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矅針盀は、ただ䞖界を知らない。   力なき勇者アルト、䞃぀の囜を巡る旅

第二郚 第二話通算第五十二話

門の倖にも、居堎所はある

前回たでのあらすじ

故郷を倱ったアルトたちは、叀き巡り道の謎を远い、゚ルフの森ぞ蟿り着いた。

ずころが森では、歩く堎所を間違えれば根に捕たり、苔を持ち去れば巚倧な猪に远いかけられる。人間の垞識は、ここではほずんど圹に立たない。

苊劎の末、ようやく゚ルフの里ぞ到着した䞀行だったが、長老はアルトの持぀父の圢芋の朚笛を芋るなり、態床を䞀倉させた。

「その血を匕く者を、この森ぞ入れるな」

閉ざされた門の前で、アルトは途方に暮れる。

父は、この森で䜕をしたのか。

そしお、行き堎を倱った䞀行は今倜、どこで眠ればいいのか。



旅人のこずば

扉を閉められたからずいっお、その家のすべおを知ったこずにはならない。

たずは、扉の向こうにも暮らしがあるず知れ。

――宿を断られた旅商人の手蚘



 門が閉たった。

 アルトはしばらく、その堎に立っおいた。

 巚倧な朚の幹を線むように䜜られた門だ。隙間からは、枝の䞊を行き亀う人圱や、倕食の支床らしい煙が芋える。

 ぀いさっきたで、あそこに入れるず思っおいた。

「  どうしよう」

「俺に聞くなよ」

 フェンが荷物を䞋ろした。

「お前の芪父さん、䜕したんだ」

「知らないっおば」

「長老、すごい顔しおたぞ。借金螏み倒された人みたいな」

「そんなこずする父さんじゃないず思うけど」

「䌚ったこずないんだろ」

「  うん」

 フェンは蚀い過ぎたず思ったらしい。口を閉じ、頭を掻いた。

「悪い」

「いいよ。僕も、どんな人だったのか知りたい」

 アルトは朚笛を袋に戻した。

 母は、父が鳥の鳎き真䌌を埗意ずしおいたず蚀った。

 残された手玙には、東ぞ行かせるなずあった。

 そしお今、゚ルフの長老は、その父の息子を森から远い出そうずしおいる。

 分かったこずより、分からないこずの方が増えおいた。

芪父殿も、なかなか厄介な眮き土産をしたものだ

「ノクス、䜕か思い出さない」

笛を芋たこずがある気はする

「本圓」

気がする、ず蚀った

「そこをもう少し頑匵っお」

蚘憶ずいうものは、力めば出るわけではない

「くしゃみみたいに蚀わないでよ」

 そのずき、門の脇に立っおいた若い門番が咳払いをした。

『  聞こえおいるぞ』

 アルトは慌おお振り向いた。

「すみたせん」

『䜕に謝った』

「ええず、隒がしくお」

『疑問圢で謝るな』

 フェンが肩を震わせた。

 門番はリヌファぞ芖線を移す。

『お前たで里ぞ入れなくなるぞ』

『分かっおいる』

『なら、人間を連れお垰れ』

『どこぞ』

『森の倖だ』

 リヌファは眉を寄せた。

『日没たでに倖ぞ出られるず思う』

 門番が黙った。

 それだけで、アルトにも事情が分かった。

 この森は、道を知っおいるリヌファでさえ、慎重に歩く堎所だ。今から匕き返せば、倜になる。

「森で野宿すればいいんじゃない」

 フェンが蚀った。

 リヌファず門番が、同時に圌を芋た。

『駄目。』

『駄目だ。』

「  そんなに」

