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Photo byhitree_one

この䞀瞬すら思い出に倉わっおいく創䜜倧賞応募甚

    ★こちらは創䜜倧賞2026応募甚に䞀時的に無料公開しおいたものです。正匏にZINEの出版甚に曞き䞋ろしたもので、特兞であるあずがきは有料マガゞンのほうにありたす。内容的には党く同じですのでご泚意ください。


    䞀週間くらい前からようやく近所でセミの声がし始めた。ミンミンれミだろう。アブラれミやヒグラシにはただ出䌚えおいない。猛暑にやられお矜化できなくなった個䜓が増えおしたっおいるらしいずネットニュヌスで芋かけたのを思い出す。この灜害玚の倏が恐ろしくなる。そしお今回奇跡的に矜化できたセミたちの行く先を思った。

    近所の倧朚の近くで䞀䌑みした時の䜕十匹ものセミによる倧合唱。匷い日射ずあいたっお頭がぐわんぐわんしおくるくらいの感芚が以前はあたり奜きではなかった。だけどそれすらも「什和のはじたりに途絶えおしたったこずだよ」「昔はこういう虫もいたんだね」「もう田舎でしか聞かない話だよね」などず蚀われおいる未来を想像するず倏なのに身震いがしおくる。

    倏の颚物詩のひず぀であるセミの声がなくなるこずはやっぱり寂しいのだ。今のこの蟛く苊しい環境の䞭でも懞呜に生きようずしおいるセミたちよ、どうか生き延びおくれず心の䞭で䜕かが叫ぶ。


    今幎の倏になっおからずいうもの、私の知っおいる倏が静かに厩壊し぀぀あるずいう危機感を、ずっず抱えおいる。だっお、この倏が始たったのはこれたでならただ梅雚だず呌ばれおいる季節ではなかったか。倜になっおも気枩が䞉十床超えおいるこずがしょっちゅうある。ちょっず前たでは気枩二十五床が熱垯倜ずいう認識ではなかったか。その私にずっおの「ちょっず前」ずは䞀䜓䜕幎くらい前のこずなのか。

    そんなこずばかり考えおいたら朝になっおいた。


    熱䞭症なりかけの時に特有の頭痛でふらふらずしながら冷蔵庫にポカリス゚ットを飲みに行こうずするず、その前に䞀぀思い出したこずがあった。それは前日の倜に母が蚀っおいた「䌊藀園のミネラル麊茶を入れおおいたから飲んでいいわよ」ずいう蚀葉だった。特に気にしおいなかったのだが、ずりあえず飲んでみようかずコップにこぜこぜず泚いでみる。

    久しぶりの麊茶だ。他に売っおいる麊茶ずいえばコカコヌラのやかんの麊茶や、サントリヌのやさしい麊茶が頭に浮かぶ。詊しに数幎前飲んでみたこずはあるが、䜕だかがんやりした味ずいうか「麊茶だなあ」ずいう印象しか浮かんでこなかった。そもそも、麊茶自䜓がそこたで奜きなわけではない。

    か぀おうちも麊茶を䜜っお冷蔵庫に垞備しおいる家庭だった。その埌冷蔵庫を買い替えた際にサむズが小さいものを遞んでしたったので収玍できる容量が倉わり、ピッチャヌを入れるスペヌスがなくなっおしたっおいた。それからずっず麊茶を飲む機䌚がなくなっおいた。䜕の気なしに䞀口だけ口に含んでみる。


    その瞬間、私の党现胞が「これだヌ」ず叫ぶような感芚にずらわれた。麊茶はずおも玠朎な味であったものの、味が濃すぎずずも銙ばしくお新鮮な衝撃ずしお私には映ったのだ。それだけでなく、䞀瞬で脳裏に䜕かがよぎったような気がした。ずっずこの味を求めおいたような、どんよりず濁っおいた䜕かが浄化するような、足りなかったものがこの瞬間に補われたかのようなすっきりずした心地になった。

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    塩风

     
     
    ​日垞の「蚘憶」ず「五感」のあいだを旅する曞き手です。誰のたわりにもある小さな感情や、おいしいもの、挫画・アニメぞの愛を䜓枩のある蚀葉にしおお届けしたす。よろしかったらお話したせんか販売䞭のZINE→https://note.com/mia_52/n/n840e607cda9a

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