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芋出し画像

ベスパ、おっさん、そしお海

    䜕だか倖が隒々しい。怒鳎り声が響いおいる。階段を降りるず倫が玄関の窓口から倖の様子を䌺っおいる。「どうしたの」ず聞くず「ティヌン゚むゞャヌがパブの駐車堎から客のベスパを盗もうずしたみたい。」ず答える。窓から芋おるだけで良くそこたで芳察できたず感心し぀぀、私も芗いおみる。ごっ぀い身䜓のおっさんが、ヒョロ長いティヌン゚むゞャヌをパブの倖壁に抌し付けおいるのが芋えた。おっさん匷い。どこからずもなくティヌン゚むゞャヌの仲間が人くらい珟れた。おっさんを囲む。そしおおっさんを殎り始めた。でもおっさんはただ匷い。殎られおもティヌン゚むゞャヌを倖壁に抌し䞊げ続ける。人はおっさんに銬乗りになっおティヌン゚むゞャヌを逃がそうずする。あ、ティヌン゚むゞャヌがすり抜けた。するずおっさんはすかさずティヌン゚むゞャヌを捕たえおたた壁に抌し぀ける。やるな、おっさん。ずころがただただ別のティヌン゚むゞャヌの仲間が珟れた。おっさん、、人に囲たれ殎られ始めた。私は倫をふず芋た。「助っ人に行ったほうが良くない」そしたら倫、きょずんずした顔で私を芋た。犬が「今なんお蚀った」っお振り返るみたいに。そしお「いいの」ず答えた途端、ばばばず靎を履いお倖にぶっ飛んで行った。「おい、おめヌら、いい加枛にしろや」そしお、人のティヌン゚むゞャヌを盞手にグラスゎヌならではの激しいス゚アリングをぶっかたしながら「よしこい。」ずばかりに構えおいる。「あああ、そういう意味で助っ人っお蚀ったんじゃなかったんだけど。」ず玄関内で私は頭を掻いた。倫ず垞連客のおっさんたち察ティヌン゚むゞャヌギャングの戊いが始たった。「だめだ、こりゃ。」しょうがないから私も助っ人になる事にした。靎を履いお携垯を持っお飛び出した。
    「殎っおみろよ、俺たちだぜ」ず、奎らはぞらぞら笑っおいる。なんだ、こい぀ら結構テクニカル。むか぀くじゃん。しかし、倫ず垞連客たちはその蟺ちゃんず心埗おいお、パンチがあたらないように䞊手い攻撃をかたしおいた。「あんたたち、党郚録画するからね」私は携垯のカメラをティヌン゚むゞャヌたちに向けた。するず䞀番幎䞊そうなティヌン゚むゞャヌが「撮るなよ。」ず寄っおきた。ほう、やっぱこれが効果的なのね。「近づくなよ、銬鹿。」ず録画続ける私。ティヌン゚むゞャヌはどうしおも私の録画を止めたいようだ。䜕床も䜕床も近寄っおくる。パブのオヌナヌが譊察を呌んだず蚀っお倖に出おきた。するず、䜕凊からずもなく瞞のシャツを着た普通のおじさんが珟れた。そしおティヌン゚むゞャヌたちに優しく話し掛ける。「君たち、そんな事をしおはいけないよ。早く家に垰りなさい。」そしお私たちに向かっお「圌らは子䟛なんだよ。」ずかずがけた事をほざく。こんな状況で、こういうたずもな人間が出おくるず、たずもがどんなにアホくさいか露わになる。パブのオヌナヌが叫ぶ。「こい぀らグルヌプギャングだぜ。あっちでバンが埅っおるんだ。スクヌタヌを盗んであのバンにのせおバックれるんだ。こい぀ら女もぐるなんだ。客のフリをしお盗むチャンスを狙っおた。そういうわけにはいかないからな。」ふずみるず若い女の子がパブの飲み物をストロヌで吞いながら䞍貞腐れた顔をしおふらりずたっおいる。なるほどね。しかし、譊察遅い。この街の譊察眲はだいぶ前に保守党によっおクロヌズされたらしい。芳光地なのに譊察眲ないっおありえなくない

    コロナ隒動がおわっお間もない頃、倫ず私はりむツタブルずいう北ケントの海蟺の街に家を買った。コロナ䞭、ロックダりンの異垞事態に倫の方が粟神的にたいっおしたったからだ。もずもず、りむツタブルは幎ほど前、私がぞっこん惚れた街で、嚘の孊校がお䌑みになる床にここを蚪れるようにしおいた。゜ヌホヌ生たれ、゜ヌホヌ育ちの嚘に「田舎を持぀。」ずいう枩かい芯のある感芚をあげたかったからだ。そしお買ったこの家、海を芋䞋ろす䞘にある。そしおパブの真ん前。ロンドンでは゜ヌホヌ暮らしが長いので、実は、田舎にいながらにしおちょっず賑やかなのが気に入っおいる。パブの客局は地元の人たちがほずんど。りむツタブルのセンタヌから歩いお分ほどなので、芳光客はあたり入っおこない。電気屋さん、倧工さん、セキュリティヌ䌚瀟をリタむアした人、投資家、銀行屋、庭垫。。。ほんず、さたざたな職業の人たちだがみな手に職があり、そこそこ良い暮らしをしおいる人たちが倚い。おばあさんのバヌスデヌパヌティヌを家族でやっおいたり、葬匏埌の集たりずか、倏になるずギンギンのディスコやフランクシナトラやゞプシヌキングのカバヌバンドが来たりしおおじさん、おばさんが狂ったように躍っおいたりする。クラブナむトもある。若い子も幎寄りもハりスミュヌゞックに合わせお銖を振る。そしお倜時になるずぎたりず音がずたる。芋事だ、むギリス。実はちょっずおしゃれな英囜人たちはこのパブを嫌う。「右翌パブ」ずか蚀ったりするのを耳に挟んだ事がある。しかし、私はあたりその評䟡に玍埗がいかない。実は匕っ越し前、䞋調べに䜕床か行っおみたパブの䞋調べは必須です。日本人女の私が䞀人で入っお行っおも、鶏が驚いお䞀斉にこちらを向くような経隓をした事が䞀床もない。あるのよ、そういうパブ。田舎に。だから、「右翌」ずいうのはあたり正確な情報だず思わなかった。家の前だしね、私たちは普通に飲みに行っおいた。新参なので、䞀応、お行儀よくはしおいたけど。垞連の顔や性栌が少しづ぀わかるようになっおきた。面癜いず思ったのが、保守党のサポヌタヌも劎働党のサポヌタヌもフットボヌルのゲヌムを芳戊しながら別に仲良く和気藹々ずやっおいる事。これを芋おいるず、少なくずもこのパブでは、政治なんお最埌はどうでもいいのかもしれない、ず思い始めた頃、このスクヌタヌ盗み事件が起こった。

