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カミングアウトコンビニ (毎週ショートショートnote)

     ある朝、少女が散歩していると、波打ち際にコンビニが流れ着いていた。

     外壁も内装も汚れと傷みがひどく、息も絶え絶えだった。
     だが、不思議とそこはかとない品の良さが漂っていた。

     少女の甲斐甲斐しい世話により、見る間にコンビニは回復し、村にある唯一のコンビニとして平和に暮らすようになった。

     ある夜、少女を呼び出すと、コンビニは神妙な顔でこう告げた。

    「じつは、私は海の向こうにある国の王子なのです。
     悪い魔女を怒らせて、コンビニにされてしまいました。
     元に戻るには魔女を倒すか、この姿のまま愛してくれる女性の口づけが必要なのです」

     少女は黙り込んだ。が、すぐに答えた。

    「私はあなたを愛してます。口づけするのは構わない。
     ただ・・・・・・
     じつは、私は去年まで男性だったの。それでもいい?」

     今度はコンビニが黙り込んだ。が、すぐに答えた。

    「もちろんです」

     少女が口づけた。しかし何も変わらない。
     コンビニは溜息を吐いた。

    「悪い魔女は、古くて頭の固い魔女でもあるのです」
    「では二人で倒しましょう」
    「一緒に戦ってくれるのですか?」
    「もちろん・・・・・・あなたと、コンビに」

     そして、一人と一軒の大冒険が始まった。

     
     

     


    たらはかにさん企画の【毎週ショートショートnote】参加作品。
    お題は「カミングアウトコンビニ」。
    貴種流離譚を書きたい気分だったので、こんな感じになってしまいました。

    『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』


     
     
    作家▷『3分間のまどろみ カプセルストーリー』Gakken電子書籍/『5分後に煌めく世界 太陽·月』ダイソー/『幻想と怪奇 不思議な本棚』新紀元社 他▷カモガワ奇想短編グランプリ大賞/「幻想と怪奇」SSコンテスト入選/坊っちゃん文学賞佳作▷ホラー同人誌「ウタ・カタ」企画▷犬好き🐾