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    <title>板橋</title>
    <description>21</description>
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      <title>7.5</title>
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      <description><![CDATA[<p name="73DAB059-7161-41E2-A4CB-8AE1596330A0" id="73DAB059-7161-41E2-A4CB-8AE1596330A0">　家族のように思いたいなら、家族になるべきでした。<br><br>　母は、私が八ヶ月のときに亡くなりました。父の素性は、なにも知りません。<br><br>　私には、「家族だったころ」の記憶がありません。あるのは、代わりになるような景色ばかりでした。<br><br>　人は、覚えているものを記憶と呼びます。けれど私の人生は、思い出せないものの上に積み重なってできていました。<br><br>　家族写真もありません。生まれたという証拠は戸籍しか残っておらず、笑っている顔も、抱き上げられている姿も、どこにもありません。家族写真のない人生は、過去そのものが白紙に見えてしまうものです。<br><br>　母と父という言葉がだけがあって、その中身はいつも空っぽでした。<br><br>　それでも私は、空白を埋めようとはしませんでした。<br><br>　空白には、不思議な優しさがありました。知らないままでいられることは、知ってしまうことよりも救いでした。<br><br>　母が亡くなったことも、父が蒸発したことも、今の家族に出会ったことも、私が決めたことではありません。<br><br>　振り返れば私の人生は、いつも誰かの選択の続きを歩いているようでした。<br><br>　そのたびに思います。その足跡を、自分の人生と呼べるのでしょうか。<br><br>　大学四年生の夏でした。就職活動も終わり、時間だけが急に余り始めました。<br><br>　暇つぶしに、旅行でもしようと思い立ちました。行き先は、遠すぎない方がいいです。帰ってこられない場所へ行く勇気はありませんでした。<br><br>　昔から、離れることよりも戻ることのほうが苦手でした。帰る場所がどこなのか、自分でもわからなかったのです。<br><br>　旅先は、宮城。生まれた土地です。もちろん、父のことなんて考えもしませんでした。<br><br>　ただ、一度くらい見てみてもいいと思ったのです。<br><br>　旅というのは、天気のいい日にするものだと思っていました。その日も、空はよく晴れていました。<br><br></p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/n388d99032cd5'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 05 Aug 2026 00:31:22 +0900</pubDate>
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      <title>月じゃなかったら、</title>
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      <description><![CDATA[<p name="2D61CFAC-40AD-4E59-A0B3-FE8F9CA923E0" id="2D61CFAC-40AD-4E59-A0B3-FE8F9CA923E0">　星があるのか、ないのかはわからない。ただ、月は静かに浮かんでいる。もしも、月が月じゃなかったら、どうしよう。<br><br>　玄関のとびらを開ける。そこは水槽の中だった。<br><br>　地面はぬれていないのに、水面がゆれているように、にじんでいる。街灯は丸くふくらみ、そのまわりを白い影が泳いでいる。わたしの影は、水草のようにゆらゆらと形を変えてついてくる。<br><br>　わたしはゆっくりと歩き出した。いそぐ理由は、ひとつもない。いそいでも、朝はむかえにきてくれない。<br><br>　遠くにあるものほど、気まぐれだった。電柱は、立ちつくす人になる。背のひくい看板は、落ちた洗濯物になる。捨てられたごみ袋は、丸まったねこになる。どれも、自分のなまえを決めかねている。正体を決めるのは、いつもさいごの数歩だった。<br><br>　だからわたしは近づく。たしかめるためじゃない。なまえを返してあげるためだ。<br><br>　数歩、また数歩近づく。おぼれてしまわないように、ゆっくり近づく。近づくたびに、人は電柱に、洗濯物は看板に、ねこはごみ袋になる。すこしだけ安心して、すこしだけさびしくなる。<br><br>　むこうから、だれかが歩いてくる。暗いかたまりが、ゆっくりと流れてくる。立ち止まろうか迷っているうちに、声がとどく。<br><br>「こんばんは」<br>「こんばんは」<br><br>　水槽の中が、わたしだけのものじゃなくて落ちこんだ。<br><br>　空を見上げると、月はさっきよりも大きくなっていた。近づいてきたのか、わたしが近づいたのかわからなくなる。遠くのものは、あまり信用できない。<br><br>　家にもどり、とびらを閉める。なれた広さに安心する。つくえの上に置き去りにされた夜があった。顔に近づけると、水の抜ける音がした。<br><br>　窓を開けると、月はいつの間にか遠くにいた。電柱は電柱になり、看板は看板になり、ごみ袋はごみ袋になっている。みんな、自分のなまえを思い出したらしい。また、空を見上げる。さっきまで見つけられなかった、ちいさな光があった。月が月だったことよりも、星がそこにいてくれたことが、すこしだけうれしい。星をひとつ、またひとつ見つける。わたしは、夜にあやまりたくなった。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/n81ea7cdd98e5'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 08 Jul 2026 18:41:22 +0900</pubDate>
