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Green yell

    【あらすじ】
    田舎のど真ん中にたたずむ若葉町、最後の卒業生が埋めたタイムカプセルを開けるため、10年後、若葉町出身・在住で農家の娘の実乃里、都会出身・在住の健二、隣町出身で今は都会でミュージシャンとして活動している拓海、学生時代に引っ越して来て今は会社員として街を離れた晴香の4人の仲間たちが、再び若葉町に集まり、それぞれの目に映った景色と、時が経っても変わらないものとは。
    生まれ育った町と好きで選んだ場所。
    地方出身者と移住者、それぞれの想いが重なる時、若葉町に託された、未来への約束が蘇る。
    地方×移住×出身地をテーマに、人と町をエールを繋ぐ、群像劇です。

    【登場人物】
    ・実乃里 24歳(14歳)
        若葉町で生まれ育つ、直彦・久美子の娘

    ・謙二  25歳(15歳)
          都会出身、15歳の春に双葉町へ引っ越して来る。現在は、都会で会社員として働いている

    ・拓海  25歳(15歳)
     隣町出身、小学生の頃に若葉町に引っ越して来る。現在は上京し、ギターで音楽活動をしている

    ・晴香  25歳(15歳)
       田舎出身、小学生の頃に若葉町へ引っ越して来る。現在は、都会で会社員として働きながら書道家として活動を始めた

    ・直彦  
     実乃里の父親、めぐみファームの店主

    ・久美子 
     実乃里の母親

    ・トメ  
     若葉町のおばあちゃん、地域の皆さんとは交流がある

    ・達也  
     旧若葉町中間一貫校の先生、現在は隣町の中学校で教師をしている




    1. ふるさと

    実乃里  ここは、田舎の片隅にある若葉町と言って、むかしむかしご先祖様が何もない大地にぽつりと芽生えた若葉から名付けられたそうです。

    田園風景のど真ん中にあるとある販売店
    開店の準備をしている

    実乃里  「今日もたくさん収穫出来たな〜! 少しでも多くの皆さんに届きますように」
    直彦   「実乃里〜?開店準備できた?」
    実乃里  「出来たよ! … って、もうこんなに時間!今日も元気に頑張るぞー」

    実乃里 シャッターをガラガラと開ける 

    実乃里  私は、実乃里。山に囲まれた自然豊かな場所で生まれ育ち、大学卒業して早1年、今は、実家に戻り、お父さんとお母さんが育てている野菜やお花を育てて、直売所で販売しています。今日も地元のお客さんで賑わい、笑顔が絶えない職場に、今日も1日みんなに笑顔を届けるために、頑張ります!

    実乃里  「お母さん!トメさん来たよ〜!」    
    久美子  「まぁ!今日は早いわね!」

    久美子 階段を駆け降りてくる

    久美子  「実乃里!いつもありがとね」
    実乃里  「今日は3時間くらいにしてよね」
    久美子  「分かってる、分かってる!今日こそは、実乃里との約束守るね」

    実乃里   お父さんとお母さんと共に、店に立ち続け、早数時間、今日も完売し、閉店準備を終わらせて、リビングへと向かいました。

    2. 都会の片隅で


    スーツでオフィス街を歩く謙二
    夕焼けが背中を染めている

    謙二  「やっと金曜日かー、1週間長かったな……そういえば、何か忘れてるような……」

    満員電車に乗り、帰宅する

    謙二  「確か……あの場所にあったような。あっ!あった!」

    クローゼットの中から、1つの封筒を取り出しました。中を取り出して見た後に、スマートフォンを取り出し、電話をかけました。

     「……もしもし、来週の事だけど……」

    3. 再会その1

    門が閉まった小学校の前 晴香が立ち止まっている

    晴香  「みんな、まだ来ないかな? って、集合時間まであと1時間か!そりゃみんな来ないよね? …よく考えるとみんな帰ってくるから状況は同じだと思うけど」

       
    拓海が遠くからギターを背負い、スーツケースを持ってやってくる

    拓海  「はぁはぁ、はるちゃん、久しぶり!元気だった?」
    晴香  「久しぶりじゃないわよ!って動画で見てるからか、ごめん、久しぶりだね!」
    拓海  「はるちゃん!あれから書道教室開いたって聞いたよ!よっ!先生」
    晴香  「教室開くことは叶えたけど、書道家になる夢はまだまだ遠いよ〜!一応、本業はクリエィティブ系会社員だし。拓海は、あれからスカウトは、来たの?」
    拓海  「なかなか来ないんだよね!簡単な世界じゃないことは分かってるけどさ…
    それでも、俺の演奏が好きって言ってくれる人がいるからさ、頑張れるんだよな!」
    晴香  「私、そっちは本気じゃないからね!あくまで、拓海のギターソロの演奏が好きなだけだかからね!」

