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言葉は、安心のあとからついてくる


    #創作大賞2026 #エッセイ部門

    子どもが、うまくいかないとき、私たちはつい、
何か言ってあげたくなります。
    「こうしたらいいよ」
「そんなこと気にしなくて大丈夫」
「頑張ればできるよ」
    きっと、どれも子どもを思っての言葉でしょう。
    でも、あとになって、
    「あれ…全然伝わっていないかも…」
    そんなふうに感じたことはないでしょうか。
    私自身の息子2人の子育ての中でも、スクールカウンセラーとして学校で関わる中でも、
    「伝えたはずなのに、伝わっていない」
    そんな場面に何度も出会います。
    ある日、学校で涙をこらえている子がいました。
    「大丈夫?」と聞くと、「うん…」と返ってきます。
    そこで私は、
    「嫌なことがあった?」
    「誰かとケンカした?」
    「先生に叱られた?」
    と、いろいろ聞いてみました。
    でも、その子は首を横に振るばかり。
    何か力になりたくて、言葉を探していたのですが、なかなか対話には繋がりません。
    ふと、
    「今日は、なんだかつらそうに見えるな」
    そう伝えてみました。
    すると、「……うん」と、小さくうなずいたあと、
    「ママに怒られた」と、ぽつりと話し始めたのです。
    そのとき感じました。
    人は、正しい言葉を求めているとは限らないのだなと…
    「わかってもらえた」そう感じられたときに、
初めて言葉が届くこともあるのだと。
    心理学者のカール・ロジャーズは、人が安心して自分の気持ちを表現するためには、「共感的理解」が大切だと考えました。
    答えを急ぐことよりも、まず、その人が見ている景色を一緒に見ようとすること。
    それが、
「伝える」より前に必要なことなのかもしれません。
    子どもが困っていそうなときに、親として、カウンセラーとして、何か言わなければ。
    そんなふうに思う日もあります。
    でも、すぐに答えを渡さなくてもいい。
    励ましの言葉が浮かばなくてもいい。
    「つらかったんだね」
    「そう感じていたんだね」
    そんなひと言のほうが、遠回りのようでいて、
    実は、一番深く届くこともあるのかもしれません。
    子育ても、支援も、「うまく話すこと」より、
「一緒にいること」。
    言葉は、安心のあとからついてくる。
    そんなことを、子どもたちから教えてもらっているように思います。
    ■次回予告
    子どもが失敗したとき、結果が出なかったとき、
    私たちはつい、「もっと頑張ればよかったのに」
と思ってしまうことがあります。
    でも、本当に必要なのは、反省することなのでしょうか。
    次回は、
    「失敗した経験は、子どもを強くするのか」
    について、一緒に考えてみたいと思います。

     
     
    専業主婦から始まった子育てで、やんちゃ息子達は現役で京大工学部と九大へ。 キャリアカウンセラー・公認心理師・大学講師。 子育て常識を心理学の視点とリアルな経験からゆるく検証していきます✨

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