
伸ばした手の先に
いつからか自分のことを本当に大切にしてくれる人に気がつくことなく、
追っても追っても手に入らぬ宝石ばかりを探し求めるようになった。
本当に大切にすべきものを踏み台にして、届かぬものに手を伸ばしても
幸せになれないことくらい百も承知だ。
時々変な夢を見る。
二日前の朝も、起きているのか寝ているのかわからない状態で
私は布団に潜って夢と現実に交互の足を踏み入れていた。
私は生まれてくるべきではなかったのだろうか、と、
ふとそう思うことがある。
「あの子、扱いにくいんだよね。」
母親は恋人にそう呟く。
その声がこちらに聞こえていることにも気づかずに、二人は一枚の同じ布団に入る。
私はそれを背後に一人、父親が好きだったオセロのボードゲームを始め、肩を小刻みに震わせながら近くに置いていた自分の携帯を手に取り、友人に電話をかけようとしていた。
意識が戻ると、私は布団の中で硬直し、涙を流していた。
時々、こういうことがある。
これは単なる夢なのだろうか。
それとも、私が恐れている現実と、かつて私が恐れた過去が、ぐちゃぐちゃに入り混じった映像なのだろうか。
私は一生この厄介な体と付き合っていかなければならないのだろうかと思うと、途端目の前が真っ暗になる。
今日もまた彼に連絡することなく、私はただ握りしめたスマホの画面をぼんやりと眺め続けていた。