    謙二が遅れてやってくる

    謙二  「晴香、拓海、久しぶり!急に呼び出しだったけど、来てくれてありがとう」
    拓海  「けんちゃんが言ってくれなかったら、忘れてたよ!」
    晴香  「私も忘れてた!謙二くんは相変わらずそういう予定管理は昔から得意だったね!」
    謙二  「だって、みんなそういう所、ルーズじゃん!特に実乃里とかさ」
    晴香  「みのりんのそういうところが好きなんだよね!拓海はあれだけど……」
    拓海  「俺は違うでしょ!はるちゃんは、しっかり者だからね〜」
    晴香  「もう、いい加減にしてよ〜!」
    謙二  「とりあえず、実乃里ちゃんのところに行こうよ! …事前に伝えてないから、いないかもしれないけど?」
    晴香  「それは、低いんじゃないかな?みのりんは、実家の家業継いでるみたいだし」
    拓海  「確か……みのりちゃんって、農家として自宅で直売所してるんだよね?」
    謙二  「それ、知らないの僕だけ?」
    晴香  「みのりんと連絡取ってないの?てっきり謙二くんのことだから直接聞いてると思ってた」
    拓海  「もしかしてさ、謙二って……」
    謙二  「それ以上はち言わないでよ!とりあえずもうそろそろ行こうか」

    4. 再会 その2

    販売店の中、直彦と久美子が店に立っている

    直彦  「なぁ、久美子?最近、実乃里とても頑張ってるよね?」
    久美子 「そうよね、あなた、実乃里が帰ってきてくれてから、トメさんにも笑顔が戻って本当に良かったよ!」
    直彦  「そう言えばトメさん、この前、美味しいお漬物を漬けたから、今度持ってくるって言ってたよ!」
    久美子 「嬉しいわね!トメさんのことだから、とても楽しみだね」

    謙二・晴香・拓海がめぐみファームを訪れる

    久美子 「いらっしゃいませ〜今日も美味しいお野菜販売してますよ!……晴香ちゃん、謙二くん、拓海くんじゃない?」
    謙二  「ご無沙汰しております、実乃里はいますか?」
    直彦  「畑の方に行ってるから、もう少ししたら帰ってくるよ」
    晴香  「ありがとうございます。ちょっと中見ても良いですか?」
    久美子 「ぜひ、ゆっくり見て行ってね〜」

    拓海  「なんか懐かしいな〜!いつも実乃里から野菜のお裾分けもらってたのがさ、はるちゃんも覚えてる?」
    晴香  「もちろん覚えてるよ!特に、トマトにピーマン、きゅうりとか …夏野菜が美味しかったよ!」
    拓海  「…って、全部夏野菜じゃん!俺もどれも好き」
    直彦  「今年も、美味しい夏野菜が育ったから、また食べてくれると嬉しいね」

    晴香・拓海の話を横目に何かを考え込む謙二

    謙二  「2人とも、ここで待ってて」
    拓海  「ちょっ、ちょっと」
    晴香  「謙二……って、本気出すとこうなるんだから」

       
     謙二 店の外へ走り去る

    5. あの日の面影


     謙二 一本道を走る

    謙二  確か……このあたりだったはずだけど……

         
    道の先の畑に、実乃里の姿が見える

    謙二  あそこだ! ……って、こっちに来てるような気もするけど?


     実乃里 誰かがこちらに向かっているのに気がつく

    実乃里  どこかで、会っているような…

    実乃里 謙二だと気がつき、すれ違う

    謙二  「実乃里……久しぶり」
    実乃里 「謙二くん……どうして連絡くれなかったの…?」
    謙二  「ちょっといろいろあってね」
    実乃里 「心配してたんだよ。野菜送りたくて、何度も何度も連絡したのに、繋がらなくてさ…はるちゃんと謙二に聞いても教えてくれないからさ……。なんで、なんで?」

    実乃里  あれから、3年が経過し、謙二への思いが溢れて、止められなくなっていました。
     …私、謙二のこと…

    一本道の先から、トメさんが自転車に乗って通りがかる。

    トメ  「あれっ!謙二くんと実乃里ちゃんじゃないかい?謙二くん?久しぶりだねぇ〜?」
    謙二  「ご無沙汰しています。トメさんもお元気そうで良かったです」
    トメ  「おかげさまだよ! ……って実乃里ちゃん、どうしたんだい?」

    実乃里 涙を拭う

    実乃里 「トメさん……ごめんなさい」

    実乃里 走り去る

    トメ  「悪いことをしたみたいだね。謙二くん、ほら、こういう時は、そばで寄り添ってあげるべきだよ」
    謙二  「トメさん…また今度、ゆっくり話聞かせてくださいね」

    謙二 走り去る

    トメ   あの頃と何も変わってないね……


    6. それぞれの思い


    実乃里 めぐみファームに辿り着く

    晴香  「みのりん久しぶり! なんで泣いてるの?」
    拓海  「もしかして…何か言われた?」

    実乃里 「…私のことなんて…」
    晴香  「謙二もそんなつもりで言ってないと思うから…」
    実乃里 「ちょっと1人にさせて」


     実乃里 自宅へと入る

        
    同時に、久美子と直彦が店から出てくる

    久美子 「晴香ちゃん、拓海くん、そんな暗い顔してどうしたの?」
    拓海  「実は、謙二が実乃里を困らせたみたいで…」
    直彦  「気にしなくていいよ。落ち込んでも、すぐに忘れるからさ」
    久美子 「そろそろ閉店だから、片付けないとだね。今日はみんなはどこに泊まるんだい?」
    晴香  「拓海の家にお邪魔する予定です」
    久美子 「それは楽しみだね。楽しい夜を過ごしてね」

