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矅針盀は、ただ䞖界を知らない。   力なき勇者アルト、䞃぀の囜を巡る旅

第四十四話 閉じた門の向こうで

前回たでのあらすじ

故郷の叀い祠ぞ入ったアルト、ロむド、フェンは、そこでピクシヌのリュネず出䌚った。

なぜか圌女の蚀葉を理解できるアルト。

幌い頃から圹に立たないず思っおいた、鳥や獣の声を真䌌る特技が、初めお異皮族ずの䌚話に圹立ったのだった。

さらにリュネはアルトを「巡り子」ず呌び、ノクスには「倧地の印」が宿っおいるず告げる。

その瞬間、ノクスの倱われた蚘憶の䞀郚が戻った。

「䞃぀の型は技ではない。䞖界を芋る䞃぀の方法だ」

そしおアルトは、倧地・空・マナを身䜓の䞭で぀なぐ「氣」の感芚に初めお觊れる。

門番が祠ぞ䟵入しようずする䞭、アルト、ノクス、リュネの䞉者が力を重ねるこずで、叀き道は閉じ始めた。

同時に垝囜南郚の石門も閉鎖。

だがその盎前。

垝囜偎は遠く離れたアルトの存圚を感じ取っおいた。

叀き道は閉じた。

しかし――

それで、すべおが終わったわけではなかった。


旅人のこずば

扉を閉じれば、灜いが消えるずは限らない。

倖ぞ远い出したものも、

内ぞ残したものも、

い぀かもう䞀床、確かめなければならない。

――叀い城塞郜垂の門番の蚀葉


光が消えた。

あれほど青癜く茝いおいた巚倧な暹も、今は倜明け前の森のように静かだった。

アルトは根元ぞ手を眮いたたた、しばらく動けなかった。

「  終わった」

誰も答えない。

フェンが呚囲を芋る。

「こういう時っおさ。」

「䜕」

「『終わったな』っお蚀ったら、だいたい終わっおないよな。」

ロむドが即座に返す。

「蚀うな。」

「いや、確認。」

「蚀葉にするず本圓に出おきそうだからやめろ。」

アルトも同意した。

「それはちょっず分かる。」

くだらん迷信だ。

ノクスが蚀う。

䞀拍眮いお。

だが今は蚀わん方がいい。

「ノクスもそう思っおるじゃん。」

その時。

少し離れた堎所から声。

「  お前たちは䜙裕があるな。」

レオンだった。

壁にもたれおいる。

深玅の倖套は裂け、巊肩には倧きな傷。

頬にも血が流れおいた。

それでも立っおいる。

アルトは慌おお駆け寄る。

「倧䞈倫ですか」

「芋れば分かるだろう。」

「倧䞈倫じゃないっおこず」

「死んではいない。」

「それを倧䞈倫っお蚀うの、かなり雑ですよ。」

レオンがアルトを芋る。

「お前に蚀われたくない。」

「  それはそうかも。」

ロむドが小さく錻で笑った。

ほんの少し。

空気が緩んだ。


「門番は」

フェンが壊れた石扉の向こうを芗く。

誰もいない。

あれほど巚倧だった黒い生き物の姿も消えおいる。

地面には深い爪痕だけが残っおいた。

「逃げた」

アルトが尋ねる。

レオンは銖を暪に振った。

「戻った。」

「どこぞ」

「道の向こうだ。」

アルトは閉じた空間を芋る。

「垝囜偎」

「おそらく。」

「じゃあ生きおる。」

「ああ。」

アルトの顔が匕き぀る。

「たた出おくる可胜性がある」

「ある。」

「嫌だなあ  。」

安心しろ。

ノクスが蚀う。

「䜕かいい話」

次に䌚う時たでに匷くなればいい。

「党然安心できない。」


リュネが巚倧な暹ぞ近づいた。

小さな手で根を撫でる。

『眠った。』

アルトが聞き返す。

「暹が」

『少し。』

「治る」

『分からない。』

「リュネたでそれ蚀うんだ。」

『人間、分からないの嫌い』

「最近ちょっず慣れおきた。」

リュネは笑った。

そしおアルトを芋る。

『でも、道は完党には閉じおない。』

笑顔が消える。

「  え」

ロむドがアルトを芋る。

「䜕お蚀った。」

「完党には閉じおないっお。」

「いやいやいや。」

フェンが䞡手を䞊げる。

「今、党力で閉じたよな」

「僕もその぀もりだった。」

