父の不倫と、母の自殺と、再婚と①

父の不倫を知ったのは、中学生の頃だった。

中学生になった私は「家」や「学校」ということの殆ど全てにうんざりしていた。
父、母、祖母、全員に嫌悪感があり、理想や期待を押し付けられることや、自分が生きていること自体も苦痛で仕方ない。

良い成績を取れば「勉学ができる娘」を過剰に期待されるという確信があり、生半可な成績では彼らは満足しない。
元々私自身の趣味として好きだった勉強は、大嫌いになっていた。
まともに授業を受ける気にもならず、それ以前の家庭環境や、小学生の頃「懐いた奴をヤクザを使って殺す」と父から脅迫を受けていたこともあり、他人との関わりに恐怖を感じ、学校での人間関係もうまく築けない。
次第に学校に通えなくなり、気がつけば不登校になっていた。
そんな私にとって、インターネットの世界が安らぎだった。

自身のパソコンを与えられる前、私は父のパソコンを借りてインターネットをする事が多かった。
その日の夜もパソコンを借りるため、父の背後にいた。
私が画面を見ていることに気づいていたのか、いなかったのか。
父が開いたメールには、概ねこういった文章が書かれていた。

「久しぶりだったけど痛くなかった。
ヌルヌルのおかげかなあ?」

中学生にもなれば、子供であっても性知識は多少なりとあるものだ。
そして私は良くも悪くも、妙な部分で聡い子供であったとも思う。
母はパソコンを扱えなかったし、父と母の仲は非常に悪かった。

そのメールが「母以外の女性からのものであり、父は母以外の女性とローションを使用した性行為に耽っている」ということに私は瞬時に気がついた。

言葉にできない強烈な嫌悪感と吐き気を抱きながら画面を凝視する私に気がついたのか、父は気不味そうな表情で「パソコン貸さんからどっかいってろ」と言った。
傍を離れようとする時、メール画面を開きながらキーボードを叩いていたので、不倫相手へメール返信をしていたのだろう。
どういった内容を返したのかは確認できていない。

私が父の不倫を知ってから暫くして。
母は、車で海に飛び込み、自殺した。

母も、父の不倫に気がついていたのではないかと、当時からずっと思っている。
その不倫相手は、父の再婚相手として、今も生きている。

母は自殺した。
父も再婚相手もまだ、死にもせずに生きている。
恐らく、罪悪感すら抱くことなく、のんきに。

いいなと思ったら応援しよう!