        
     謙二が走って戻ってきた

    謙二  「はぁはぁ、実乃里は?」
    晴香  「落ち込んで先に帰っちゃったよ」
    謙二  「やっぱりダメかー」
    拓海  「お前、何か言ったんだろ?」
    謙二  「何も言ってないけど…。まぁ、僕が3年も連絡しなかったのがいけなかったんだ」
    晴香  「そりゃ落ち込むよ!みのりんは、謙二から連絡もらえるの楽しみにしてたんだよ!何度も相談受けてたけど、間に入って関わったら良くないって分かってたから、私からは何も言えなかったんだよ」

    その場が静まり返った

    謙二  「晴香、本当にごめん、何も知らずに抱えてたの知らなかった…本当にごめん……」
    拓海  「まぁ、明日になったら状況変わると思うから、今日は一旦落ち着こう」
    晴香  「みのりんのお母さん、お父さん、明日また伺いますね」
    直彦  「3人とも、良い夜を過ごしてね」

    7. 朝日に照らされ

    翌朝、実乃里 ベットの上で寝転んでいる

    実乃里  「ふぁぁ、もうこんな時間か?野菜たちを収穫しに行かないと…」

    支度を済ませて畑へと向かう途中で道の先に謙二を見つける

    実乃里  あれっ、謙二くんだよね?どうしてこんな時間にいるんだろう?

         
     謙二 実乃里を見つけ、こちらに向かってくる

    謙二  「実乃里、おはよう。こんなに朝早くから、畑に来てるんだね?」
    実乃里 「この時間が、1番野菜たちが輝いているんだよね。もう少し遅くても間に合うんだけど、やっぱり急ぐと間違えやすいし、少しでも余裕持ったほうが良いと思うからさ〜! 良かったら一緒に収穫する?」
    謙二  「じゃあ体験させて貰おうかな?」
    実乃里  「早速だけど、トマトをこの籠に入る分だけ収穫してくれる?」
    謙二   「もちろんだよ!」

    謙二    僕は、実乃里から頼まれたトマトを収穫し、あっという間に籠が一杯になり、
    トマトを一つ持ったまま、独り言を呟きました。

    謙二   「僕のこころも、真っ赤に染まっているのかな?」

    実乃里が覗き込む

    実乃里  「それって誰に向けて話してるの?」
    謙二   「いや、話してると言うか……ただの独り言だよ」
    実乃里  「知ってるよ、独り言ってことも、真っ赤に染めたいんでしょ?」

    トメさんが通りがかる

    トメ   「あらっ。朝早くから頑張ってるね」
    実乃里・謙二 「おはようございます。トメさん」
    トメ   「謙二くん、あれから調子はどうだい?」
    謙二   「トメさんのお陰で、良くなりました。あの時の言葉に背中を押されて何とかなりそうです。本当にありがとうございます」
    トメ   「そりゃ、良かった!実乃里ちゃんも、元気そうでなにより、なによりだね」
    実乃里  「ありがとうございます。…そう言えばトメさん、はるちゃんと拓海が久しぶりに会いた いって言ってましたよ!」
    トメ   「そりゃ、嬉しいね〜!今日も買いに行こうな〜?」   
    実乃里  「お待ちしてますね」
    トメ   「……そう言えば、伝えたいことがあったんや!よく聞いてや。思ってることはちゃんと言わないと伝わらないよ。そして、近くにいる大切な人にも感謝を忘れずに接すると見えないものが見えてくるはずだよ」
    実乃里  「トメさん、ありがとうございます。これからも頑張ります」      
    トメ   「これからも応援してるね」
          
    トメ 畑を離れて帰る
    謙二が腕時計を確認する


    謙二   「実乃里、そろそろ行かないと間に合わないんじゃないか?」
    実乃里  「そうだった!とりあえず、そこにあるきゅうりとナスとトマトを持って、戻らないとだね!」
         
    実乃里と謙二 畑をあとにする

    8. いつもの景色

     
    お店の開店準備をする直彦と久美子
    いつもと同じBGMをかけている

    直彦  「なぁ、くみちゃん?次に育てる野菜決めたのか?」
    久美子 「そりゃ、あれでしょ、あれ!」
    直彦・久美子 「大根と人参と白菜!」
    久美子 「やっぱり冬野菜といえば、大根だよね!」
    直彦  「僕は、白菜かな? …って実乃里にも聞かないと決められないよな?」
    久美子 「確かにそうだね!あなた。私たち2人だけの畑ではないからね。そう言えば、お花の方も、何を植えるかも考えないといけないね」
    直彦  「野菜も良いけど、花も大切にしていきたいよね!向日葵とかバンジーとか、定番も良いかもしれないけど、珍しい花栽培にチャレンジするのはどうかな?」
    久美子 「良いね!レアなお花だと、好きな人は迎えてくれそうだからね」

    晴香・拓海が店の外からこちらを見つめている

    晴香  「おはようございます。実乃里は今どこにいますか?」
    久美子 「畑に行ってから、まだ戻ってきてないんだよ。もうそろそろ戻ってくる頃だとおもうんだけど…」
    晴香  「ありがとうございます。店の外で待っても良いですか?」
    直彦  「構わないよ」
    拓海  「お言葉に甘えてそうしますね。いつもありがとうございます」