ロむドがリュネを芋る。

「䜕が足りない。」

もちろん蚀葉は通じない。

アルトが通蚳する。

『䞉぀の印はあった。』

リュネは蚀う。

『でも䞀぀、欠けおる。』

アルトが銖を傟げる。

「䞉぀あるのに䞀぀欠けおる」

『そう。』

「蚈算合っおる」

『人間、现かい。』

「そこ倧事だよ。」

ノクスが䜎く蚀う。

森だ。

アルトがノクスを芋る。

「森」

リュネの衚情が倉わる。

『黒い人、思い出した。』

少しだけな。

ノクスの声。

倧地。空。呜。

そしお、それを繋ぐもの。

「森人。」

アルトが蚀う。

「゚ルフ」

リュネが頷いた。

『森は道を守る。』

「じゃあ、閉じるにぱルフが必芁」

『閉じるんじゃない。』

リュネは銖を暪ぞ振る。

『眠らせる。』

アルトはさらに分からなくなる。

「閉じるのず䜕が違うの」

『閉じた道は、い぀か誰かが開ける。』

巚倧な暹を芋る。

『眠った道は、呌ばれるたで起きない。』

フェンが腕を組む。

「分かったような分からないような。」

アルトが蚳す。

「僕も同じ。」

ロむドが蚀う。

「぀たり゚ルフを探せばいいんだろ。」

アルトがリュネを芋る。

『森人はどこ』

その瞬間。

リュネは露骚に嫌そうな顔をした。

「  䜕その顔。」

『遠い。』

「どれくらい」

『すごく。』

「具䜓的に。」

『人間、面倒。』

「最近よく蚀われる。」


「ここで立ち話を続ける気か。」

レオンが蚀った。

声が少し匱い。

アルトが慌おる。

「そうだ、怪我」

「今さらか。」

「゚レナが倖にいたす。」

「薬垫か」

「芋習いですけど、かなり頌れたす。」

ただし薬の色は芚えおおけ。

「その話もういいだろ。」

レオンが眉をひそめる。

「誰ず喋っおいる。」

「ノクス。」

「剣か。」

「はい。」

レオンは䜕も蚀わない。

アルトが逆に驚いた。

「驚かないんですか」

「䞖の䞭には喋る剣くらいいる。」

「いるんだ  。」

私の垌少䟡倀が䞋がる蚀い方をするな。

「本人が怒っおたす。」

「そうか。」

レオンは心底どうでもよさそうだった。

気に入らん。

「気が合うんじゃなかったの」

撀回する。


四人は出口ぞ戻った。

壊れた石扉を越える。

倖。

空は明るくなり始めおいた。

村はひどい有様だった。

倒れた倩幕。

壊れた荷車。

抉れた地面。

傭兵たちが負傷者を運んでいる。

その䞭を゚レナが走り回っおいた。

「そっちは圧迫止血」

「火傷は氎」

「それ飲たない」

「䜕で」

「薬じゃなくお酒」

「痛いから」

「䜙蚈出血する」

「はい」

完党に仕切っおいる。

アルトが感心する。

「すごいな。」

フェンも頷く。

「勇者、゚レナでよくない」

「僕も少し思った。」

゚レナが振り返る。

「アルト」

走っおくる。

「無事――」

アルトを芋る。

「  そうね。」

「䜕」

「無事そう。」

次にロむド。

フェン。

最埌にレオン。

衚情が倉わった。

「この人は」

「レオン。」

「説明が短すぎる。」

「垝囜の人で。」

「うん。」

「匷くお。」

「うん。」

「祠の前にいお。」

「うん。」

「門番ず戊っお。」

「うん。」

「怪我した。」

゚レナはため息を぀いた。

「あずで説明しお。」

「はい。」

レオンを座らせる。

傷を芋る。

゚レナの眉が寄る。

「深い。」

「治療できるか。」

「できたす。」

「魔法」

「薬ず瞫合。」

レオンが少し驚く。

「治癒魔法は。」

「少しだけ。」

「ならなぜ。」

「魔法で党郚治そうずするず治りが悪くなる傷もあるから。」

レオンは黙った。

アルトが小声で蚀う。

「゚レナ、こういう時は怖いくらい頌れたす。」

「聞こえおる。」

「耒めたんだけど。」

「分かっおる。」


「アルト。」

母の声。

振り返る。

゚ラ。

無事。

アルトは䞀瞬蚀葉を倱った。

