メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo byfairview_square

とある春の日、道すがらに

    ふと思い立って散歩コースを変えてみた。これまでは道路際を歩いていたのだが、その裏道を歩いてみることにしたのだ。自然豊かでのどかな道。私は人通りの少ない道の方がちょっと怖くて敬遠していたのだが、緑がある場所はストレスが減ったり癒されたりするというので思い切って行ってみることにした。

    さわさわ、と強めの風が吹く中でいつもと違う角を曲がる。ここからはあまり知らない道となる。何だか冒険のスタートのように感じて胸が高鳴る。足元を確かめながら暗がりになっている竹林へざくざくと音を立てて入っていく。いくつもの細い竹がまばらに伐採されており、中途半端な手入れがされているかのようだ。今の季節といえばたけのこ。ここに無断で入って収穫している人もいるのかもしれない。


    少し離れたところに線路があり、かんかんかんと音がした後に電車が通っていくのが見える。周りに生えているすっかり背の高くなった雑草たちがざわっと揺れる。きっとここからでも白く見える花はハルジオンとか、ヒメジョオンといったところだろう。どうやら群生地帯のようになっているらしい。

    厚着をしてきたのでのどが渇いてきた。手持ちのポカリスエットをごくごくと飲む。ふう、と息をつくと鳥のさえずり声が聞こえてきた。だけど何かがおかしい。「ホーホケッ」までしか言わないのだ。思わず辺りを見回してしまうが、姿は見えない。多分ウグイスだろうと推察するのだが、よく聞く「ホーホケキョ」という声でないことに首をかしげてしまう。

     
     

    塩飴

     
     
    ​日常の「記憶」と「五感」のあいだを旅する書き手です。誰のまわりにもある小さな感情や、おいしいもの、漫画・アニメへの愛を体温のある言葉にしてお届けします。よろしかったらお話しませんか?販売中のZINE→https://note.com/mia_52/n/n840e607cda9a

    あなたへのおすすめ