
ちだいvs菊池誠の対談イベントに行ってきたけど対話って難しいな
どうも。メリ夫です。
昨日はロフトプラスワンウエストで開催された、ちだいvs菊池誠の対談イベントに行ってきました。
ちだいさんといえば選挙ウォッチャーの方ですね。
アンチN国で有名で、NHKから国民を守る党のあれこれを調査されていたのが印象に残っています。
選挙のコンサルティングなんかもやってるみたいです。
一方菊池誠さんは物理学の大学教授をされていた方です。
キクマコ先生とか呼ばれていたりもします。
私が地下アイドル現場でヲタクをしていた頃から知っている方と音楽活動をしていたりして普段からよくツイートなんかは見ております。
少なくともちだい氏からは私は菊池派として認識されていますし、実際その通りではあります。
というわけで、感想を述べていきます。
ちなみに、本記事に限らずコメントは歓迎で必ず読んではいますがコメント返しはしないのでご了承ください。
内容と会場の雰囲気
内容としては基本的には福島第一原発のALPS処理水の排出についての是非を問う話で、ちだい氏がバスクリンを使って「排出される総量が大事なんだ、濃度を薄めて排出すればいいというものではないのだ」という話をしていたのに対して菊池氏が「それは違う!濃度を基準値未満にすることこそが大事」と反論したことがスタートラインです。
論点のまとめは菊池誠さんのXで上がっていたのでこちらからどうぞ。
今日話したことを思い出した範囲で
— あ〜る菊池誠(反緊縮)公式 (@kikumaco) May 19, 2026
1. ALPS処理水を汚染水と呼ぶべきでないことには理由がある
2. 水溶性の核種は基本的には沈殿せずに拡散する
3. 水から生体への放射性物質取り込み量を決めるのは濃度であって総量ではない
4. 放出口の濃度が最大で、そこから離れれば濃度は下がる
5.…
ツイキャスでアーカイブが6/2(火)まで有料配信されていますので、見たい方はそこからどうぞ。
会場の入りは30人くらい。
冒頭「キクマコ先生派は?」と聞かれて挙手したのがだいたい7~8人程度でしたので、ちだい派は最大で菊池派の3~4倍程度でした。
雰囲気としては前半は割と対談らしい応酬だったのですが、差し入れドリンクで菊池氏にいいちこが入ってしまったせいでボルテージが上がってしまい、後半は菊池氏がほぼ一方的にしゃべる展開でした。
質疑応答も数回にわたって行われ、自主避難当事者の方やモニタリング作業に従事していた方からの質問がありました。
特にモニタリング作業に携わった方からの、科学倫理に関わる「過去の政府対応は批判するけれども未来の政府対応については全肯定なのか」といった質問などは非常に良く、「起きたことに科学者は他人事ではいられないが、過去を踏まえた未来については私は人々がいかによく暮らせるかを重視している」といった回答も含めてこういう応酬が見られて良かったと思いました。
反面、喧嘩腰で発言される方もいてそういった態度が政治の世界から人を遠ざけるんだよな…でもそれが目的だから困るよな…と思ってしまいました。
結論から言うと濃度の方が大事
この話そのものは「濃度の方が大事」なのです。
要するに生物にとっては放射性核種(ヨウ素129、トリチウム、セシウムなど)の曝露濃度が福島沖の海産物体内に蓄積する量に対応するためです。
この辺りは放射線医学や核物理学ではなく毒性学の領域で、放射性物質だからどう、というものでもないです。
さらに言うと分子別の蓄積量の中からさらに放射性核種と非放射性核種の比によって最終的な放射性核種の蓄積量が決まるのでそこまで考慮した上でベクレル数を計算しないといけないのです。
「総量」は海底泥に放射性核種が沈着する場合には考慮しなければならず、原発周辺の表層土が川から海に流れて堆積した分にはそうなのですがこれは地下水、特にALPS処理水とは関係ないものです。
ALPS処理ができていない地下水も地下水全体の約15%ありますが、これら流失土や非処理地下水の影響は線量モニタリングを行って常時確認されています。
そもそもこのイベントはなぜ行われたのか
さて、イベントの終盤でちだい氏は
「そもそもこのイベントはなぜ行われる必要があったのか?答えは福島第一原発はメルトダウンしていたのに、菊池氏はメルトダウンしていないと言ったから」
という趣旨で述べていました。
これについては3/12の発災時リアルタイムでのツイートであり、現場にいない以上正確なことは言えないから問題にすべきではないだろうと私は考えていたのですが、実際3/15には菊池氏自身も「この事象もメルトダウンと言う人がいるのだ」という認識に至ったとのことです。
これについては現在進行中の詳細が不明な事象に対しての言及は正確にはならないというのが私の考えで、そこをいつまでも擦るのもどうかと思ってしまいます。
それよりもむしろ、イベントの最後にちだい氏や友人の方が「俺たちが測定してきたデータをデマ扱いした!」と言っていたことの方が印象的で、つまり「自分たちがやってきたことを否定してくる!」ということが本筋なんじゃないかと思うのです。
これは菊池氏は「測り方が正しくないから」と言っていたのですが、より正確には「測り方の正確性を担保できるように情報発信をしていないから」だと私は考えています。
私は一般計量士の資格を持っている&前職で品質保証の仕事をしていたので言わせてもらうと、正しいやり方で計測しないといけないのは事実です。
その上で第三者の監査を受けて「これは正しいやり方で計測している」ということを担保しないと納得しない人は当然出てきます。
だから学術サイドの人間を呼んで、「この方法が正しいか」「正しい方法は何か」を聞けば良かったのです。
探せば権威のあるなしに関わらず測定方法に詳しい専門家はいたはずです。
その人に「ちだい氏のチームはこのように正しいやり方で測定を行っているので出すデータも正しい」というお墨付きをもらうべきだったと思います。
これは「政治的権威を笠に着る」ではなく「測定方法のプロセス保証」で、政治的立場とは関係ないものです。
実際菊池氏はガイガーカウンターミーティング等周知活動にも参画していましたので、ここに顔を出しておくだけでこの問題は解決したかも知れません。
政治系の方なら「顔を出しておく」ことの重要性も理解されているでしょうし、正しい方法を持ち帰ってデータを出せればそれで良かったわけです。
おそらくそのデータが不正確なせいで風評加害者扱いされた恨みがずっと蓄積していて今に至っているんじゃないかと私は思ってしまいます。
なので菊池氏に向かって「『メルトダウンじゃないだす』じゃなかっただす」みたいな寒いいじり方で締めようとするなんて醜悪だなぁという印象を受けてしまいました。
対話がいかに難しいか
会場で見ていて思ったのは、「政治部門の人と科学部門の人の対話って難しい」ということなのです。
質疑で質問された方が「絶対に被曝影響は無いと言い切れますか?」と菊池氏に聞いていたのに大して「分かっている範囲だと無い」と述べていたのですが、これは科学部門の人の当然の作法なんです。
なぜなら「絶対」という言葉の表すところが違うのです。
科学部門の人は完全にそうなり得ないということ以外で「絶対」とは言えないように訓練されているのです。
でも政治部門の人は「絶対」って言って欲しいんですよ。
そうならないという意思を求めているので。
こうして対談イベントに出ているだけの科学者は当事者じゃないし、自然現象に意思は存在しないからそれは無理なんですけどね。
最後の方は観客の方の喧嘩腰の怒声であわや殴り合いかみたいな雰囲気になってしまい、対話の難しさというのが出てしまったイベントだと思いました。
やっぱり政治の話題ってこうなってしまうんでしょうか?
それでは社会的合意なんかできないんですけど…。
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