    晴香と拓海、軒下の日陰で待たせてもらう

    拓海  「なぁ、晴香?謙二と実乃里、今日は大丈夫なんかな?」
    晴香  「あの2人だから大丈夫でしょ。本気で言い合っては仲直りしてるしさ、私たちも同じようなものじゃない?」
    拓海  「同じにされちゃ嫌だけど、俺は、晴香からのまじで本気のメッセージをいつでも待ってるで!」
    晴香  「そんなに言ってほしいの?あんたのこと、そこまで本気じゃないけど…… って、戻ってきたみたいだね」

    実乃里と謙二が戻ってくる

    実乃里 「はるちゃんと拓海、おはよ〜!昨日は、心配かけてごめんね」
    晴香  「全然、気にしてないよ!みのりんが、元気になって本当に良かったよ!」
    拓海  「いつも実乃里のことみんなで心配してるからさ、良かった。野菜、たくさん収穫出来てるね」
    実乃里 「おかげさまだよ!時間や手間暇をかけても、やっぱり美味しい野菜を少しでも届けたいからね。……もうこんな時間か?野菜届けてこないと開店しちゃう!」

    実乃里 野菜の籠を持っていく

    謙二  「晴香、拓海おはよ!朝からビックリさせてごめんな」
    拓海  「謙二のことだから、実乃里のところに行ってるんじゃないかって、晴香が言ってたよ」
    晴香  「昔からずっとみのりんのこと人一倍気にしてるから、行ってるんだろうなって思ってたから今回も、当てたね」
    謙二  「いつも心配させてごめん」
    晴香  「そういうところが、謙二らしいからね」

    実乃里 戻ってくる

    実乃里 「みんな、どうしたの?私は〜元気だよ!」
    拓海  「……健二が、伝えたいことがあんるだって!」
    謙二  「そんな急に言われても……」

    晴香 謙二の背中を押す

    謙二  「ちょっ、ちょっと…このタイミングで勘弁してよ。(一呼吸置く)
    実乃里、僕たちが出会ったこと覚えてるか?」



    9. いつの日かあの場所で

    桜が満開の季節、小学校の校門の前
    中に入れずに立ち止まる

    謙二   10年前、僕は、都会から引っ越してきました。もともとは、実乃里は若葉町で生まれ育ち、晴香と拓海は小学生の頃、僕は、中学2年生で転校してきました。転校初日のとある日のことです。初めての引っ越しと転校に何も分かっていないまま初登校日を迎えました。

    謙二   どうしよう、どうしよう!緊張して中に入れないよ。

    偶然、実乃里が通りがかる

    実乃里 「ねぇ、どうしたの?もう学校空いてるけど……?」
    謙二  「ここ来るの初めてで、どこに行ったらいいかも分からなくて……」
    実乃里 「じゃあ、職員室まで案内するね」

    実乃里と謙二 学校の中へ

    謙二  「……どうして丁寧にしてくれるのですか?」
    実乃里 「困っている人がいたら、助けてあげたいって思うんです。身近な人たちに助けられて、今度は、わたしも力になりたいから、見て見ぬふりなんて出来ないです」

    職員室前に着く

    実乃里  「ここが職員室です。私、寄りたい場所があるので、失礼しますね」
    謙二  「あっ、あの……」

    実乃里 廊下を走り去る

    謙二   ありがとうも言えなかったから、次こそは、伝えることを決め、職員室に入りました。

    実乃里  あれっ、さっきの彼って……転校生来るなんて聞いてないんだけどな〜


    10.教室にて

    実乃里・晴香・拓海が教室で語り合っている

    拓海  「転校生らしき人を見かけたって!本当か?実乃里?」
    実乃里 「直接聞いたわけじゃないけど、学ラン着てて、正門前で困ってたから案内したんだ〜」
    晴香  「確か、先生は転校生なんて一言も言ってなかったけど……もしかして、私たちを驚かせようとしてるのかも?」
    拓海  「まぁ、ホームルーム始まったら分かるんじゃない?」
    晴香  「それもそうだね」

    実乃里  私たちの出身校は、中高一貫校で、この時の生徒は、中学3年生のはるちゃんと拓海くん、そして、中学2年生の私の3人だけでした。そんな中、転校生を見かけたという噂は、瞬く間に2人にも伝わり、ホームルームの時間が楽しみになりました。

    先生(達也)が教室の扉を開けて、中に入る。

    達也 「みんな、おはよう」
    晴香・拓海・実乃里 「おはようございます」
    達也 「今日は、みんなに紹介したい人がいます。自己紹介をお願いします」
    謙二 「みなさん、初めまして、謙二です。中学3年生の15歳です。よろしくお願いします」