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      <title>正しい処理</title>
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      <description><![CDATA[<p name="F5EC15BB-5A11-4442-8F23-5DBEA8BA2F7A" id="F5EC15BB-5A11-4442-8F23-5DBEA8BA2F7A">　あめ玉は舐めずに、噛み砕くような人間だった。<br><br>　ある日、飼い犬が汚れていた。だから洗濯機に入れた。洗剤は多めに入れた。きれいにしたかったからだ。母が帰ってきて悲鳴を上げた。せっかくきれいにしたのに、土の中に埋めたので意味がなかった。<br><br>　父が熱を出して仕事を休んだ。だから冷蔵庫に入れようとした。頭しか入らなかった。父はふらつきながら寝室へと戻った。熱は案外長引いた。冷蔵庫に入ったら、もっとはやく治ったのだろう。<br><br>　友達は毎日、教科書を忘れてきた。だから教科書をすべて捨ててあげた。友達は泣いた。それから友達は忘れものをしなくなった。顔を見なくなったのも、その子が安心したからだろう。それでも出席番号だけ、学校に残っていた。<br><br>　おそらく、当時は優しすぎたのだと思う。困っている人を見ると放っておけなかった。犬は汚れていたし、父は熱を出していたし、友達は忘れものが多かった。だから、助けた。<br><br>　私には、それ以外の選択肢がなかった。それでも、ほめられた記憶はひとつもなかった。だから、大人の言うことは守るようにしていたのだ。<br><br>　ある日、母が「家族は宝物だ」と言った。だから庭に埋めた。見つからないように深く埋めた。そのときは、もう学校に行っていなかった。タイムカプセルを埋める行事に参加できなかったのだけ、悔しかった。誰も何も言ってくれなかった。<br> <br>　私は本当に馬鹿な子どもだった。今思えば、あの頃の私は何もわかっていなかった。答えに縛られていたのだ。早期解決が正義だと考え、すぐに行動に移してしまう人間だった。問題には、もっと慎重に向き合うべきなのだ。<br><br>　犬は洗濯機ではなく手洗いするべきだったし、熱のときは冷凍庫に入れたほうが早く治るし、教科書は半分くらい残しておけばよかった。今なら、当然わかることだ。<br><br>　ある日、上司が「社員は家族だ」と言った。鼻の奥で、懐かしい土の匂いがした。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/nff4415643a4f'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 17 Jun 2026 22:30:35 +0900</pubDate>
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      <title>ホームシック</title>
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      <description><![CDATA[<p name="E25C3F49-256E-430F-8EFC-07CBC0F8F8A1" id="E25C3F49-256E-430F-8EFC-07CBC0F8F8A1">　後悔できるだけ、まだ救いがあるのかもしれない。<br><br>　それでも、私が悪かった部分を数えると、まるで全部私が悪いみたいな気がする。<br><br>　私が反論したら、せめて笑ってほしい。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/n2dd8a3ebffd2'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 14 Jun 2026 02:04:09 +0900</pubDate>
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      <title>幼虫</title>
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      <description><![CDATA[<p name="EEDFD8E7-80EF-42F0-8738-333470226CC3" id="EEDFD8E7-80EF-42F0-8738-333470226CC3">　幼虫は、ガラスの底で、ほとんど動かずに横たわっている。正確には横たわっているというより、形が定まっていないため、そう見えるだけだった。時折、体をくねらせるようにして動くが、すぐにまた眠ってしまう。今となっては、どこが頭で、どこが尻なのかも曖昧だった。<br><br>　幼虫は、暗がりを好んだ。光を落とすと、自ら影の方へ寄っていくように見えた。影へ逃げようとしているのか、それとも光そのものを忘れようとしているのかはわからない。それでもその反応は、正常なものだと記録された。<br><br>　餌は一日に三回、液状の栄養剤が与えられた。食べているのか、吸収しているのかはわからない。与えるとわずかに膨らむが、しばらくすると、同じだけ萎む。たまに、幼虫は顔をしかめるように餌を拒絶した。しかしそのたびに、細い管を通して、流しこまれた。<br><br>　やがて幼虫は薄い膜をまとった。白くて半透明のそれは、残された古い皮膚のように見えた。光も空気も音も、遅れて届くようになった。届くというより、届いたことだけがあとからわかる。<br><br>　膜は日ごとに厚みを増した。外側との距離が一枚ずつ増えていくようだった。名前を呼んでも反応はない。もっとも、その名前が幼虫のものであったのか、今では誰も確かめられなかった。<br><br>　幼虫は、もはやほとんど動かない。