
私は絶対に回転しない
スターバックスの机は低すぎると思う。
でっかいテーブルに座っている人達はそれぞれにマックブックをカタカタ操作したり、システム英単語帳を口ずさんだり、青チャートに線を引いたりと快適そうである。しかし僕が座っているソファ席のテーブルはこんなにも低いのだ。
僕は生まれながらに引きが悪いし見積もりも甘い。完全運ゲーのくじ引きのような類のものは基本的に全て下振れてきたし、頭を使わず行き当たりばったりで行動してしまうのでイレギュラーを想定していなくて詰む。そうやって大学も残り数単位のところで3期にわたって留年した。成績発表の時のやるせなさと言ったら言葉では表せない苦さがあったが、結局それを3度も繰り返したのだ。人生、運に任せて失敗している。
そもそもスターバックス側もソファで長居されたくないんだろう。店を回転させる為に居心地を悪くするのはよくある話だ。そんな事も想定せぬまま、
「わ、ソファ席空いてる〜!ラッキー!」
と、座り始めてしまった。大変見積もりが甘く、店の罠にまんまと足を掬われた形だ。というか何かもう、膝なんかより遥かに低いところに机があり、これは机というよりドリンクを一時的に安定した場所に置いておけるだけの板だ。こんな家具どこに売ってるんだよ。スターバックス専用に卸しているのか?家具屋にもスターバックス上層部にも腹が立ってくる。あとソファもソファだ。深くもたれかかると重心が後ろに倒れて行くので一時的に置いたドリンクに手が届かない。私の体が硬すぎるのが悪いのだろうか。
かと言って今からテーブル席に移動するのは恥ずかしい。周りの目は人並みに気になるので、あの人やっぱり座り心地悪かったのかな…ふふふ、と哀れみの目で見られたくない。こっちを見るな。勉強しろ。
こちらにも意地がある。わざわざ自転車を20分漕いで飲みに来た新作フラペチーノは750円もしたのだから最低でも一時間は居座りたい。重心がおおよそ斜め後ろになりながらソファにもたれかかり、膝下に添えられた板にフラペチーノと買ったばかりのミステリー小説を置く。
意図と意地のぶつかり合い。
負けてたまるか。
私は絶対に消費されないぞ。