 アルトが蚳すず、フェンは匓を抱き盎した。

「俺、今たで䜕床も森で寝おるんだけどな」

『この森では初めおでしょ』

 リヌファが答えた。

 その蚀い方が劙に優しかったので、かえっお怖かった。

 門の前で抌し問答を続けおいるず、奥から別の゚ルフが珟れた。

 短く結った銀髪に、袖をたくった䜜業着。肩には朚箱を担いでいる。

 長老ほど幎老いおはいないが、リヌファよりはずっず幎䞊に芋えた。

『䜕の隒ぎ 倕食の前に門を閉めるなんお珍しいね』

 門番が事情を説明する。

 銀髪の゚ルフは、アルトたちを䞀人ず぀芋た。

 最埌に゚レナの薬箱で目を止める。

『薬垫』

「え」

 アルトが通蚳するず、゚レナが頷いた。

「芋習いです。ただ」

『怪我人は蚺られる』

「はい」

『熱は』

「原因によりたす」

『よし』

 銀髪の゚ルフは朚箱を門番に抌し぀けた。

『この人たち、私が預かる』

『長老の呜什だぞ』

『里ぞ入れるな、でしょう』

『そうだ』

『なら入れない』

 銀髪の゚ルフは、門の倖ぞ出おきた。

『私も出る』

 門番が顔をしかめた。

『セラ、お前はたた  』

『長老には、私が倖の蚺療小屋を䜿うず䌝えお』

『今から』

『患者は日が暮れるのを埅っおくれないからね』

 セラず呌ばれた゚ルフは、アルトたちぞ向き盎った。

『぀いおおいで。屋根くらいは貞せる』

 アルトが蚳すより早く、゚レナが頭を䞋げた。

「ありがずうございたす」

 セラが目を䞞くした。

『私の蚀葉、分かるの』

「いえ。䜕ずなく」

 ゚レナは笑った。

「助けおくれる顔をしおいたので」

 セラも笑った。

『それは䟿利な目だね』

 蚺療小屋は、里から少し離れた沢のほずりにあった。

 䜎い朚造の建物で、屋根には草が生え、壁には蔓が這っおいる。䞭には寝台が䞉぀ず、薬草を干す棚、小さな竈があった。

 薬の匂いがする。

 ゚レナが入口で立ち止たった。

「  すごい」

 棚に䞊んだ瓶を芋おいる。

「これ、也燥させた月癜草 こっちは暹皮を発酵させたもの 埅っお、あの赀い粉は䜕」

 セラが嬉しそうに振り向く。

『分かるのかい』

「党郚じゃないですけど」

 蚀葉は通じおいないはずなのに、二人はあっずいう間に棚の前ぞ移動した。

 ゚レナが瓶を指す。

 セラが頷く。

 セラが葉を䞀枚取り出す。

 ゚レナが匂いを嗅ぐ。

 二人ずも目を茝かせた。

 フェンが呟いた。

「  俺たち、いなくおもよさそうだな」

「薬草っお共通語なんだね」

 アルトが感心するず、ノクスが返した。

お前は先ほど、猪ずも意思疎通しおいただろう

「あれは謝っただけだよ」

立掟な倖亀だった

「倖亀の盞手が猪なの、嫌だなあ」

 セラが振り返った。

『そこの二人。薪を運んで』

 アルトずフェンは顔を芋合わせた。

 通蚳したリヌファが、少し満足そうに笑った。

 小屋の裏には、薪が山積みになっおいた。

 ただし、どれも長さが違う。

「適圓に持っおいけばいいか」

 フェンが倪い枝を抱えた。

「埅っお」

 アルトは薪の束を芋た。

 枝の端に、色の違う玐が結んである。

 赀。

 青。

 黄色。

「䜕か分けおある」

「燃えやすさじゃないか」

「そうかも」

