
行政書士ポイントまとめ 行政法(行政裁量の判例一覧)
行政法は、憲法や民法とちがってちょっと無味乾燥気味だけど、判例を見ることでふむふむ、と覚えていくしかないですね…。
🟦 裁量権に関する判例まとめ(判決ベースで◯☓表示)
◯ 裁量権が【ある】と判示された判例
●【◯】マクリーン事件(最大判 昭和53年10月4日)
外国人の在留期間更新の可否判断について、法務大臣には広範な裁量権があるとされた。裁判所は、判断が社会通念に著しく反しない限り、違法とはしない。法務大臣にはけっこう裁量あり。
●【◯】呉市公立学校施設使用不許可事件(最判 平成18年2月7日)
学校施設の目的外使用の許可は管理者の裁量に委ねられるが、その裁量が社会通念に照らして著しく妥当性を欠けば違法とされる。この判決においては、去年OKだったのに今年NGなのは合理性を欠くので、「当該不許可処分は裁量権を逸脱している」とした。
●【◯】小田急高架訴訟事件(最判 平成18年11月2日)
都市計画の決定(高架か地下か等)は、政策的・技術的判断を要するため、都知事に広範な裁量が認められるとされた。(結果的に高架化、複々線化されましたね)
●【◯】再入国の許否判断(最判 平成10年4月10日)
再入国の許可については、申請者の在留状況や社会情勢を総合的に判断する必要があり、法務大臣に幅広い裁量が認められるとされた。
☓ 裁量権が【ない】と判示された判例
●【☓】土地収用法における損失補償額(最判 平成9年1月28日)
損失補償は「完全な補償」を要し、客観的基準に基づいて定まるため、収用委員会に裁量の余地はないとされた。不動産の値段は、客観的に算出することが出来るので裁量はダメー!!
●【☓】品川マンション事件(最判 昭和60年7月16日)
建築主事による建築確認は、建築基準法に適合するかの形式的審査であり、裁量の余地は基本的にないと明言された。日が当たらない、、、とかの周辺住民の感情は無視。とにかく建物がルールを守ったものであればOKだよ。
✅ 判決ベースの見極めポイント
◯=政策・安全保障・都市計画などの「公益調整」が絡む分野
☓=法令適合の「形式審査」や「金額評価」などの客観基準に基づく分野

✅ 行政裁量に関する正誤問題(5問)
Q1.
マクリーン事件において、最高裁は外国人の在留期間更新について、法務大臣には裁量権がなく、すべて法律に基づく機械的な判断でなければならないと判示した。
【正誤】
Q2.
呉市公立学校施設使用不許可事件において、最高裁は学校施設の目的外使用許可はすべて認めなければならないと判示した。
【正誤】
Q3.
品川マンション事件では、建築主事が行う建築確認処分には裁量の余地が基本的にないとされた。
【正誤】
Q4.
土地収用法における損失補償額の決定について、最高裁は補償額の適正性を行政庁の自由な裁量に委ねるとした。
【正誤】
Q5.
小田急高架訴訟事件では、都市計画の決定については政策的・技術的な判断を伴うため、行政庁に広範な裁量が認められると判示された。
【正誤】
✅ 解答・解説
Q1. ×(誤り)
解説: マクリーン事件では、最高裁は外国人の在留期間更新について、法務大臣には広範な裁量が認められると判示しており、機械的な判断を求めたものではない。
Q2. ×(誤り)
解説: 呉市事件では、施設使用に関する判断は原則として管理者の裁量に委ねられるとされている。ただし、社会通念に反するような逸脱濫用があれば違法となる。
Q3. ◯(正しい)
解説: 品川マンション事件では、建築主事の確認処分は「建築基準法に適合するかどうかの形式審査」であり、裁量の余地は基本的にないとされた。
Q4. ×(誤り)
解説: 土地収用法における損失補償額は「完全な補償」が原則であり、客観的基準に基づいて決定されるべきものであって、行政庁の裁量に任せることはできない。
Q5. ◯(正しい)
解説: 小田急高架訴訟事件では、都市計画決定は政策的・技術的判断を要するものであり、都知事に広範な裁量が認められるとされた。