それでも管を通して、餌の供給は続けられた。それが必要というわけでもない。止める理由がないだけだった。<br><br>　人々は羽化を待ち望んだ。希望を抱いた。それでも、羽化はいつ起こるのかわからない。起こるものとして扱われるだけで、起こる条件は誰も知らなかった。もはや、幼虫は起きているのか眠っているのかわからなかった。ただ、生きていれば、生きているということが記録された。<br><br>　希望だけがよく育った。幼虫が少しでも動けば希望になったし、動かなくても希望になった。変化がなければ、その静けさが希望となった。希望は餌を選ばなかった。<br><br>　人々は、最後まで羽化を待った。白い膜の内側で何が育っているのか、誰も見たことはなかった。羽化すれば、何かになると信じていた。そして膜が破れた日、人々は初めて知った。育っていたのは、希望ではなかった。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/na779f141c1dd'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 10 Jun 2026 20:52:08 +0900</pubDate>
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      <title>浴槽</title>
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      <description><![CDATA[<p name="39505CF3-3CA5-43AB-B4BE-1685E75D69F1" id="39505CF3-3CA5-43AB-B4BE-1685E75D69F1">　私は風呂が好きだった。風呂に浸っている時間だけは、自分が人間であることを忘れられた。日々の考え事は、形を失いながら沈んでいき、ただ、肉の重さだけが残る。<br><br>　古いアパートだった。浴槽は妙に深く、白い塗装は黄ばんでいた。だが、風呂に入ってしまえば気にならなかった。<br><br>　私は黒い塊を浴槽に放り込んだ。するとすぐに、塊は分裂して、浴槽の中を満たした。その分裂したひとつひとつが、足だけを忙しなく震わせていた。黒い背中がぶつかり合うたびに、乾いた音が鳴った。<br><br>　私はその中に足を入れた。その瞬間、足裏でブチブチと音を立てながら、黒い塊は白い液体に変わった。<br><br>　私はゆっくりと腰を下ろした。足首に触れる。脛を登る。膝の裏を噛む。私は徐々に黒く染まっていった。<br><br>　私は背中を預けて目を閉じた。背中には、まだ温かい血が広がった。誰かに抱きしめられているようで心地よかった。<br><br>　浴槽では絶えず、乾いた音が続いている。彼らは自由だった。浴槽から出て、壁を這いずりまわるもの、天井まで登って落ちてくるもの、仲間の目玉を引きずりながら歩くもの。誰も止めないし、誰にも止められない。私はそんな彼らが好きだった。彼らには名前がない。仕事もない。守るべき約束もない。ただ腹が減れば食べ、暗い場所を見つければ潜り込む。ありあまるほどの自由が、彼らにはあった。<br><br>　一匹が私の肩まで登ってきた。長い触覚が顎に触れる。くすぐったかった。私は追い払わずに、好きにさせてやった。<br><br>　そのうち一匹が二匹になり、二匹が三匹になった。肩はやがて真っ黒になった。首も真っ黒になった。顔も真っ黒になった。<br><br>　急に居心地の悪さを感じた。浴槽の中で、私だけが異物だった。それでも彼らは何も言わずにいてくれた。私が口を開くと、すぐに口の中は彼らで満たされた。言葉は不要だと教えてくれた。私はそのまま浴槽の中に沈んでいった。<br><br>　私は彼らになりたかっただけだ。名前を捨てたかった。約束を捨てたかった。人間を捨てたかった。それなのに、私はまだ人間だった。浴槽の中で拳を握った。その瞬間、体を覆っていた黒い影が剥がれ落ちた。私は動けなかった。手は白くなっている。黒い影に覆われていたはずなのに、その下から現れた皮膚は、どこまでも人間の皮膚だった。<br><br>　私は急に恥ずかしくなった。ここにいることがどうしようもなく恥ずかしくなった。<br><br>　白く濁った浴槽を出た。排水口には髪の毛が溜まっていた。どうしても見覚えがあった。<br>　</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/nb2fc39fa18dd'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 03 Jun 2026 22:02:15 +0900</pubDate>
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      <title>嫌よ嫌よ</title>
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      <description><![CDATA[<p name="8E67AC05-736D-45DD-AF77-6A4803E0DAF9" id="8E67AC05-736D-45DD-AF77-6A4803E0DAF9">　自分を主人公と思いこみすぎた全員へ。<br><br>　「呪う」とラインを送ってくる、不幸中毒者がいる。勝手に呪詛宣言をするな。悲劇のヒロイン願望とは、愛されなかった自分を永久保存したい執着なのだろうか。<br><br>　ブロックとブロック解除を繰り返す、人間関係解約男がいる。通知欄をドラマの演出のように使うな。人は愛されたいときより、忘れられたくないときのほうが面倒くさい。<br><br>　マルチにハマっていると噂を流す、口から信用が漏れ出す女がいる。人の人生をコンテンツとして消費するな。噂話を共有したがる人間は、情報ではなく、優位性を配っているつもりなのだろうか。<br><br>　タメ口でしか話せない、礼節を母胎に置いてきた後輩がいる。親しさを免罪符にするな。親しさとは、言葉遣いを崩した数ではなく、沈黙を許せる数で決まる。<br><br>　初対面から踏み込みすぎる、逆コミュ症がいる。