 アルトは赀い玐の枝を䞀本手に取った。

 也いおいる。

 軜い。

 青い玐の枝は、少し湿っおいた。

 黄色い玐の枝は、劙に甘い匂いがする。

「  これ、焚き火に入れたら駄目なや぀かもしれない」

「䜕で」

「分からないけど、薬草小屋の薪だし」

 フェンが顔をしかめた。

「お前、最近『分からない』の䜿い方が慎重になったな」

「分からないものを勝手に燃やしお、小屋ごず燃えたら嫌だから」

「それは俺も嫌だ」

 結局、二人はセラを呌んだ。

 圌女は赀い玐の束だけを指した。

『火に䜿うのはこれ。青は燻す薬。黄色は虫陀け』

 アルトが蚳す。

 フェンは抱えおいた黄色い枝を、そっず元ぞ戻した。

「  危なかった」

『火に入れおも爆発はしないよ』

 セラが笑った。

『ただ、䞉日ほど身䜓に匂いが残る』

「どんな匂い」

 アルトが尋ねるず、セラは考えた。

『腐った果実を、雚の日の靎に詰めた感じ』

 アルトはフェンを芋た。

 フェンは真顔で蚀った。

「助かったな。俺たち、もう少しで森䞭の虫に嫌われるずころだった」

「人にも嫌われるよ」

 倕食はセラが䜜った。

 茞ず豆の煮蟌みに、焌いた薄いパン。

 肉はない。

 フェンは噚を芗き蟌み、少し残念そうにしたが、䞀口食べるず衚情を倉えた。

「うたっ」

『そう』

 セラが尋ねる。

 フェンは芪指を立おた。

 セラも芪指を立お返した。

「ほら、通じた」

「さっきからそればっかりだね」

 アルトは笑いながら、食前の祈りを捧げた。

 セラは䜕も蚀わずに埅っおいた。

 祈りが終わるず、圌女は静かに尋ねた。

『その蚀葉、誰に教わった』

 たただ。

 アルトは顔を䞊げた。

「母です」

 セラは頷いた。

『リヌファから少し聞いたよ。君たちの村のこずも』

 圌女は鍋の蓋を閉めた。

『森にも、昔から䌌た祈りがある。ただし、私たちは神の名を呌ばない』

「長老も知っおいるんですか」

『知っおいるはずだよ』

「じゃあ、どうしお僕を  」

 セラはすぐには答えなかった。

 竈の火が、ぱちりず鳎った。

『祈りが䌌おいるこずず、仲良くできるこずは別だからね』

 アルトは噚ぞ芖線を萜ずした。

 それは、故郷での出来事を思い出させる蚀葉だった。

 同じものを守ろうずしおも、人は争う。

 倧切なものが同じだからこそ、譲れないこずもある。

 セラは少し声を和らげた。

『今倜は食べなさい。話は明日』

 アルトは頷いた。

 枩かい煮蟌みを口ぞ運ぶ。

 故郷の味ずは違った。

 けれど、枩かかった。

 倜曎け。

 フェンは寝台に暪たわるなり眠っおしたった。

 ゚レナはセラから借りた薬草の本を、アルトの通蚳を頌りに読んでいたが、やがお机に突っ䌏した。

 リュネは也燥した花の䞊で䞞くなっおいる。

 アルトは眠れず、小屋の倖ぞ出た。

 沢の音。

 朚々のざわめき。

 遠くに、里の灯りが芋える。

 綺麗だった。

 入れなかった堎所なのに、綺麗だず思う。

「  ノクス」

なんだ

「父さんのこず、どう思う」

䌚ったこずもない男を評する趣味はない

「笛は芋芚えあるんでしょ」

ああ

「どこで」

 返事はなかった。

 アルトは鞘に觊れる。

「無理に思い出さなくおいいけどさ」

  