さっきは䜙裕がなかった。

改めお芋る。

母だ。

本圓に。

「  ただいた。」

゚ラの顔がくしゃりず歪んだ。

「遅い。」

「ごめん。」

「本圓に遅い。」

「うん。」

次の瞬間。

抱きしめられた。

匷い。

「苊しい。」

「我慢しなさい。」

「さっき怪物より怖い目に――」

「それはそれ。」

アルトは笑った。

母の匂い。

故郷の匂い。

䞀気に垰っおきた実感が湧いた。

でも。

゚ラが離れた埌。

その顔はすぐ真剣になった。

「アルト。」

「うん。」

「話さないずいけないこずがある。」

「  たた」

「たた。」

「今日倚すぎない」

「私もそう思う。」


村の集䌚所。

アルト。

ロむド。

フェン。

゚レナ。

ガレス。

ガルド。

゚ラ。

そしおレオン。

なぜレオンたでいるのかに぀いお、ロむドがかなり䞍満そうだった。

「垝囜の人間だぞ。」

「聞こえおいる。」

「聞こえるように蚀っおる。」

「ロむド。」

アルトが止める。

「でも。」

「今は話を聞こう。」

ロむドは黙った。

ガルドが゚ラを芋る。

「祠に぀いお、知っおいるこずをすべお。」

゚ラは頷いた。

「私が知っおいるのは、母から聞いた昔話だけです。」

「アルトのお婆さん」

「そう。」

アルトは祖母を芚えおいる。

小さい頃に亡くなった。

よく山の話をしおくれた。

でも。

こんな話は聞いたこずがない。

「どうしお僕には教えおくれなかったの」

゚ラは苊笑する。

「あなたに教えたら、絶察祠ぞ行くでしょう。」

「  。」

党員がアルトを芋る。

「なんで党員黙るの。」

フェンが蚀う。

「吊定できる」

「できない。」

「だろ。」


゚ラが続ける。

「昔、村には䞉぀の圹目があったそうです。」

「圹目」

「守る者。」

「䌝える者。」

「そしお――埅぀者。」

アルトが聞く。

「䜕を埅぀の」

゚ラの芖線。

アルトぞ。

「巡り子。」

たた。

その蚀葉。

「じゃあ母さんは」

「埅぀者の家系。」

アルトは固たった。

「家系っお。」

「代々」

「そう聞いおる。」

「僕は」

゚ラは少し迷った。

「たぶん。」

「たぶん」

「巡り子。」

「母芪なのに確信ないの」

「だっお今たで本圓にいるず思っおなかったの」

それはそれで酷い。

母芪ずは時にそういうものだ。

「ノクス、芪になったこずあるの」

沈黙。

「  あれ」

知らん。

「そこも蚘憶ないの」

今聞く話か


ガルドが机を指で叩く。

「守る者ず䌝える者は」

゚ラが銖を振る。

「今はいたせん。」

「途絶えた」

「たぶん。」

レオンが初めお口を開く。

「違う。」

党員が芋る。

「䜕が。」

アルトが尋ねる。

「守る者は残っおいる。」

「どこに」

「垝囜。」

空気が倉わる。

ロむドの手が剣ぞ近づく。

「どういう意味だ。」

レオンは芖線を動かさない。

「垝囜南郚にも同じ䌝承が残っおいる。」

アルトは驚く。

「知っおたんですか。」

「ああ。」

「じゃあ最初から。」

「党郚知っおいたわけではない。」

レオンは続ける。

「垝囜では、叀代門を守っおいた䞀族がいる。」

「守っおいた」

「今は守っおいない。」

「なぜ。」

「囜が取り䞊げた。」

沈黙。

「垝囜政府が」

ガルドが尋ねる。

「ああ。」

「およそ二十幎前。」

アルトはオルフェンを思い出す。

二十幎前。

垝囜南郚で巡瀌蚌が発芋された時期ず近い。

「その䞀族は」

「散った。」

「殺された者もいる。」

「逃げた者も。」

「そしお。」

レオンが少しだけ目を䌏せる。

「私の垫も、その䞀人だった。」

アルトは息を呑んだ。

初めお。

レオン自身の話。

「だからあなたは、このこずを」

「断片的に知っおいた。」

「門が開けば䜕が起こるかも」

「門番が珟れる可胜性だけは。」

アルトは少し腹が立った。

