
IMAJIN 2話「スポーツマン VS 宇宙人」
◯善照寺・本堂の縁側・夕方
お盆の上にお茶が置かれている。
その横にはゴズライトの数珠が置かれている。
善照「なるほどねぇ。
つまりシンはこの数珠で宇宙人を呼んでしまったわけだ。
で、その宇宙人は今逃走中ってことね」
シン「うん… まさか本当にそんな馬鹿げた願いが叶うとは思わなかった」
善照「それでそちらの二人は?」
レッド「ああ、改めまして…」
スーツから名刺を取り出すレッド。
レッド「私は赤井と申します。
ヴァーミリオンというホテルをやっておりまして、みんなからはレッドと気軽に呼んでもらってます」
シン「ヴァーミリオンって聞いたことがある…
確か、この数ヶ月で急激に拡大した…」
レッド「高校生なのに知っているとは光栄ですな。
まぁ、それも石の力を使ってのことなんですが…」
シン「やっぱりこの世の中に石はたくさんあるんだな…」
ユータ「僕は新沼ユータといいます。
ご覧のように触れたものを自由に浮かすことができる力を願いました」
ユータの前にはお茶の入った湯呑みが浮いている。
レッド「色々と気になるだろうが、まずは君が呼んだ宇宙人をどうにかしないと被害が出るかもしれないな」
シン「でも… 門を蹴飛ばして壊したり、岩を拳で割ったりする宇宙人をどうやって止めるんだよ…」
レッド「さっき戦闘が得意な人間を呼んだところだ。
だが最終的にその宇宙人を説得できるのは君だと思っている」
シン「なんで俺が…?」
レッド「君と宇宙人の中に流れるエネルギーが同じだった」
シン「… どういうこと?」
レッド「俺には石とそこに流れるエネルギーのようなものが見えるんだ」
シン「石とエネルギー?」
レッド「あぁ、あれは半年前くらいだったかな…」
レッドは袖をめくって金とゴズライトで装飾された腕時計を見せる。
シン「これって… ゴズライト? 」
レッド「俺は死んだ親分から貰ったこの腕時計を常につけていたんだが…」
× × ×
回想。
◯狭いアパートの中
腕時計を触るレッド。
レッドN「その日、腕時計をつけようと俺が宝石の部分に触ると、次第に光が強くなってな…」
時計の光が強くなりそこから西洋の騎士の姿をした魔神が出現する。
レッドN「それで願いを一つ叶えるって言うもんだから俺はその魔神に…」
レッド「おう!だったら世界中のこの宝石を手に入れたいぞ!
そんで、願いをたくさん叶えまくってやるよ!」
レッドN「そう願ったんだが、結果的に手に入ったのは石ではなくてその石が発しているエネルギーのようなものを感じ取れる能力だった」
× × ×
◯善照寺・本堂の縁側・夕方
レッド「てこともあって、お前とあの宇宙人、そしてその数珠から似たようなエネルギーを感じるってわけだ」
善照「まさか、白龍さんが置いて行った数珠にもそんな力があったとは…」
シン「でも、腕時計はその前からつけてたんでしょ?
なんで半年前に急に?」
レッド「それは俺にもわからん」
ユータ「世界中でいろんな事件が同時多発的に起きてるのは半年前からで一致している。
俺たちは石の力を持つ者同士で石に関して調査をしてるんだ」
シン「世界中で事件が… そんなの全く知らないんだけど」
レッド「誰かが情報を操作してるんだろう。
現に海外では石を巡る暴動も起きてるくらいだ。
おそらくこの隕石の件も石が関わってると分かったら隠されるかもな」
ユータ「それよりレッドさん…
あいつ呼んだんですか?
流石にあの宇宙人はあいつでも勝てんでしょ?」
レッド「だが今ここに来て戦える人間はあいつしかいなかったからな」
上空に飛行機が向かってきておりそれを見つけるユータ。
ユータ「…噂をすれば、奴が来たっぽいっすね」
飛行機から人影が見え、徐々にこちらへと向かってくる。
ウイングスーツを着た金城丈二 (18)が寺の方へと落ちてくる。
レッド「来たか!ジョージ!」
ジョージ「ふん!」
ジョージはレバーを引きパラシュートが開く。
ジョージ「ヨォ! お待たせだぜー!
あ、やべ。」
そのまま寺の横の家へと突っ込んでさらに家を破壊する。
善照「おー!何やってんのあの人!?」
家の中からガラスが刺さって血を出したジョージがニコリと笑いゴーグルを外しながら玄関から出てくる。
ジョージ「やっちまったー! 誰かの家、すんません!」
ユータ「うるさい猿が来たな」
ジョージはウイングスーツを脱ぎながら近づいてくる。
ジョージ「事情はメールで呼んだっす。その少年が宇宙人呼んだって人?」
シン「ジョージって… 金城丈二選手!?」
善照「おお! テレビとか新聞でめっちゃ見てる顔!
確か最近、陸上からボクシングに水泳まで、あらゆるスポーツで世界記録を出してるスーパースポーツマン!!」
ユータ「単に石の力使ってるだけの猿ですよ」
ジョージ「ユータくんボロボロじゃないの?