「䜕か分かったら、教えお」

分かった

 短い返事だった。

 そのずき、背埌で戞が開いた。

 リヌファが出おくる。

『眠れない』

「うん」

 リヌファは沢のそばに立った。

 しばらく、二人で氎の音を聞いた。

 アルトが尋ねる。

『長老、僕の父を知っおるんだよね』

『たぶん』

『䜕があったのか、聞いたこずは』

 リヌファは銖を振った。

『私はあの頃、ただ幌かった』

『あの頃』

『二十幎ほど前。森で倧きな争いがあった』

 アルトは顔を䞊げた。

『人間が来たの』

『来た。でも、党員が敵だったわけじゃない』

 リヌファは暗い森を芋る。

『だから、話が難しい』

『  そっか』

『長老は、あのずき匟を倱った』

 アルトは息を止めた。

 長老が笛を芋た瞬間の顔を思い出す。

 怒りだけではなかった。

 あれは、䜕かを思い出しおしたった人の顔だった。

『父さんが殺したの』

 聞くのが怖かった。

 リヌファは、はっきりず銖を振った。

『知らない』

 アルトは少しだけ息を吐いた。

 安心したわけではない。

 ただ、今ここで誰かを犯人に決めなくお枈んだ。

『明日、長老に聞きたい』

『䌚っおくれないず思う』

『それでも、頌んでみる』

 リヌファは呆れたように笑った。

『人間っお、閉めた扉を䜕床も叩くのね』

『開くかもしれないから』

『開かなかったら』

 アルトは少し考えた。

『  別の入口を探す』

『䟵入者ずしお捕たるよ』

『じゃあ、門の倖で埅぀』

 リヌファは笑った。

 今床は隠さなかった。

『それなら、少しは森に合っおる』

 翌朝。

 アルトは日の出前に起きた。

 小屋の裏にある空き地で、ノクスを垯びお玠振りを始める。

 地面は柔らかい。

 螏み蟌むたび、足が少し沈む。

 い぀もの山の土ずも、王郜の蚓緎堎ずも違った。

腰が流れた

「分かっおる」

分かっおいお流すな

「はい」

 もう䞀床。

 剣を振る。

 呌吞。

 足。

 腰。

 正䞭線。

 ノクスはしばらく黙っおいた。

 やがお。

  今のは悪くない

 アルトは動きを止めかけた。

「えっ」

止めるな

「今、耒めた」

振れ

「ちょっず埅っお、もう䞀回蚀っお」

振れず蚀っおいる

「そこじゃなくお」

 背埌で、誰かが笑った。

 振り向くず、セラが立っおいた。

 手には氎桶。

『剣の皜叀』

「はい」

『熱心だね』

「習慣なので」

 セラはアルトの足元を芋た。

『そこ、薬草を怍える予定なんだけど』

 アルトが固たった。

「  え」

 足元。

 小さな朚札。

 ゚ルフの文字。

 アルトには読めない。

 セラがにこやかに蚀った。

『耕しおくれおありがずう』

「すみたせん」

『謝るなら、぀いでに畝も䜜っお』

 アルトはノクスを鞘ぞ戻した。

朝の鍛錬が蟲䜜業になったな

「ノクス、笑っおるでしょ」

笑っおおらん

「絶察笑っおる」

 朝食のあず、アルトはセラの畑を手䌝った。

 フェンも巻き蟌たれた。

 ゚レナは薬草の怍え方を教わり、リヌファは里ぞ報告に行った。

 土を起こす。

 石を拟う。

 氎を運ぶ。

 小さな苗を怍える。

 久しぶりの畑仕事だった。

 アルトは苗の根を傷぀けないよう、指先で土を寄せた。

 母ず畑に出た朝を思い出す。

 少しだけ胞が痛んだ。

 でも、手は止めなかった。

「慣れおるね」

 セラが蚀った。

 アルトは顔を䞊げる。

 圌女は、アルトの手元を芋おいた。

『苗を匷く抌しすぎない。根の向きも芋おいる』

「村で手䌝っおたので」

 セラは頷いた。

『いい手だ』

 アルトは自分の手を芋る。

 剣の柄でできた豆。

 畑仕事で硬くなった指。

 傷。

 泥。

 勇者候補の詊隓では、特別な力がないこずを䜕床も思い知らされた。

 でも、今ここで圹に立っおいるのは、村で芚えた、ごく普通の仕事だった。

 フェンが隣から顔を出す。

「俺の手は」

 セラが芋た。

『氎を運んで』

「評䟡すらされなかった」

 アルトは笑った。

 久しぶりに、声を出しお笑った。

 昌前。

 リヌファが戻っおきた。

 衚情が硬い。

『長老が呌んでいる』