    譊察が来たのは分埌くらいだった。倧きなシェパヌド犬を連れお来た。「ああ、やっず来た。」ずみんながほっずしたずころ、いきなり譊官は逃げたティヌン゚むゞャヌを远いかけお犬ず共に海の方に消えお行っおしたった。アレレヌ「䜕だ、譊官䜕凊行ったんだ。」おっさんが壁に抌し付けおいるティヌン゚むゞャヌをどうしろずいうのだ。そう、譊官が去った埌もおっさんは粘り匷くティヌン゚むゞャヌを抌さえ぀けおいる。するずその抌さえ぀けられおいたティヌン゚むゞャヌがいきなり肘でパブの窓のガラスを割った。肘から血が出る。そしお「あヌ、怪我させられた」ず叫んだ。その窓の内偎で飲んでたカップルが「嘘぀くな」ず叫び返した。それから分くらいしおからだろうか、台のパトカヌがびたっずパブの前に止たった。結構壮芳。そしお譊官たちがパトカヌから飛び出しおきお「お前ら、良い加枛にしろ」ず、ティヌン゚むゞャヌ党員をパトカヌに抌し入れ始めた。するず、どこからかキキキず音をたおおでかいバンがやっおきた。そしおメガネをかけた芪父が「おれの息子に䜕するねん。」ず飛び出しおきた。譊官は「おい、黙れお前。黙らないずお前も逮捕するぞ。」ず叫んだ。するず赀ん坊を抱いた女が同じ車から出おきお、メガネの芪父の埌ろにたった。その女の埌ろを歳から歳くらいの子䟛たち人がぞろぞろずあひるのように䞊んだ。うわっ。䜕だこれ。あっずいう間にティヌン゚むゞャヌたちはパトカヌに乗せられ、メガネの芪父も女も子䟛も車に戻っお走り去り、台颚の目が過ぎたように䞀気に隒動は終わった。

    「これっきり、これっきり、これっきりですか」癟恵ちゃん。

    駐車堎に残された私たちはパブの垞連たちず顔を芋合わせた。そこでパブのオヌナヌの鶎の䞀声。「みんな、䞭に入っお飲もうぜ。」みんなでパブの䞭に入るず、垞連たちは「あい぀らのキンタマ蹎っおやったぜ。」ずか有る事無い事ビヌルの぀たみの話しをさんざんしお、あっずいう間に倜の時。あのティヌン゚むゞャヌのギャンググルヌプ、ある意味タヌゲットのパブを間違えたかも、ずふず思った。ここの垞連おっさんが倚いけど、みんなガタむがでかくお謂れがあるような人たちもいる。隣町のパブ党店立ち入り犁止のおじさんずかねヌ、この人だよ、ティヌン゚むゞャヌをひたすら壁に抌さえ぀けおいたの。ずにかく、この日から私たちはなんずなく圌らの心のひだに仲間ずしお入った気がする。

    事件から䞉日埌くらいの話。突然、オヌナヌが蚀うんだよ。「あれからさ、友達に電話したんだよ、奎等の件。そしたらさ、友達がさ、奎等の芪の電話番号知っおおさ、おめヌら、詫び入れないず、おめヌらの子ども誘拐するぞヌっお蚀ったらしくおさ、ははは、次の日奎等の芪が金持っお詫びに来たよ。ガラスの修理代にしおくださいっおよ。はっはっは。」

    私ず倫は顔を芋合わせおから䞁寧に尋ねた。あのヌ、そのお友達っお、どうやっお、圌らの芪の電話をご存知だったんでしょうかあのヌ、誘拐っお、そのおヌ。するずオヌナヌは「子䟛の頃からの友達でね、ゞプシヌなんだよ。なんで知っおたのかねヌ電話番号。」ずか蚀っおすっずがける。あれヌ、ゞプシヌの友達子䟛の頃からのいやいや、どっちがギャングなんだよ。ここで、私たちはあのギャンググルヌプが完璧にタヌゲットを誀った事を確信した。ちゃんず調べなくちゃねえ。

    それからも、私たちは䜕事もなかったようにそのパブで飲んでいる。オヌナヌの話は、深く考えないこずにした。ビヌルは矎味いし。海は綺麗だし。



     
     
    䜜曲家、ボヌカリスト、音楜プロデュヌサヌ。静岡県出身。英囜長すぎお「あんた誰」状態。呚りを顧みず、昭和のギャグ出し過ぎ。

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