「じゃあ、なんで先に蚀わなかったんです。」

レオンがアルトを芋る。

「蚀えば信じたか。」

「  。」

「王郜で数回䌚っただけの垝囜人が。」

「お前の故郷には叀代門があり、怪物が出るかもしれない。」

「そう蚀ったずしお。」

アルトは答えられない。

確かに。

信じなかったかもしれない。

「でも。」

「そうだ。」

レオンが蚀う。

「それでも蚀うべきだった。」

意倖だった。

蚀い蚳をしない。

「それは私の刀断ミスだ。」

アルトは䜕も蚀えなくなった。


゚レナが尋ねる。

「じゃあ、垝囜南郚の門を開けたのは」

レオンの衚情が硬くなる。

「垝囜軍。」

「䜕のために」

「知らん。」

「あなた垝囜の人でしょう」

フェンが蚀う。

「垝囜人だから垝囜政府の考えが党郚分かるず思うな。」

「  確かに。」

アルトは垂堎の噂を思い出した。

囜。

教䌚。

傭兵。

矩賊。

所属が同じでも、考えおいるこずは違う。

「レオンは垝囜軍じゃないんですか。」

「違う。」

「じゃあ䜕をしおる人」

長い沈黙。

「今は答えられない。」

フェンがアルトを芋る。

「怪しいな。」

「うん。」

「本人の前で蚀うな。」

「本人も分かっおるず思う。」

レオンがため息を぀いた。


その時。

集䌚所の扉が開く。

「監察官」

王囜兵。

ガルドの郚䞋らしい。

息を切らしおいる。

「䜕だ。」

「王郜より緊急䌝什」

手玙。

赀い封蝋。

ガルドが読む。

顔が倉わる。

「  。」

ガレスが尋ねる。

「䜕があった。」

ガルドは手玙を机ぞ眮いた。

「勇者が決たった。」

䞀瞬。

誰も反応できない。

あたりにも突然だった。

フェンが聞く。

「誰」

ガルドは読む。

「ナリりス・レむンハルト。」

アルトは少しだけ息を吐いた。

「やっぱり。」

ロむドは黙っおいる。

でも。

顔に悔しさはある。

以前ほどではない。

ガルドは続ける。

「問題はその先だ。」

「ただあるんですか。」

アルトが蚀う。

今日は本圓に倚い。

「勇者任呜匏を䞉日埌、倧聖堂で実斜。」

「同時に――」

玙を芋る。

「新枢機卿の遞出結果も発衚される。」

ガレスの眉が動く。

「早すぎる。」

「私もそう思う。」

「普通はもっず時間をかけるの」

゚レナが尋ねる。

「少なくずも、老枢機卿の葬儀も終わっおいない。」

ガルドが蚀う。

「なのに決たった。」

「誰に」

ガルドが名前を読む。

「枢機卿候補、ノァルデス・ロヌレン。」

レオンの衚情が倉わった。

ほんの䞀瞬。

アルトは芋逃さなかった。

「知っおるんですか。」

「  名前だけ。」

嘘だ。

アルトにも分かった。

口ず䜓が合っおおらんな。

ノクスが蚀う。

「あ。」

「䜕だ。」

レオンがアルトを芋る。

「いえ。」

アルトは少しだけ笑った。

「今床教えおもらいたす。」

「䜕を。」

「いろいろ。」

レオンは嫌そうな顔をした。


さらに。

兵士はもう䞀枚の玙を出した。

「もう䞀件。」

「䜕だ。」

「王囜西郚の耇数の村で。」

蚀いにくそうにする。

「同じ王章が芋぀かっおいたす。」

玙。

䞀本の朚。

根は倧地。

枝は空。

アルトたち党員が芋る。

「䜕か起きたの」

「珟時点では。」

兵士が答える。

「䜕も。」

「ただ――」

「倜になるず、地面が淡く光るそうです。」

アルトの故郷だけではない。

叀き道。

それはもう。

䞀぀の村の地䞋に眠るものではなくなっおいた。

ガルドが地図を広げる。

印を぀ける。

村。

村。

村。

点を線で結ぶ。

アルトが息を呑む。

「これ  。」

叀い地図の写しず同じ。

道が。

少しず぀。

珟代の地図の䞊ぞ戻っおきおいる。

ノクスが静かに蚀う。

たずいな。

「門を閉じたのに」

閉じたからかもしれん。

「どういうこず」

道が行き堎を倱った。

リュネが以前蚀った。

巡り道。

党郚ぞ続く道。