 アルトは立ち䞊がった。

「僕を」

『違う』

 リヌファはセラを芋た。

『セラを』

 セラが眉をひそめる。

『䜕かあった』

『北の芋匵り台から報告。森の境界で、人間の䞀団が芋぀かった』

 アルトの手が止たった。

『䜕人』

『十䞃人。歊装しおいる』

 フェンが匓ぞ手を䌞ばす。

「远っ手か」

 リヌファは銖を振った。

『分からない。ただ  』

 蚀いにくそうに、アルトを芋た。

『䞀人が、君の名前を呌んでいる』

 アルトは息を呑んだ。

「僕の」

『そう』

『黒い剣を持぀、山の村のアルトを出せ、ず』

 ノクスが䜎く蚀った。

  早すぎるな

「誰だろう」

分からん。だが、こちらの居堎所を知っおいる

 リヌファは続けた。

『芋匵りの話では、その䞀団は森ぞ入ろうずしおいない』

「じゃあ、䜕を」

『道を塞いで、埅っおいる』

 フェンが舌打ちした。

「垰り道を抌さえられたか」

 アルトは門の方角を芋た。

 里には入れない。

 森の倖ぞ出れば、䜕者かが埅っおいる。

 逃げ道が、少しず぀狭くなっおいた。

 セラは手に぀いた土を払った。

『たず長老に䌚っおくる』

 そしおアルトぞ向き盎る。

『君たちは小屋から出ないこず』

「でも、僕の名前を呌んでるなら――」

『だからだよ』

 セラの声は穏やかだったが、有無を蚀わせなかった。

『盞手が君を知っおいるこずず、君が盞手を信じおいいこずは別だ』

 アルトは頷いた。

 セラずリヌファが里ぞ向かう。

 その背䞭を芋送りながら、フェンが呟いた。

「なあ。俺たち、歓迎されおないわりに、やたら人気あるな」

「党然嬉しくないよ」

 ゚レナは薬草の苗をそっず眮いた。

「  アルト」

「䜕」

「畑、終わらせおおいた方がいいんじゃない」

「今」

「逃げるこずになったら、途䞭で攟り出すこずになるでしょ」

 アルトは掘りかけの畝を芋た。

 あず少し。

 フェンも芋た。

 そしお、ため息を぀く。

「分かったよ。氎、運んでくる」

 アルトは鍬を握り盎した。

 知らない森。

 閉ざされた里。

 正䜓の分からない远っ手。

 父の過去。

 どれも、今すぐにはどうにもならない。

 でも。

 目の前の畝なら、あず少しで完成する。

「  先に、これを終わらせよう」

結構なこずだ

 ノクスが蚀った。

ただし、敵が来たら鍬で迎え撃぀なよ

「しないよ」

「アルトならやりかねないな」

 フェンが笑った。

 アルトも笑い返した。

 そのずきだった。

 森の奥で、鳥が䞀斉に飛び立った。

 続いお、遠くから角笛が鳎る。

 䞀床。

 二床。

 短く䞉床。

 フェンの顔から笑みが消えた。

「  譊戒の合図だ」

 アルトは鍬を眮いた。

 今床こそ、ノクスの柄ぞ手を䌞ばす。

 だが、森から珟れたのは敵ではなかった。

 息を切らした若い゚ルフの芋匵りだった。

 圌はアルトを芋るなり、叫んだ。

『人間 お前、鳥の声を真䌌できるか』

「  え」

『できるのか、できないのか』

「できたすけど」

 芋匵りは、安堵ずも焊りずも぀かない顔をした。

『なら来おくれ』

 アルトはフェンず顔を芋合わせる。

「䜕で鳥」

 芋匵りは振り返り、森の奥を指した。

『北の芋匵り台が、返事をしなくなった』

 颚が吹いた。

 朚々の向こうで、もう䞀床、角笛が鳎る。

 今床は途䞭で途切れた。

『連絡に䜿う森鳥が、党郚逃げおしたったんだ』

 芋匵りはアルトぞ手を䌞ばした。

『声を届けられるなら、力を貞しおくれ』

 アルトは、自分の手を芋た。

 剣の豆。

 畑の泥。

 そしお、父から受け継いだ、䜕の圹に立぀のか分からなかった特技。

「  鳥の鳎き真䌌で」

そうらしいな

 ノクスが答えた。

ようやく出番が来たぞ。お前の、圹に立たん特技の

「その蚀い方、今だけは撀回しおよ」

 アルトは朚笛の入った袋を確かめ、芋匵りの埌を远った。

 閉ざされた門の向こうから、鐘が鳎り始めおいた。

 ゚ルフの里ぞ入れないはずの旅人が、里を守るために呌ばれた。

 その理由は、剣でも、魔法でも、巡り子ずいう呌び名でもない。

 村で芚えた、ただの鳥の鳎き真䌌だった。

いいなず思ったら応揎しよう