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こころのすべて【二次創作BL小説連作まとめ】

割引あり

『こころのときめき』


 夜、僕が眠りにつくと二人きりの時間だ。元々心臓が弱く友達も少ない僕はこの時間を大切にしている。
 僕の心の中、それが彼との二人きりの場所だ。

「かっちゃん、かっちゃん。今日は何して遊ぶ?」
「おせえんだよ、クソデク。今日はリフティングすんぞ。勝負だ。」
「うん!負けないよ!」

 それからしばらくして、かっちゃんの方が長くリフティングをして勝負はかっちゃんに軍配があがった。

「ふん、当然だわ。」
「うう、もう少しだったのになあ。」
「何がだ。全然惜しくねえわ。······んなことより、個性は上手く使えるようになったんか。」

 僕は元々無個性で、かっちゃんの心臓を移植してから、かっちゃんの個性『爆破』を使えるようになった。

「まだかっちゃん見たいには上手く出来ないや。上手くなれば爆破で浮いて移動とかも出来るんでしょう?すごいやかっちゃん!」
「まあな。」

 かっちゃんはすごく機嫌良さそうに笑顔をこぼしている。
 きれいだなあ。そう、かっちゃんはとてもきれいなんだ。心臓を僕にくれたからだけじゃない、僕の特別だ。

「そういえばね、クラスで誰が好きかって女子たちがさわいでたんだ。······かっちゃんは誰か好きな人いた?」
「あ?んなもんいねえよ。」
「そ、そっか。······ぼ、僕はねえ、かっちゃん、かな······」

 上目遣いに伺うようにすれば、呆れたような顔に出会う。

「んなもん知っとるわ。何年一緒にいると思ってんだ。」
「え?どどうして?どっからばれたの?」
「年がら年中きめえ視線よこしといてばれてねえとでも思ってたのかよ。」
「えぇ、きめえってひどいよかっちゃん。」

 僕はがっくりと肩を落とすと、しゅんとうなだれた。

「で、でも気づいてなにも言って来なかったってことは、好きでいていいってことだよね?」

 期待を込めた眼差しで、かっちゃんを見ると。

「知るか。」
「かっちゃん〜。ねえいいでしょ?好きだよ、いっぱい好き。」
「んなことより、ヒーローになる夢叶えろや。」
「もちろん、夢は叶えるよ!絶対ヒーローになる!!」
「だったら、身体鍛えろや。」
「うん!僕、頑張るよ!」
「半端は許さねえからな。」
「もしも、もしもさ、夢叶えてヒーローになったら、······きすしていい?」
「あ?舐めてんのか?半端は許さねえったろが。キスでもセックスでも何でもし殺したるわ。」
「セセセセセセセセセセセセックスって僕らまだ小学生だよ?ませすぎだよ、かっちゃん。」
「バカかボケブス、プロヒーローになる頃にはどーてー卒業出来る年だろが。」
「そっかあ。あ、でも小学生襲う18歳かあ。」
「あほかてめえは、4歳から今も、俺は成長してんだろが。」
「そういえば僕とかっちゃん、身長変わらないかも。」
「バカ言え、俺のほうが1cm大きい。」
「······みみっちい。」

 好きだよ。この心臓が同じときめきを感じるように。

◇◆◇

『こころのねがい』


 僕がかっちゃんの心臓を移植して11年、かっちゃんに告白して9年がたった。
 僕は雄英高校に、無事入学し、ヒーローと言う夢に一歩近付いた。
 かっちゃんは、本当は僕が起きている時でも出て来れるらしい、らしいとは、OFAを受け継いで暫くして、歴代継承者と会話するようになってから気付いたからだ。
 継承者とはやはりと言って良いのかどうか、心臓を移植したということと、その移植元のかっちゃんの意識があるということ、そして、ついでと言って良いのか、僕がかっちゃんに好意を寄せていることがばれ、特別に、かっちゃんのプライベート空間には、立ち入らないことを約束してくれた。なんだか、気恥ずかしい。
 かっちゃんは、それに気を良くしたのか、時たま、起きているときにも出て来てくれるようになった。