    拍手が教室中に鳴り響く

    達也 「じゃあ、みんな順番に自己紹介していこうか。最初は……」
    拓海 「はい!先生からが良いと思います。俺たちも先生のこと、もっと知りたいです」
    晴香 「賛成!先生の自己紹介、聞きたいな〜」
    実乃里「ほらっ、先生!お願いします」
    達也 「しょうがないな〜! ……改めまして、達也です。この学校にやってきて早3年、ついに来年、みんなが旅立ちの時を迎えるっていうのが、少し寂しいけれども、これからも先生として、みんなのことを見守っていきます」
    晴香 「……ちょっと先生、それ自己紹介じゃなくないですか?趣味の話とか、どうして先生になったとか他にも色々ありますよね?」
    達也  「ごめんごめん、つい本音が出てしまったけど、先生よりもみんなの自己紹介の方が大事だから進むね。次は晴香さんお願いします」
    晴香  「改めまして、晴香です。中学3年生の15歳です。私は、幼い時から書道を教わっていて、習字だけは誰にも負けません。学校の中では、ご意見番って言われてます。謙二くん、これからよろしくね」
    達也  「次は、拓海くん、お願いします」
    拓海  「俺は、拓海、15歳で、スポーツが好きで、最近は、ヘディングにハマってるんだ。謙二くんも、今度サッカー付き合ってよ。ぜってー楽しいからさ」
    晴香  「拓海は、グイグイしがちだけど、悪いやつじゃないからね」
    拓海  「何、言ってくれるんだよ!まぁ、いいけど」
    達也  「まぁまぁ2人とも、言い合うのはやめようか。最後は、実乃里さん、お願いします」
    実乃里 「えっと……」
    晴香  「みのりん、遠慮しなくて大丈夫だよ」
    実乃里 「わたしは、実乃里です。14歳の中学2年生です。よろしくお願いします」
    拓海  「みのりんだけ一つ学年が下だけど、この人数だからさ、一緒に勉強してるんだよね」
    実乃里 「本当に、年下のわたしにも優しくしてくれて、みんなに感謝です」
    達也   「これまで通ってきた環境と違うと思うけど、年も近い頼りにできる仲間がいるから、何か分からないことがあったら、気軽に質問するのが良いよ」
    謙二   「先生……ありがとうございます」

    ホームルームが終わり、達也は教室の外へ

    拓海   「改めて、よろしくな!……そういや、なんで呼んだらいいんだろう?」
    謙二   「謙二でいいよ。拓海くん、晴香さん、実乃里さん、よろしくお願いします。
    ……一つ気になってることがあるのですが、聞いてもいいですか?」
    晴香   「もちろん」
    謙二   「この町の皆さんって、仲が良いですね」
    拓海   「少子高齢化っていう影響もあるけど、まちのおじいさんやおばあさんが、俺たちを地域ぐるみで支えてくれてるから、年齢問わず知り合いなんだよね!晴香と俺も引っ越してきた立場だから、なんか気持ちがものすごく分かるんだよな?晴香」
    晴香   「少しづつ若者を増やそうって話にもなってるみたいだよ。だから、仲間が増えて嬉しいよ。みのりんも遠慮しないでいいよ」
    実乃里  「小さい頃は、周りに大人しかいなくて、同世代って人がいなかったから、今は少しづつ仲間が増えていて嬉しいけど……来年……」
    晴香   「それは、考えない方が良いよ、私は絶対にみのりんを1人にしないから!!!」
    謙二   「これからも、もっとこの町のいろんなこと、教えてください!」

    実乃里  それから、謙二くんと仲良くなり、あっという間に1年が過ぎました。この地域に高校や大学がないから、唯一年下のわたしは、みんなが卒業を見送らなければならないことや、これから1年、どうしようかと考えながら日々を過ごしていると、風の噂で、学校が隣の地域と合併し、廃校になることを知りました。

    実乃里  「わたしが最後になるんだ。このまま何百年の歴史を終わらせるのはイヤだ!」
    実乃里  そんなある日、唯一頼れる先生に相談しに行きました。

    静まり返る職員室 ガラガラと扉を開ける

    実乃里  「先生、ちょっと相談したいことがあります」
    達也   「いきなりどうしたのですか?実乃里さん?」
    実乃里  「閉校前に何か出来ませんか?お祭りとか、運動会とか……何が良いか分からないですが」
    達也   「ちょっと無茶な相談だね! ……実は、先日、とある人から同じような相談を受けたんだ」
    実乃里  「そうなんですね……」

    実乃里   それから、先生とは何かやりたい事は、話すことがないまま、あっという間に時間が過ぎていきました。わたしが何かを忘れかけていた時、ふと頭の片隅を駆け巡りました。
          
    『卒業生みんなで、未来の自分にメッセージを残す』

    この町には、ずっと住んでいて卒業生という人がたくさんいるはず。わたしにはこれしかないと思い、早速相談しに行きました。

    達也   「タイムカプセルね?それならどうにかなるかもしれないね……とりあえず相談してみるけど、期待はしないでね」
    実乃里  「ありがとうございます」

    実乃里   あれから数ヶ月、私たちに残された時間はどんどん減っていく。先生には言ったけれども何も進展はなく、これ以上の相談は難しいし、どうしたら良いのだろうか…
    どうすれば良いかも分からず1人で抱えきれなくなりそう……
    そう言えば、今週末、みんなが帰って来るから、これでダメだったら……諦めよう。

