
ネアンデルタール人との語らい
とても寂しいわ。
ずっと隣を歩いていると思っていたし、狩りを教えてくれたり石斧を作ってもらったり、3万年前までは並んで夕陽を眺めたりして、私達の仲はスープの冷めない距離って思っていたの。
ある日ふと気が付くとあなたの姿は消えていた。
滅びたのね。
あなた達が生き延びて私たちと進化して共存した今があったなら、そこはどんな世界だったろうって、考えることがあるの。
力持ちで狩りは上手なのに口下手で、野の花を摘んで恥ずかしそうに渡してくれたあなたの姿は今も私の中に佇んでいるよ。
お父さん、次は私から生まれていらっしゃい。
次の私は1000年後かもしれない。
犬かもしれない。モグラかもしれない。
ジュラ紀の恐竜かもしれない。
メソポタミアのシュメール人かもしれない。
もう人類の終わった後の最後のムカデかもしれない。
それがいつのどこであっても、私はあなたに金の衣を着せよう。心を紡いで作った目に見えない金の衣。その衣を着てあなたが歩けば目に見えない金の粉が舞う。出会った人、友達、愛する人や動物たちに分けてやればいい。私の逝った後もその金の衣がずっとあなたを守ることだろう。
たとえそこが葉っぱ一枚なく、乾ききった荒れ野であろうとも。
(亡くなって4年8ヶ月、父の日に)