「かっちゃん、入学記念にさ、記念写真撮ろうよ。」
「写真······?んなもん撮れんのかよ。」
「多分大丈夫だと思う。」

 さっき自分一人で写真を撮った時には、手が震えて上手く撮れなかったけれども。だって虚しくなったんだ。君が生きていたらなんて、詮無いことを考えた。だって君が生きていたら、僕はここまで生きれなかっただろう、多分。昔みたいに病院のベッドの上で、外に居るであろう君みたいな人達を羨んでは、歯噛みするしかない人生だっただろう。
 こころの中、かっちゃんと一緒に写真を撮れたらどんなにいいだろう。
 ずっと忘れず飾って置くのに。
 こころの中、慣れた様子でスマホをいじり、自撮りのていでカメラアプリを起動する。どきどきする。唇まで震えてくる。

「ねえ、かっちゃん。隣、来て。隣に居てよ。」

 雄英の制服を着て写ったかっちゃんはどこか緊張した顔をしていた。僕は情けなくも、泣きそうな顔をしていた。
 ああ、どこかの僕はきっと彼と幼馴染みで、きっとこうして同じヒーロー目指してて、同じ学校にだって通って、本当に彼の隣を歩けているのだろう。
 そうじゃないと悔しい、苦しい。

 震えながら差し出した手は、初めて触れる暖かな手に、勇気を貰った気がした。

「ねえ、かっちゃん。ずっと、ずっと好きでいて良いかな。」
「好きにしろ。」

 ねえ、握り返される手に希望を貰っても良いのかな。
 君の目を見つめて、そっと唇を手で触る。

「触っても良い?」

 唇で。
 君はパチリと瞬いて、

「······好きにしろ。」

 そう、言ってくれたから。

 そっと唇を塞いだ。

◇◆◇

『こころのちかい』


 体育祭、僕はかっちゃんの『爆破』の個性を借りて、轟くんをおさえ、一位になった。かっちゃんは、当然だって息巻いてたけど、僕はかっちゃんがアドバイスくれたおかげだと思ってる。
 オールマイトにも喜んで貰って嬉しかった。僕は嬉しくて、かっちゃんのおかげなんです。と、喜色満面、オールマイトに伝えた。オールマイトにもかっちゃんのことは伝えてあった(もちろん、好きなことは伏せて)から、今度そのかっちゃんのこと詳しく教えてくれと言われた。えへへ。
 かっちゃんは、普段口が悪いけど、ここぞと言う時にはちゃんとしたことを言ってくれる。今回も、轟くんが、メンタル不調なことに気付いてズルいけどそこを狙うように言われた。
 かっちゃんがいたおかげで、歴代継承者との意思疎通が、早く行われたことも関係あるのかな。黒鞭で轟くんの身体を抑え付けられたことが、決め手だったかも。
 USJ襲撃事件では、まだ、フルカウル常時5%程度の力しか扱えてなかったけど、体育祭では、10%に加えて、黒鞭を扱えるようになった。
 かっちゃんの言う勝って救けるヒーローにも、僕の思う救けて勝つヒーローにもちゃんと近付けてるかなあ。かっちゃんの一番になりたいって理想を、僕が叶えるよ。絶対みんなを笑顔で助けるNO.1ヒーローになるんだ。
 かっちゃんと僕のあの憧れのヒーロー、オールマイトから受け継いだ力だぞ、絶対に使いこなして見せる。
 かっちゃんがくれた『爆破』の個性だって、大分使いこなせるようになって、爆破で浮けるようにもなったんだから。それから、ハウザーインパクト、APショットも。
 かっちゃんが、こころの中で、特訓してくれた時に教えてくれたんだけど、僕が髪をアフロにしながら頑張った結果、見事習得出来ました。
 そういえば、ドラフト指名は、轟くんに次いで2位だった。頑張ったかいがあったよ。
 その時「コードネーム」ヒーロー名を決める授業があったんだけど、かっちゃんは、よりにもよって『爆殺王』にしろやと、大分理不尽なことを言ってきて、死を感じながら却下したよ。
 なら、『爆殺卿』だ!って?ほんとさあ······。
 僕はもう、大分前から決めていたヒーロー名にしたんだ。

『デク』

 それが、僕のヒーロー名。なぜかって?かっちゃんが、僕のことをそう呼んだからだ。
 僕が得意気に、自分の名前を漢字で書いた時に、かっちゃんが、こうも読めるんだぜ。と、出久をいずくじゃなく、『デク』と呼んだんだ。普通なら蔑称のそれは、僕には二人きりの特別な言葉に思えたんだ。かっちゃん、その時から君が、こころの中に息づいたときから、君が、好きなんだ。そんな君が、ヒーローになりたいっていうなら、僕は。

 ヒーロー『デク』は、みんなの笑顔を救うヒーローになるよ。

◇◆◇

『こころのどこか』


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