    11.言の葉の噂

         
    実乃里の家、みんなが来るのを待っている。
    その時、インターフォンが鳴る。

    晴香   「みのりんおはよ! 久しぶりだね!」
    拓海   「よう!今日も元気か?」
    謙二   「これ、お土産」

    謙二が実乃里にお茶を渡す。

    実乃里  「これ、貰っても良いの?」
    謙二   「気にしなくて大丈夫だよ!みんなの分もあるし」
    実乃里  「ありがとう」

    晴香   「そういえば、みのりん?学校は今、どんな感じなの?」
    実乃里  「まぁ、1人でなんとかやっているというか、何というか…」
    拓海   「…もしかして、何か悩んでるだろ?」
    謙二   「そんな決めつけなくても良いでしょ」
    晴香   「閉校だなんて、信じられないけど、私たちだけでどうにかなることではないからね。そういえば昨日、偶然先生と会ってさ、閉校イベント何かやらせて欲しいって頼んでおいたよ」
    実乃里  「えっ、何で私の悩み知ってるの?」 
     
    ……誰にも話してないはずだけど……

    拓海   「その様子だと、先生に言ったけど保留にされてるんだろ? でも大丈夫だと思うで」
    謙二   「今、通ってる高校で、企画の話が上がっててさ、拓海も晴香も僕もかなり前から知ってたんだ。先生が実乃里に言ってないのはなんでなんだろうね?」
    実乃里  「それなら良かった!本当に無理だって言われるんじゃないかって思ってたよ」

    実乃里  なくなったわけじゃないんだと安堵の気持ちが、寂しさを抱えた心に沁みました。
    もしかして、先生が頑張ってくれたのかもしれない……
    そんな気持ちを抱えたまま、数日後、先生に今の気持ちを伝えました。

    実乃里 「先生、イベントの件、本当にありがとうございます」
    達也  「3人から聞いたのか……ごめんね。何も伝えられてなくて」
    実乃里 「全然構わないです。企画は双葉高校の皆さんがされるのですね?」
    達也  「あの学校は、うちの卒業生が多いからね。僕もとても楽しみだ」

    実乃里  しばらくしてから、開催日時を知らされ、町中は閉校イベントの話題で持ちきりになりました。

    12.秘密

    謙二   閉校イベントのことを知り、出身校のために何かしたいと何度も何度も3人で先生の元に訪れて、やっと偉い人を説得できたと聞いた時、心のどこかで、僕たちがという思いが
    芽生え始めていました。

    謙二   「拓海、晴香?ちょっといい?」
    晴香   「いきなりどうしたのよ!」
    謙二   「イベントの件だけど、僕たちで企画したいって交渉しないか?」
    拓海   「確かに、それは良いね! …というか、絶対やりたい!」
    晴香   「私も賛成!」

    謙二   そんなことを語り合っていたある日、高校内の掲示板に、実行委員募集という張り紙を見かけ、僕たち3人は迷うことなく立候補しました。

    謙二   「まさか、高校内で地方活性化を目的に、公募してるなんて思わなかったよ」
    拓海   「そうだな!しかも、俺たちの母校だし、手を上げない理由が無いんだよな!」
    晴香   「確かに、そうだよね ……にしても何をしたら良いのだろうか?」
    拓海   「うーん?何が良いんだろうか?」
    謙二   「…もしかしたら、実乃里だったら、何かいい案があるかもしれないね」
    晴香   「今度会った時に聞いてみようか?」
    拓海   「そういえば、この前、先生が言ってたんだけど、実乃里が何回かイベントしたいって言ってたらしいけど……」
    晴香   「本当?!みのりんも同じようなこと考えてたんだね。みのりんやったら、手紙とか、タイムカプセルとかそういうの提案してそうじゃない?」
    謙二   「確かに、実乃里だったら言ってそうだね」
    拓海   「メインイベントの1つにもなりそうだね!よし!タイムカプセルは入れよう!」
    晴香   「そうだね!他には……」

    晴香    私たちは、3人で企画を考えて、提案する日々を過ごし、あっという間に数ヶ月が過ぎ、地域の皆様にも告知して準備を進めました。

    実乃里  「タイムカプセルするんだね」
    拓海   「なんか、みんな好きそうだなって思ってさ入れたんだぜ!」
    謙二   「拓海が提案したんじゃないでしょ」
    晴香   「まぁ、そうだけど、誰がっていうのは置いといて、卒業後を含むこの町の多くの方に参加して欲しいから、みのりんもぜひ声かけてね!あと、ポスターも何枚か置いてくね」
    実乃里  「お店に掲示してもらえるように、わたしから伝えるね!」
    拓海   実乃里にポスターを渡し、俺たちは、お店をあとにしました。


    12.イベント当日


    校門前 1人立ち止まる実乃里

    実乃里  「ついに、この日を迎えたのか……」

    学校の中に入る

    拓海   「実乃里〜おはよ」
    晴香   「やっとみのりん来たよ!謙二、あの事伝えなくていいの?」
    謙二   「実乃里、いきなり頼みなんだけど、タイムカプセルを埋めるのをやってくれないか?」
    実乃里  「えっ?わたしで良いの?」
    晴香   「候補はかなり出たんだけど、やっぱり1番最後の卒業生になるみのりんにしてもらった方がいいんじゃないかって話になったんだよね」
    実乃里  「みんなが期待に応えられるように頑張るね!」

