
#53『言葉は人を壊しもするし、救いもする』
「なんでそんなにつまらなそうにしてるの?」
「話が合わない、とでも言いたいの?」
真夜中でも、早朝でも、
お構いなしに連絡が来る。
返信が遅ければ、電話が鳴る。
その人は、ある人から
そんな言葉を浴び続けていた。
仲間といる場でも、
標的になるのは、
いつもその人だった。
「どうして自分だけが、こんなことを言われるのだろう」
そう言っていた表情は、
少しずつ、暗くなっていった。
自分が間違っているのかもしれない、と
思い始めていた。
私は、こう伝えた。
「あなたを羨ましいんだと思う。
輝いていて、堂々としているから。
それが眩しくて、
きっとまた言ってくると思う。
でも、あなたは間違っていない。
今まで通りでいいんだよ」
その瞬間、表情が変わった。
「よかった。
自分が間違っているのかもしれないって、思っていたから。
これからは、自分の言葉に自信を持って話します」
言葉は、人を壊すこともある。
言葉は、人を救うこともある。
私には、こんな先輩がいる。
どんなに仕事が忙しくても、
「忙しい」と言わない人だ。
「忙しいという漢字は、
心を亡くすと書く。
だから私は“忙しい”とは言わない。
今日も仕事があることに感謝している」
その言葉が、
今も私の支えになっている。
もしかしたら、その人も揺れていたのかもしれない。
誰かを傷つけなければ、
自分を保てないほどに。
でも、傷ついていい理由にはならない。
言葉には、力がある。
壊す力も、
救う力も。
あなたの周りには、
どんな言葉があふれていますか。
あなたの言葉は、
誰に届いていますか。