
風が吹く時
風が吹く時、海を見た。
退屈な授業を抜け出して、友達と3人で鎌倉に行った。
鎌倉の街を歩き、いくつかの神社をまわった。
江ノ島に海を見ようと、江ノ電にガタガタ揺られ、浜辺に着いた。
夕方になって、雲が出てきたが、綺麗な夕日を3人で見ることができた。
せっかくだからご飯もここで食べようと、浜辺に隣接しているレストランに入った。
3人ともレストランの名物のイカの黒墨のパスタを食べた。
夜の海を見ようとレストランを出て、浜辺に降りた。
2人は相変わらずはしゃいで浜辺を走り回っていた。
外は星も月もなく、レストランの窓からの明かりだけが浜辺を照らしていた。
海は墨汁のような黒で、少しだけ青みがある空とつながっていた。
海の先の島も建物も、真っ黒いシルエットしか映っていなかった。
ザッザァーと波の音と、友達がはしゃぐ声だけが聞こえていた。
ザッザァー、ザッザァー。
風が強く吹いたとき、波も大きくなり、後ろに走って逃げないと飲み込まれそうなところまで波がきていた。
真っ黒な海をじっと見つめた。
ザッザァー、ザッザァー、ザッザァー。
「……」
友達2人がこっちに駆け寄ってきた。
「大丈夫」
「大丈夫」と答えたあと、
「そろそろ帰ろか」とわたしは2人に言った。