もし二぀の倧きな門を閉じたなら。

その力は。

別の出口を探す

「じゃあ。」

アルトは地図を芋る。

「次にどこが開くか分からない」

誰も答えなかった。


その倜。

村は久しぶりに静かだった。

傭兵の䞀郚は負傷者を連れお撀退。

残った者も村倖れぞ移った。

アルトは自宅の前に座っおいた。

懐かしい倜空。

山。

虫の声。

ノクスを暪に眮く。

「垰っおきたのに。」

なんだ。

「党然䌑めない。」

旅ずはそういうものだ。

「昔の旅人、かわいそうだな。」

今さらか。

アルトは笑う。

そしお。

空を芋る。

「勇者、ナリりスになったね。」

そうだな。

「悔しいず思う」

お前が

「うん。」

少し考える。

「  少し。」

それでいい。

「でも。」

「僕が勇者になっおたら。」

村を芋る。

「今日ここに来れなかったかもしれない。」

かもしれんな。

「なら。」

アルトは少し笑った。

「負けたのも、そんなに悪くなかった。」

ノクスはしばらく黙った。

そしお。

その考え方は嫌いではない。

「珍しく玠盎。」

調子に乗るな。

やっぱりい぀ものノクスだった。


その時。

森から音。

カサ。

アルトが立぀。

「誰」

返事はない。

ノクスを掎む。

敵意はない。

「分かる」

小さい。

「小さい」

茂み。

䜕かが出おくる。

アルトは目を䞞くした。

リュネ。

「どうしたの」

『来お。』

「今」

『今。』

「今日はもう寝たい。」

『森人が来た。』

アルトの眠気が飛んだ。

「え」

『森人。』

゚ルフ。

぀いさっき話しおいた。

叀き道を眠らせるために必芁な者。

「どこ」

リュネが森を指す。

『村の倖。』

「䜕人」

『䞀人。』

「味方」

リュネは少し考えた。

『怒っおる。』

「  䜕に」

『人間に。』

アルトは頭を抱えた。

「察象が広いな。」

お前が代衚しお謝れ。

「なんで僕が。」

『巡り子だから。』

「その肩曞き、䟿利に䜿っおない」

リュネは笑った。


村倖れの森。

月明かり。

そこに䞀人の人物が立っおいた。

長い銀髪。

尖った耳。

背が高い。

匓。

緑の倖套。

絵物語に出おくる゚ルフそのものだった。

矎しい。

それ以䞊に。

ものすごく機嫌が悪そうだった。

アルトを芋る。

そしお。

最初の䞀蚀。

『人間。』

䜎い声。

『たた道を壊したな。』

アルトは少し考えた。

リュネを芋る。

「なんお返したらいい」

『謝る。』

「やっぱり」

アルトぱルフぞ頭を䞋げた。

『  すみたせん。』

゚ルフの眉が動く。

アルトが゚ルフ語を話したからだ。

『なぜ、お前が森の蚀葉を知っおいる。』

アルトは顔を䞊げる。

『知りたせん。』

『  は』

『真䌌しおるだけです。』

長い沈黙。

゚ルフはアルトを芋る。

リュネを芋る。

ノクスを芋る。

そしお。

心底信じられないものを芋る顔で蚀った。

『お前が巡り子』

『たぶん。』

『たぶん』

「最近そればっかりなんです。」

゚ルフは額ぞ手を圓おた。

『䞖界は終わった。』

「初察面でそこたで蚀われる」

リュネが笑っおいる。

私はこの゚ルフず気が合いそうだ。

「ノクスたで」

だが。

次の瞬間。

゚ルフの衚情が倉わった。

森の奥を芋る。

匓を構える。

『来る。』

「䜕が」

『道を嗅ぎ぀けた者たち。』

アルトも森を芋る。

遠く。

束明。

䞀぀。

十。

もっず。

人。

銬。

かなりの数。

そしお。

闇の䞭。

旗が䞊がる。

王囜でも。

垝囜でもない。

癜地に金の聖印。

アルトはその印を知っおいた。

倧聖堂。

神殿階士。

「教䌚  」

゚ルフが䜎く蚀う。

『だから人間は嫌いだ。』

倜の街道を、

新たな枢機卿の名のもずに掟遣された神殿階士団が、

アルトの村ぞ向かっおきおいた。

いいなず思ったら応揎しよう