距離を詰めることを理解だと錯覚するな。人間関係には助走が必要であり、信頼はノックなしでは入ることができない。<br><br>　SNSの病み投稿が作品だと思っている自己演出家がいる。勝手に連載開始するな。苦しみは救済を求める声であり、観客を求める演出ではない。<br><br>　約束の時間を目安だと思っている、責任感後払い人間がいる。勝手に瞬間移動前提で話すな。約束の時間を破る人間は、時計ではなく信頼を遅らせている。<br><br>　地元でしか息ができない、内輪ノリで呼吸しているチリチリ頭がいる。馴れ合いを家族だの、兄弟だのと呼ぶな。自立できない人間同士が、依存を美化しているだけだ。<br><br>　毎日のように高級店の料理を載せている、安い承認欲求の塊がいる。他人の稼ぎで自分を飾るな。摂取しているのは肉寿司ではなく、いいねの数だ。<br><br>　遊びを断ると人付き合いが悪いと言ってくる、予定同調圧力者がいる。誰もが同じ時間を生きていると思うな。実母が危篤のときに予定を優先するなら、それは友情の証明ではなく、他者から見捨てられる恐怖が、血縁すら追い越しただけだ。<br><br>　「時間が解決する」と言う、時計信者がいる。放置を治療と呼ぶな。向き合わなかった痛みは治るのではなく、生活の奥へ静かに沈んでいく。<br><br>　「生きろ」と簡単に言う、救済気取りの傍観者がいる。きれいな台詞だけ置いて帰るな。明日を信じられなくなった人間は、壮大な夢よりも、枕の上で小さな夢を見る。<br><br>　「嫌よ嫌よも好きのうち」だと、本気で思っている、ただのご都合主義がいる。他人の拒絶に自分の願望を投影するな。拒絶を脳内から除外した人生観で生きられるなら、現実よりもずっと都合のいい遊戯だ。嫌よ嫌よは、嫌なだけだ。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/n54144cc4b349'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 28 May 2026 00:35:28 +0900</pubDate>
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      <title>夏の記憶</title>
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      <description><![CDATA[<p name="A98BE82E-01F0-4A73-BA48-98ED8BAD70D0" id="A98BE82E-01F0-4A73-BA48-98ED8BAD70D0">　口元に空いた穴の中には、二日酔いの私がいました。<br><br>　もう片方の穴の中には、一時間も駄々をこねた私がいました。<br><br>　決して空っぽの空洞なんかではないのです。覗くと、去年の夏の思い出があぶくのように浮かんできます。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/n6388aaccc948'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 26 Apr 2026 19:52:03 +0900</pubDate>
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      <title>洗濯</title>
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      <description><![CDATA[<p name="4C3466A4-0180-4FB5-A58F-81F422CF3EAD" id="4C3466A4-0180-4FB5-A58F-81F422CF3EAD"><br>　部屋の隅に、脱ぎ捨てられた服の山があると、なんだか落ち着きます。<br><br>　生きている痕跡のようです。私の抜け殻は、まだ、昨日の夢と匂いと記憶を捨てきれずにいました。<br><br>　家の中は散らかっているのに空っぽみたいです。早く洗濯しないと。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/n441fe0373418'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 26 Apr 2026 19:46:32 +0900</pubDate>
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      <title>ため息を飲んで</title>
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      <description><![CDATA[<p name="32865C10-C8C4-42AB-AF59-CB37D923E3F7" id="32865C10-C8C4-42AB-AF59-CB37D923E3F7">　探さなくても見つかってしまうコンプレックス。少しは隠れていてほしいと感じます。<br><br>　今日だけは、鏡に映らないでいてほしいのです。ご都合主義の私なので。<br><br>　ため息が、鏡にも映らず宙で溶けます。<br><br>　大好きな甘ったるいジュースと一緒に飲み込めば、私はいつまでもきれいでいれるでしょうか。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/n5e169fb6a88e'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 21 Apr 2026 23:00:53 +0900</pubDate>
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      <title>生きてるだけで腹が減る</title>
