
大人だけのお楽しみ、休日の立ち飲みおつまみ(レシピ付き)
5歳長男と2歳双子を育児中の我が家。
「パンツは頭にかぶらないよ~」「椅子の上でお相撲するのはやめて!」「え、え、ダ、ダ、ダ、ダンゴムシッ!?!!お外にっ出してっ!ね?ね?(車の中で、子の手のひらでうごめくダンゴムシたちに気づいて)」など、休日になると1日中奇想天外な子どもの言動に突っ込みを入れながら、彼らを追いかけまわして過ごしている。男子3人は少し目を離せば箸を鼻に入れてみたり、本棚をよじ登ったりと危なっかしく、油断も隙もない。
大前提として子どもたちは大変かわいい。育児に幸せを感じている。それでも、週末は心底疲れ切り、ここ数年で精神的な「休みの日」は消滅した。週末はただただ仕事がないというだけの、育児と溜まった家事を消化する日と化していた。
しかしそんな私たちの休日は、新しい趣味によって大きく変わった。その趣味とは、夕方のキッチンでの立ち飲みだ。
我が家では休日の17時から夕飯開始の18時過ぎまで、子どもたちが好きなアニメや映画を観て良いことにしている。そしてその1時間で親はひっそりと晩酌を嗜む。
ほとほと疲れ切ったゼという日に、まだ明るいけど子どもには映画見せてもう飲んじゃうか、とプシュッとやってみたのが事の始まり。すっかり今では我が家の休日の定番になった。
子どもたちが映画に夢中になっているうちに、「さてさて、はじめますか」とにやにやしながら冷蔵庫から本日の選ばれし1本を取り出す。
20代は2人ともビール派だったけれど、最近は日本酒の生酒が好きで、野菜室のスペース3分の1を日本酒たちが占領している。寒くなると日本酒の日が増え、暑くなるとビールやワインにも手が伸びる。
「あっどうもどうも」「おお、たっぷり〜(にやり)」などいかにも悪さをしているという風情を楽しみながら、お酒を注ぐ。「では、乾杯。おつかれさま」と子どもにバレないくらいの声でつぶやき合って、ぐっと一口。
くうぅ、染みる。
子どもと一緒に公園で寒さや暑さに耐え、駆け回り、日光浴びて疲れ切った身体にアルコールが染み渡る。今日も1日頑張った甲斐があったと、心から思う。
早々に2杯目を注ぎながらも、頭の中は今日のつまみをどうするか、ということにシフトしている。お酒に合って、できれば季節を感じるものがいい。あまり手間はかけたくないけれど、ご褒美感は欲しい。せっかくだから、子どもには食べさせられない辛かったり苦かったりするものも、心置きなく食べたい。欲張りだけど、こんなことくらい、ちゃんと欲張りたいのだ。
冬のお気に入りは、ふわふわの湯豆腐。元々は嬉野温泉名物の温泉湯豆腐を生協のカタログで見かける度に注文していたのだが、重曹がジェネリック温泉水になると聞いて試してみたら手軽で美味しかった。
まずは水200㎖と昆布、豆腐150gと厚揚げ1枚を適当に切って鍋に入れて、煮立たせる。沸騰したら食用重曹を小さじ1/2入れて弱火に。豆腐が溶け出して、鍋の中が白濁したら出来上がり。


コンロに鍋を置いたまま、熱々の豆腐を器によそう。ポン酢や柚子胡椒やめんつゆで各自好きに味をつけて、ふーふーはふはふ、口に含めば角がとれた豆腐がとろりとほどける。お揚げは湯葉のように溶け、なんだかとても贅沢をしている気分。
豆腐を食べきったら、白菜や豚肉や牡蠣などの具材と白だしをちょろっと入れて、夕飯のメインとして豆乳鍋にするのもいい。さらにうどんやごはんを入れて〆るのも好き。汁まで美味しく食べ尽くせると、お得な気がして嬉しくなる。
ホタルイカが鮮魚コーナーに並び始めると、春の気配に浮き立って、手に取らずにはいられない。
フライパンにオリーブオイルをしいて、半月切りにした長芋をジリジリ焼く。焼き目がついたらボイルのホタルイカを加えてクレイジーソルトをシャッシャと振り、サッと炒め合わせて出来上がり。
ホタルイカは油跳ねしやすく焦げやすいので、炒める時間は手短に、ササッと長いもにイカの風味を被せる程度で大丈夫。シャッとかサッとか、あれこれ適当で問題なし。日本酒も合うし、ビールも合う。大人は胡椒を追加して、ピリッとさせてもまた美味しい。

茹でた菜の花を昆布に挟んで一晩寝かした、菜の花の昆布締めも春の定番。
ゆで卵やサーモンの刺身を醤油麹で一晩漬けたものも、調味料1種類だけとは思えない深みのある味がお気に入り。いずれも、さあ飲むぞとなったらすぐに冷蔵庫から出してつまみにできるところが良い。


夏になったらなるべく火を使わずに涼しく飲みたい。アボカドを切ってごま油と岩塩をかけただけの、アボカドのお刺身はまったりコクがある。簡単にすぐできるので、飲み始めに最適。

奮発して桃を買えば、モッツァレラチーズと生ハムとオリーブオイルと塩胡椒で和える。よく冷やした白ワインを合わせた時の多幸感は抜群。もうこれだけで良い1日だったと思えてくる。

季節問わずよく食べるのは砂肝の塩茹で。砂肝がひたひたに浸かる量の水を鍋に注ぎ、塩小さじ2と一緒に15分くらい茹でる。長ネギの青いところや生姜を入れて臭みを抑えてもいいけれど、塩だけもそんなに変わりがない気がして省略することが多い。
茹で上がったらアクを洗い流して、硬いところを除いてスライスしたら出来上がり。ポン酢や刻んだねぎ、炒りごまなどをかけて食べると日本酒に合う。

トマトやアボカドと一緒にドレッシングで和えてもいいし、パクチーとレタスと合わせればエスニックなサラダにもなる。
身体に良さそうで、安くて作り置きもしやすいので、ついつい年中作ってしまう。

秋になったら柿やイチジクをくし切りにして、生ハムを乗せて食べるのがお楽しみ。
これは子どもたちも好きなので、みんなで取り合って食べる。

ふっくら肉厚な椎茸を手に入れた日には、カマンベールチーズをのせてトースターで10分ほど焼く。椎茸の汁とチーズがじゅわじゅわと溶け合ったところに醤油や醤油麹を垂らして召し上がれ。
焼く前に山椒味噌などを塗っておくのもおすすめ。チーズがとろとろの状態を、焼けたそばから食べるのが1番美味しい。

季節が変われば美味しい食材も食べたいものも変わるので、飽きがこない。
子どものリクエストでゴリラになりきって家の中を跳び回った日も、寄り道に寄り道を重ねて徒歩2時間かけて買い物に行った日も、「おかげで美味しいお酒が飲める」と励みになる。
自分のための、自分の楽しみが最優先された時間を作れるようになってから、週末はちゃんと「休日」に戻ってきた。
週末の夕方1時間。夫と取り留めもない話をしながら、立ち飲みをする。合間に夫は洗濯物を畳み、私は夕飯をつくる。
プロジェクターで映し出している子ども向けアニメがBGM。リビングにはおもちゃが散乱し、雑然とした台所は生活感に溢れている。おしゃれでも無ければ、丁寧さもないけれど、居心地は良い。
きっとそのうち、家族5人で1日中過ごすことはなくなっていくのだろう。いつかもっと自由に自分の時間を持てる日を楽しみにしながらも、今はこれが1番と、目の前に広がる景色を愛でている。

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