白いドレスの裾を引いて
彼女は父の手を離れた
そのとき父は少し 泣いた
笑いながら 泣いた

誓いの言葉は風に乗り
古い教会の壁に染みていく

ひとつの名前が終わって
ひとつの名前が生まれた
食卓にふたつ並んだ湯呑み
喧嘩のあとの 沈黙も
朝の寝ぐせも 鼻歌も
全部ひとつの暮らしになる

結婚は
終わりだ と嘆く 人がいる
否
始まりだ と笑う人がいる
春の光の中に立つふたりは
まだ何も知らない顔をしている

それでいい
今はそれでいい と思う
分からないまま
知らないまま
歩いていけば
道は必ず開いていくものだ.