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      <description><![CDATA[<p name="F7D116CE-E26A-4103-92A0-90CD4B4FDC0D" id="F7D116CE-E26A-4103-92A0-90CD4B4FDC0D">　絶対に食べきれない大きさのピザが食べたいときがあります。<br><br>　最大の欠陥にして、欠けているからこそ世界を欲望できるという、人間に残された最後の完全性です。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/naea668a9ca4a'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 21 Apr 2026 22:47:17 +0900</pubDate>
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      <title>隔離されるという行為</title>
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      <description><![CDATA[<p name="DA9909D5-AA2E-43A4-B89C-C53DCAFC9C1E" id="DA9909D5-AA2E-43A4-B89C-C53DCAFC9C1E">　行ったことがないのに行ったことがある気がするし、会ったことがないのに会ったことがある気がします。</p><p name="8702F936-93E9-4850-8571-38F68B346FA5" id="8702F936-93E9-4850-8571-38F68B346FA5">　水面に私は映っていません。私の影は波に飲まれてどこかに行ってしまいました。手応えのある温もりだけが残されていました。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/n254cd019b144'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 21 Apr 2026 16:02:39 +0900</pubDate>
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      <title>アイラインは長く引け</title>
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      <description><![CDATA[<p name="47389F4F-93F0-407B-AB1C-A50560992A71" id="47389F4F-93F0-407B-AB1C-A50560992A71">　アイラインは単なる装飾ではありません。<br><br>　人は現実そのものなんて見ていません。自己の輪郭を理解した上で、世界を認識しているのだと思うのです。<br><br>　たった数ミリです。数ミリの線で、態度や仕草や思考までもが変わっていくようです。<br><br>　アイラインは長く引きます。少しだけ遠くを見るために。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/n64c5edf6bcf6'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 21 Apr 2026 15:56:16 +0900</pubDate>
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      <title>独り占め</title>
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      <description><![CDATA[<p name="E5FF3A37-85F0-4227-A87D-E6309DCE8523" id="E5FF3A37-85F0-4227-A87D-E6309DCE8523">　みんなが眠っている間、私はこっそり起きて、静かな時間を盗んでいます。<br><br>　みんなが起きる頃、私は静かに目を閉じます。街はまだあくびをしているようでした。<br><br>　朝は、私だけの夜みたいです。夜の名残はまだポケットの中にありました。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/n414ecd9f3b6c'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 19 Apr 2026 06:45:08 +0900</pubDate>
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    <item>
      <title>生きるために生きる</title>
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      <description><![CDATA[<p name="AEF5C7DE-E14E-4F54-870D-5982F1CB0D87" id="AEF5C7DE-E14E-4F54-870D-5982F1CB0D87">　家賃を払わなかった月は生きた心地がしません。</p><p name="8220B479-29D1-42E3-B5A3-4FA3770B50A8" id="8220B479-29D1-42E3-B5A3-4FA3770B50A8">　生きるための場所はあるのに、滑稽です。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/nc6ecbb5ac07b'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 17 Apr 2026 02:27:45 +0900</pubDate>