    実乃里   この日は、メインイベント以外にも、さまざまな催し物が開催されており、普段使われていない教室が開いていて、黒板には感謝の言葉が書かれていました。

    実乃里  「この教室に入るの、何年振りだろう……」

    実乃里  黒板を見ると、知っているみんなの名前とメッセージが目に入りました。

    謙二・晴香・拓海が学校の廊下を歩いている

    拓海  「みんな楽しんでいるようだね」
    晴香  「一時はどうなるかは、心配だったけど」
    謙二  「ついに、メインイベントの時間になるね。2人とも、よろしくね」
    晴香・拓海 「わかった(わ)」

    晴香 運動場でマイクを持って呼びかける

    晴香   「皆様、お待たせしました。メインイベントのタイムカプセルに入れるものを集めます。緑のTシャツを着ているスタッフに、渡してください」

    拓海   「よし、みんなの分集め終わったよね」
    謙二   「僕たちも入れないとだね」
    晴香   「みのりんもだよ、何を持ってきたの?」
    実乃里  「それは、秘密だよ!」

    実乃里  わたしたちは、タイムカプセルにそれぞれの想いおもいのものを入れ、蓋を閉めました。

    晴香   「それでは、代表の実乃里さん、お願いします」

    実乃里  みんなの思いが詰まったタイムカプセルを、校庭の片隅にある、桜の木のそばに埋めました

    実乃里  「私の思い、いつか芽吹く日を信じて……」

    実乃里  夕日が沈む事、全ての行事が終わり、自宅へと帰宅しました。
    タイムカプセルは10年後に取り出されるらしい。私はどんな生活を送っているのだろうか…


    13.時を超えて


    10年後の現在、公民館(旧学校)の中

    実乃里 2035年春、若葉町の中高一貫校が廃校になってから、ちょうど10年、跡地はそのまま公民館になり、今もこの季節に満開の桜がこの町を包み込んでいます。

    わたしは、大切な今日という日を忘れていました。あんなに楽しみにしていたのに、今となっては懐かしい気持ちよりも、この期間に変わった何かに心が震えているのを感じ始めていました。

    謙二  僕は、なぜか今日を迎えるのが、ずっと楽しみだったけど、実乃里に伝えた数日前のことが、目の奥に焼きついています。楽しみにしていそうな人が1番何かを抱えてるって、あの日の何かが良くなかったのか?そう、自問自答してしまいます。

    晴香  私たちがやったことは良かったのか?みのりんを見つめていると、何が正解なのかも分からなくなってしまいました。

    拓海  そう、あの一言を聞くまでは……


    実乃里 「皆様、お忙しい中、お集まり頂き、ありがとうございます。この学校の最後の卒業生となった実乃里です。ここからは長くなりますが、聞いて頂けると幸いです。

    実乃里 手に持った手紙を開く

    実乃里  わたしは、この地域で生まれ育ち、ずっとこの地域を見てきました。いつも見守ってくれる地域のおじいちゃんやおばあちゃん、皆さんがいるから、ここまで頑張ることが出来ました。最初は、同世代の人が誰もいなくて、寂しさを感じた日もありましたが、学生生活を送る中でこの町にやって来てくれた拓海、晴香、そして謙二がいなければ、力尽きていました。……本当は、みんなのこの学校を守りたかった。わたし1人では何も出来ないけれども、悔しさを抱え、10年を過ごしてきました」

    晴香   「みのりんの本当の気持ち……分かっているふりをしてたんだ」

    実乃里  「今は、みんな都会で暮らしてて、この町のこと忘れてるって思ってました。
    ……本当は違ったんです。離れても色んな人に伝えて知ってもらったから、友人からおすすめ
    されて来ました。という方を何名か見かけて、わたしは嬉しかった。そして少しずつこの町に
    興味を持ってもらえて、移住してくれた方もいる。この町が大好きだから残るのを決めたのは
    間違えじゃなかったんだって……だから、3人にありがとうって伝えたいです」


    一斉に拍手が湧き上がった。
    実乃里 マイクを晴香に渡す

    拓海   「謙二、お前、言いたいことあるんだろ? みんな集まってるんだし、聞いてもらえよ!」
    晴香   「謙二くん、私たちの代表なんだから、ちゃんと想いを伝えてね」

    謙二 晴香からマイクを受け取り、前へ出る

    謙二  「僕は、15歳の時に、この町に引っ越してきました。都会で生まれ育った僕は、田舎暮らしをあまり期待なんてしてなかったんです。逆に慣れないんじゃないか?同級生と仲良くなれるのかもよく分からず、学校へ向かったあの日、校門前で実乃里さんと出会いました。職員室の場所も分からず困っていたところ、声をかけてくれたんです。それから、拓海くんと晴香さんと仲良くなり、この場所は、僕にとっても大切な場所です。みなさんにとっては、6年かもしれないけど、たった1年しか通ってないから、新参者が語っても良いのか分かりませんが、ここで語らせてください。僕はこの町を離れてもふるさとであることに変わりません」

