メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo bynodakaori

やさしいクラスメイトが救ったもの

    成人式の前に写真館で前撮りをした。かなり動きにくく、体力もない状態で要求される謎のポーズの数に息を切らせていたのを覚えている。そしてついに迎えた成人式当日。やはり振袖は扱いにくく、何より重かった。

    肩の白いふわふわからも圧力を感じるのは肩にのしかかっている振袖の生地(特に帯)が重いせいだろう。加えて朝四時からの美容室への集合時刻で眠かったため、正直なところ朝からすでに疲れていた。


    会場に近付くにつれ、ぽつぽつと見つかっていく見知った顔たち。「久しぶり!」と言いあう振袖姿にはやはり笑みが似合う。中には名前を思い出すことができない同級生もいたものの、「無理して思い出さなくてもいいよ! こうしてまた会えただけでも嬉しいもの」と優しい言葉をもらった。

    ホールでの退屈な時間を経て、ついに学校ごとに分かれて軽食の時間が始まった。恩師に覚えてもらえていて涙を流すクラスメイト、大学デビューでもしたのかすっかり見た目が変わってしまっている他のクラスだった人、わいわいと騒いでいるわりとやんちゃなグループに属していた人。そんな様子を見て「楽しそう」と思うだけでも来た甲斐があると思った。

     


     

    最高のクライマックスがあったのはその後だった。ある程度中学時代の友達と話をして帰ろうとしていた所、思いがけない再会があったのだ。それは高校時代のクラスメイトを見つけたことだった。よく考えたら同じ市内に住んでいるし同じ会場にいても何の不思議もない事なのだが、私は全くその可能性を考えてはいなかった。

     
     

    塩飴

     
     
    ​日常の「記憶」と「五感」のあいだを旅する書き手です。誰のまわりにもある小さな感情や、おいしいもの、漫画・アニメへの愛を体温のある言葉にしてお届けします。よろしかったらお話しませんか?販売中のZINE→https://note.com/mia_52/n/n840e607cda9a

    あなたへのおすすめ