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      <title>明日から頑張るとか言うけど</title>
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      <description><![CDATA[<p name="C2935EE1-E3EE-4EAA-B2CC-D129CBA22EA7" id="C2935EE1-E3EE-4EAA-B2CC-D129CBA22EA7">　死ぬ前までにしたいことって、意外と思いつかないものです。</p><p name="65464033-2409-4ABD-93A9-CD2F1421CFA6" id="65464033-2409-4ABD-93A9-CD2F1421CFA6">　考えても、次の日には忘れてしまいます。それは、その日生きるので精一杯だとか、そんなものではありません。惰性で過ごしているから、何も思い出せないのです。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/n500450a8df92'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 17 Apr 2026 01:34:50 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/merry_rhino6230/n/n500450a8df92</link>
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      <title>端くれで</title>
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      <description><![CDATA[<p name="A75D0FC3-DA8B-4A9E-AC59-585C0454F9D6" id="A75D0FC3-DA8B-4A9E-AC59-585C0454F9D6">　朝はかならず音からやってきます。鳥の鳴き声がしました。耳だけが立ち上がって、私はまだ起き上がれません。まぶたをあけると、光が逃げませんでした。逃げ場を失った光は、私にすがりついて、離れてくれません。時計を見ると針が止まって見えました。昨日と今日のすきまに足がひっかかってぬけません。お布団を押したけど、重くて持ち上がりませんでした。まだ、夢が残っているのかもしれません。ようやく起き上がると、昨日の夢が体にしみました。そしてとうとう、なにも思い出せません。<br><br>　鏡の前に立つと、笑っていませんでした。今日はどうしてか、いつもよりもお腹が痛いです。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/n50a8bf3e000a'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 16 Apr 2026 19:15:02 +0900</pubDate>
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    <item>
      <title>旅は天気のいい日に</title>
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      <description><![CDATA[<p name="CF46174E-95FA-4916-B651-C8299FF07681" id="CF46174E-95FA-4916-B651-C8299FF07681">　私の父は、どこにいるのかわかりません。のうのうと生きているのだと思います。生きててほしいと思います。<br><br>　ただ、探しに行くのが手間ですが、探しに行こうと思います。名前も年齢も知らないのに、全部知っているように思えるのです。<br><br>　そんなこと言っても、やっぱり、思っているだけです。あなたも探してくれているといいなって思います。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/n44bece77308d'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 16 Apr 2026 19:06:42 +0900</pubDate>
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    <item>
      <title>なんでもなくて</title>
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      <description><![CDATA[<p name="E96861E9-ED52-44BB-97F5-0B672679FBCC" id="E96861E9-ED52-44BB-97F5-0B672679FBCC">　正常でいることが恥ずかしいと、たまに思います。春休みに壊れてしまったあの子も、今はぐっすり眠っているのでしょう。<br><br>　今日は空が青すぎます。世界が丸いのだと、嫌でもわかってしまいます。嗚咽みたいに湧き上がってくるのです。今日の空は私を見ていませんでした。</p><br/><a href='https://note.com/merry_rhino6230/n/n66b790d3ba6c'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>板橋</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 16 Apr 2026 19:03:30 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/merry_rhino6230/n/n66b790d3ba6c</link>
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