    拍手と歓声が湧き上がる

    トメ  「謙二くんの気持ち、よく伝わったよ。長く住んでいたらさ、旅立つ者、来る人をたくさん見てきたけどさ、こんなにも大切にしてくれる人と出会えてとても嬉しいよ」
    直彦  「実乃里のためにも、もっと多くの子どもたちがこの町に来てくれたら良いのにって情報発信することで、晴香ちゃんがやってきて、拓海くんと謙二くん……同級生というのは少し違うかもしれないけれども、あれから10年経って、離れていても仲良くしてくれて本当に感謝だよ」
    久美子 「みんなのお陰で、私たちの直売所にも多くの方が来てくれて、野菜やお花も多くの方に届けることが出来ているんだよ」
    晴香  「皆さんありがとうございます。みのりんだけこの地域に残って、私も今、Uターンで戻ってくるから、みのりんを1人にさせないからね〜」
    拓海  「実乃里だけに負担かけて本当にごめん。離れていても、何か困ったことがあったら遠慮なんて必要ないからな!俺たちいつでも大切な仲間だからな」
    実乃里 「みんな、ありがとう。これからもこの町を大切にしていこうね」

    実乃里・謙二・拓海・晴香が集まり、それぞれ抱き合う
    校門の外から誰かがやってくる

    達也  「みんな、久しぶりだね」
    拓海  「えっ、たっちゃん先生、来てたんですか?」
    達也  「ええ、ついさっき着きました」
    晴香  「来てくださりありがとうございます。今は、どちらで働かれているのですか?」
    達也  「今は隣町の中学校にいますよ」
    実乃里 「先生が元気そうで良かったです」
    謙二  「一つ気になることがあります。先生って、この町の出身なんですか?」
    達也  「正確に言うと、合ってるけど間違ってる」
    晴香  「どうしてですか?」
    達也  「生まれたのがこの町で、育ちは隣町だから……」

    実乃里と晴香・謙二と拓海が驚きを隠せず、顔を見合わせた

    達也  「だから、相談された日、恩返しだと思って何度反対されても折れずに説得したんだよね〜」
    晴香  「先生も同じ気持ちだったんですね。今になって分かった気がします」
    実乃里 「あの時はわがままばかり言ってすみませんでした」
    達也  「気にしなくていいよ。今は、実乃里さんが、この町を守ってるじゃないですか?」
    実乃里 「そう言って頂き、とても嬉しいです」
    達也  「それよりも、皆さん、メインイベントをお待ちですよ」
    晴香  「そうだった!」

    晴香 マイクで語りかける

    晴香  「皆様、お待たせしました。タイムカプセルを掘り起こしますので、少々お待ちください」

    拓海  「さぁ、俺たちの出番だぜ!」
    謙二  「拓海、張り切りすぎでしょ」

    2人でタイムカプセルを掘り起こす

    晴香  「順番にお渡ししますので、ご協力お願いします」

    みんなに渡し終える

    実乃里 「さぁ、最後はわたしたちの番だね」

    実乃里  タイムカプセルを開けると、中からは、手紙が4通と見頃を迎えた花が入っていました。

    謙二  「確かあの日、みんな手紙入れたんだよな〜」
    晴香  「やっぱり懐かしいな〜、ワクワクしながら書いた気がするよ」
    拓海  「早速開けて見ようぜ!」

    実乃里  早速開けて読んでみると、わたしはとある部分に目が止まりました。

    『今は、仲間となかなか会えないし、なんだかどこか遠くへ行ってしまっているようにも感し
    るけれども、お父さんやお母さん、みんなが近くにいるよ、だから何があっても諦めない
    で、大好きな野菜やお花たち遠く離れていても、見守ってくれているからね』
    本当にわたしが書いた手紙なのか分からなくなっていましたが、間違えなんかじゃなかっ
    たんだ。

    一緒に入れた種が芽吹き花が咲いていて、時の流れを実感しました。

    わたしは一人じゃない
    強く心に感じました。
     

    14.新たな日々へ

    次の日の朝、謙二・晴香・拓海がスーツケースを持って商店を訪れる。

    実乃里  「3日間、本当にありがとうね。また、いつでもこの場所で待ってるね」
    晴香   「私は近いうちに引っ越してくるけど、2人は次は半年後くらいなのかな?」
    健二   「いや、また来月も帰って来ようかな?」
    拓海   「俺は、あっちに帰りたくないわ〜」

    実乃里  笑い声が飛び交う中、とあることを思い出し、奥から持ってきました。

    実乃里  「はいっ。これみんな帰ってからゆっくり食べてね」

    謙二   「いつも美味しいお野菜ありがとうな」
    晴香   「夏野菜たくさん入ってるね」
    拓海   「早く食べたいけど帰りたくない〜」

    実乃里  大切な場所とは誰の心の中にも存在しているものです。身近に感じたり、離れていてもまた訪れたいと思うのは、この地域が大好きだからです。わたしはこの町に愛し愛され、これからも野菜とお花の力を通じて若葉町に貢献していきたいです。

     
     
    線路の先を追いかける 旅する紡ぎ手として活動する 日本全国鉄道全線乗車するほど旅好きな作家です。小説/脚本/作詞  トラベリアプロジェクト クリエイティブ担当 別名義で顔出し活動しています。

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