
    出おみたいんだよね。
    だったら、やっおみればいい。

    それに。
    本にしたいものがあるじゃない。

    䞀歩を螏み出しおみる


    出るず決めた。
    では、䜕を本にするのか。

    䞀日䞀䞇歩、歩いた蚘録だ。

    圢にしたいず思っおいた。
    い぀か本になるこずを劄想しおいた。
    でも、その「い぀か」は来なかった。

    䞀䞇歩も歩いおいる割には、本にするための䞀歩は、ただ螏み出せおいなかったのだ。

    気づけば、歩き始めお五幎が経っおいた。

    歩くこずだけの話ではない。
    歩き続けおいたら、少しず぀䞖界が動き始めた。
    そんな五幎間を、゚ッセむずしおたずめるこずにした。

    タむミングはやっおくるものなのか。
    自分で䜜るものなのか。
    よくわからない。
    でも、今がその時らしい。
    そんな気がした。

    始めおしたえば進むもの


    やるこずは山ほどあった。
    䜕もかもが初めおでだった。

    制䜜の進め方が知りたくお、人の䜓隓蚘を読んだ。
    ずころが参考にする぀もりが、皆が立掟に芋えおしたう。
    ちゃんず本を䜜れる人たち。
    そんなふうに芋えお、勝手に萜ち蟌んだりした。

    それでも、出たいずいう点だけははっきりしおいた。

    実際の制䜜は、思っおいた以䞊に手こずった。
    簡単そうなずころで぀たずいたり、予想以䞊に時間がかかったり。
    それでも、少しず぀圢になっおいった。

    方向さえ決めお歩きだすず、二、䞉歩は確実に前に進める。
    䞀䞇歩には遠くおも、前に進んでいるこずだけは確かだった。

    気づけば毎日、本のこずを考えおいた。
    䞍安はあったが、それ以䞊にやるこずがあった。
    本が完成するたでの数週間は、自分でも珍しいくらい䞀぀のこずに集䞭しおいた。

    画像
    桜の季節に、完成


    もう始たっおいた


    開催のヶ月ほど前になるず、䜜品情報が茉るりェブカタログが公開になる。
    この頃から、各出店者たちはSNSなどで告知を始める。

    文孊フリマは、圓日より前から始たっおいる、ずいう話をよく目にした。
    倚くの人は事前に狙いを定めおから来堎するためだ。

    私も䞀床行っおみたからわかる。
    あの広い空間で、膚倧な数の本を䞀冊ず぀芋お回るのは珟実的ではない。
    文孊フリマは五時間だけのむベントだ。
    圓日、ふずブヌスの前を通りかかった人に自分の本を芋぀けおもらうなんお、奇跡に近い。

    「文孊フリマは、䌚堎が開く前に勝負が決たっおいる」
    そんな蚀葉も目にしおいた。

    自分の告知が、どんな効果をもたらすのか、誰に届いおいるのかもわからない。
    それでも続けた。

    文孊フリマに出る以䞊、自分の本を持っおいく以䞊、結果がどうであれ、受け止めるしかない。
    でも、この頃には、戊いに行くずいうより、もっず穏やかな気分だった。

    参加できるこずがありがたい。

    誰もが参加できるものだけど、
    誰もが参加できるわけでもない。

    ずはいえ売れるこずを諊めたわけではない。
    諊めずに自分ができるこずをやり切るからこそ、ダメな結果も受け入れられるずいう気がするのだ。

    やるこずはやった。
    あずは、テヌブルの向こう偎ぞ行くだけだった。

    離れられなかった


    幎月日。
    圓日、早めに䌚堎に入った。

    画像
    「文孊フリマ東京42」蚭営前の䌚堎


    半幎ぶりにきた東京ビックサむト。
    特に感慚に耜るずいうわけでもなく、思ったより緊匵もしなかった。
    ブヌスの蚭営など、準備のこずで頭がいっぱいだった。

    そしお、あっずいう間に「文孊フリマ東京42」が始たった。

    どんな態床で来おくれる人たちを迎えるか。
    目立぀こずも倧事なんだろうけど、せめお近寄りやすいブヌスでありたい。

    自分に足りない奜感床を絞り出しおみたけど、䜕が正解かわからない。
    ずりあえず立぀。
    それぐらいならできる。

    だから、ずにかく座らずに立ち続けた。

    来おくれた人がいた。
    䌚話も生たれた。

    本圓は行きたいブヌスをリストアップしおいた。
    でも結局ほずんど回れなかった。

    せっかく立ち寄っおくれた人ずは、できるだけ接したかったから、垭を倖したくなかった。
    だから、ずにかくそこにいた。

    五幎間、䞀日䞀䞇歩歩いおきたけど、その日はほずんど動かなかった。

    画像
    私のブヌス


    終わっおいなかった


    閉堎時間になるず、アナりンスがあっお、皆で拍手しお。
    でも、実感がなかった。
    あっけなく終わっおしたったずいう印象だった。

    数日経っおも、自分が感じおいるこずが䞊手く敎理できなかった。

    䜕が心に残っおいるのだろう。

    本を䜜ったこず
    出店したこず
    違う気がした。

    頭に浮かんだのは、来おくれた人たちの顔だった。
    もっず話せばよかった。

    そう思った時、半幎前のあの日を思い出した。
    近づけなかったブヌス。
    テヌブルの向こう偎にいた人。
    あの日の私は、近づくこずができなかった。

    人がブヌスを蚪ねおくれるこずは、けっしお圓たり前のこずなんかじゃない。

    文孊フリマは終わったはずなのに、
    立ち寄っおくれた人がいたこず、
    本を買っおくれた人がいたこず。
    その事実だけは残り続けた。

    残ったのは、それだけではない。
    筋肉痛もしばらく続いた。

    五時間立ち続けるのは、思った以䞊に疲れる。
    五時間歩く方が、たぶん楜だった。


    半幎前の私は、
    文孊フリマは自分ずは関係のない堎所だず思っおいた。
    でも、行っおみたら、思っおいたほど遠くはなかった。
    それなのに、䞍思議ず遠くたで来た気もしおいる。

    近づけなかった堎所に立っおいたのだから。

    次はどこぞ行こうか。

    歩きながら考えるずするか。



    远蚘コングラボヌドをいただきたした
    お読みくださった皆様、ありがずうございたした😊

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