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【明読斎の創作論シリーズ】0-1-4. 創作の核(コア)とは何か


「創作の核」という言葉を考えるとき、自分はまず「その作品を、その作品として成立させている中心は何なのか」と考える。
小説でも漫画でも音楽でも、表面に見えているものは、文章、絵、音、キャラクター、設定などいろいろある。
でも、それらを組み合わせていくときに「なぜ自分はこの作品を作っているのか」という中心がある。
自分にとっては、それが創作の核(コア)に近い。

創作の核は「作品の中心にあるもの」

創作の核は、必ずしもテーマと同じではない。
たとえば「自由と安全」を扱う作品なら、これはテーマとして捉えることができる。
しかし、そのテーマを使って何を考えたいのか、どこに引っかかっているのかまで掘っていくと、

「安全のために自由を手放すことは、本当に正しいのか?」

という「問い」が出てくる。
さらに、その問いをなぜ自分が作品にしたいのかを考えると、作者自身の経験、価値観、違和感、興味、問題意識などが見えてくる。
この、作品を作る動機や思考の中心にあるものが、自分の考える「創作の核(コア)」に近い。

「テーマ」と「問い」と「核」の違い

この三つは似ているけれど、役割が少し違う。


もちろん、これは絶対的な分類ではない。
実際の創作では、テーマから問いが生まれることもあれば、先に問いがあって、そこからテーマが見つかることもある。
そして核も、最初から明確に存在しているとは限らない。
作品を作っている途中で、「自分が本当に書きたかったのはこれだったのか」と気づくこともある。

核(コア)は「答え」とは違う

創作の核を「作者が作品を通して伝えたい答え」と考えることもできる。
ただ、自分の場合は、必ずしも答えである必要はないと思っている。
むしろ、

  • どうしても気になること

  • 何度も考えてしまうこと

  • 簡単には答えが出ないこと

  • 自分の中に残っている違和感

  • 作品にして確かめてみたいこと

こうしたものが核になることがある。
だから、核を持った作品だからといって、最後に明確な答えを提示する必要はない。
「この問いについて、自分なりに物語を作ってみた」
という状態でも、創作として成立する。

自分の創作では「問い」が核になっていることが多い

これまで自分が作ってきた作品を振り返ると、創作の核と「問い」はかなり近い関係にある。
たとえば、
「AIが人間より先に答えを出す世界だったら?」
という問いから、AI、人間、答え、創造性などについて考え始める。
そこから世界観やキャラクター、対立、出来事が生まれていく。
この場合、「AI」そのものが核なのではなく、AIをきっかけにして「人間は何をする存在なのか」といった問題を考え続けることに、創作の中心がある。
その意味では、自分にとって「問い」は創作の核を見つけるための重要な入口になっている。

核があると、作品の選択に軸ができる

創作では、途中でいろいろなアイデアが出てくる。
キャラクターをこうしたほうが面白い。
この設定を追加したほうが派手になる。
この展開のほうが読者を驚かせられる。
そうした選択肢が増えたとき、核があると「この作品に必要なのはどれか」を考えやすくなる。
たとえば拙作の「助け合うことは、殺し合うことよりも難しい」というデスゲームを反転した発想を中心にした作品なら、単純に勝ち残ることだけを目的にした展開よりも、「助け合う」という行為が難しくなる状況をどう作るか、という方向に物語を掘っていける。
核は、作品を縛るルールというより、迷ったときに戻ってこられる中心として働く。

核は制作途中で変わってもいい

ここも自分にとって重要なところ。
創作の最初に考えていた核と、完成した作品の核が同じとは限らない。
作っている途中でキャラクターが勝手に動いたり、設定を掘り下げたり、AIと壁打ちしたり、実際に文章や漫画にしてみたりすると、最初には気づかなかったものが見えてくる。
最初は「こういう話を作りたい」と思っていたのに、完成してみると「実は自分が考えていたのはこっちだった」と分かることもある。
だから、核は最初に完全に決めてしまうものではなく、創作をしながら発見していくものでもあると思う。

AI時代の創作と「核」

AIを使う創作では、この「核」がさらに重要になると自分は感じている。
AIはアイデアを大量に出せるし、文章、画像、音楽など、さまざまな形にすることもできる。
だからこそ、「何を作るか」「どれを選ぶか」「なぜそれを残すのか」という判断が重要になる。
自分の場合、AIにはアイデアを広げてもらったり、壁打ち相手になってもらったり、制作工程を短縮してもらったりする。
しかし、最終的に「これは自分が作りたいものなのか」を判断する中心は自分に置いておきたい。
そう考えると、AI時代の創作者にとって、創作の核とは「AIではなく自分が持っている中心」とも考えられる。

今の自分ではこう考えている

今の自分にとって、創作の核とは、

「その作品をなぜ作りたいのか」という作者自身の興味・違和感・価値観・問題意識などが集まった、作品の中心にあるもの。

というくらいに考えている。
テーマは「何を扱うか」。
問いは「それについて何を考えるか」。
そして核は、「なぜ自分はそれを作品にしたいのか」「この作品の中心に何を置きたいのか」。
この三つは別々のものではなく、互いにつながっている。
自分の場合は特に、
核 → 問い → テーマ → アイデア → 物語
という流れになることもあれば、
アイデア → 問い → 核の発見
という逆方向になることもある。
だから、創作の核を最初から完璧に決める必要はない。
作りながら、「自分は結局、この作品で何を考えたいのだろう」と戻ってみる。
その繰り返しの中で、少しずつ核が見えてくる。
現時点では、自分はそんなふうに「創作の核」を捉えている。

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