力の使い方まだ分かってないのー?」
二人はバチバチと睨み合う。
レッド「おい、その辺にしとけ」
レッドは立ち上がりシンとジョージの顔を見る。
レッド「とにかく、今からその宇宙人と接触する。
今度はシン、願いを込めた数珠を持って行っとけ!
宇宙人も何か感じるかもしれん」
シン「わかりました」
レッド「そして宇宙人が暴れそうだったらジョージ! お前しかおらん!奴を止めるんだ!」
ジョージ「オッケー! 人間と戦うのは物足りないと思ってたとこっす」
レッド「よし、行くぞ!」
街へと向かうレッドとジョージの後ろを不安げな様子で着いていくシン。
その様子を善照は見つめる。
善照「おい、シン!」
シンは善照の方を振り返る。
善照「宇宙人、助けてやれよ」
笑顔の善照をみてシンは何も言わずにうなづく。
シンは二人の元へ走り、3人は残った門を潜って出ていく。
◯朝笹町・商店街
商店街の奥の方に人だかりができていた。
シン「なんか、いつもと様子が違うな…」
レッド「あぁ、あの人が集まってるところにエネルギーを感じる。
あそこに宇宙人がいるんだろうが、暴れてたりする様子はないな」
人混みをかき分けて古本屋の中を覗く3人。
するとそこには本をペラペラとめくる大きめのTシャツを着た宇宙人の姿があった。
レッド「何やってんだ? あいつ?」
シン「…読書してる?」
ジョージ「とにかく、あいつが宇宙人なんだな?」
ジョージは古本屋へと入っていき宇宙人の前に立つ。
ジョージ「おい、ここは邪魔になるから外に出ろ!
そこの二人があんたに用がある」
ジョージは後ろのレッドとシンを親指で指差す。
周りの群衆からはジョージに気づいて声を上げる者もいる。
宇宙人はジョージの言葉を無視をして本を読み続ける。
ジョージ「とりあえず、こっちに来い!」
ジョージは宇宙人の手を引っ張ろうと左腕を掴む。
宇宙人はジョージにイラついて右手で掌底を喰らわそうとするがジョージはそれを避ける。
宇宙人は少しびっくりした様子でジョージに掌底を喰らわせようと何度も挑戦する。
ジョージM「確かに攻撃は速いが、俺なら避けられる」
ジョージはそれを避けていたが、正面に飛んでくる一発を手でガードしようとする。
ジョージ「うお… なんだこの力は!」
宇宙人の掌底の威力はジョージを向かいの肉屋に吹き飛ばすくらいの威力だった。
肉屋は大破。
レッド「やっぱあいつでも無理か…」
宇宙人はそれを見て再びどこかへと逃走する。
古着屋のおばちゃん「ちょっと! Tシャツ代払って!」
レッドは札束をおばちゃんに渡す。
レッド「とにかく追うぞ!」
追いかけていく二人の後方から遅れて警察官が駆けつける。
警察官Aは肉屋からジョージが出てくるのを見つけ携帯で電話をかける。
警察官A「もしもし、真壁さん。
例の現場付近でヴァーミリオンの赤井と金城がいました。
おそらく石に関わる事件かと…」
真壁守(29)「(電話越しで)そうか。ありがとう。ミーコに伝える。
引き続き観察をしておいてくれ」
電話を切る警察官Aは商店街の現場へと戻る。
◯朝笹城・夜
息を切らしているレッドとシン。
シン「宇宙人はどこに行った?」
レッド「どこかこの辺に逃げたけど… 足速すぎだろ…」
宇宙人が木陰から姿を表す。
宇宙人「お前はなんで私を追いかけてんの?」
シンは後ろを振り返る。
シン「え!あんた、喋れるのか?」
レッド「なんだ?」
宇宙人はシンの方へと歩いて近づいてくる。
宇宙人「音を出さないと喋れなかったのか」
レッド「うぉ、こっちに来るぞ… 」
シン「えっと、実はあんたを呼んだのは俺なんだ。
あ、そうだ。この数珠で…」
シンは数珠をポケットから取り出して宇宙人に見せる。
宇宙人「綺麗だな。どこか懐かしい気もする」
宇宙人は少し笑みを見せそれに少し驚くシン。
シン「あんたは一体どこから来たんだ?名前は?」
宇宙人は少し黙り星が広がる空を見上げる。
宇宙人「…うーん、どうやら私が思い出せるのはこの星の中を飛んでいたことだけだな…」
シン「…あの隕石から生まれた? それとも記憶喪失ってことか…」
レッド「おいちょっと待てよシン!
お前… もしかしてこの宇宙人の言ってることがわかるのか…」
シン「え? だって普通に喋ってるんじゃ…」
宇宙人「シン… と言ったか。
どうやら私が話せるのはお前だけらしいな。
ちょうどいい、私に名前をつけてくれないか?」
シン「俺が…名前をつけてもいいのか…?」
宇宙人「ああ、名前は最高のプレゼントだろ?」
宇宙人は笑顔を見せる。
ふと笑顔が可愛いと思ってしまい照れるシン。
レッド「なんだ? 何やってんの?」
シン「じゃあ、あんたの名前は…」
つづく。