
夕日を求めて
夕日を眺めることが私の日課だ。
雨の日や曇りで太陽が隠れてしまう日はなんだかスッキリしないし、夕日に会えなくて寂しいような悲しいような気持ちになる。
お気に入りの夕日スポットが何個かあるのだけれど、中でも通学路の橋の上から見る夕日は見事で、ひらけた空に広がる鮮やかなグラデーションと、橋の下に広がる街並みの深く青い影。
瓦屋根に反射する魚の鱗のような金色の光たち。
そのまま日が沈んで月が登ると、街中を横切る線路を走る電車の灯りがまるで銀河鉄道のようにみえたりもする。
学生で無くなった今も、その景色が無性に見たくて時折足を向けている。
辛いことがあった日なんかは特に夕日を求めてしまう。
言葉にできないもどかしさも、悔しさも、情けなさも、夕日をじっと瞬きをせずに見つめていると、そのまま脳の奥まで焼かれて全てを忘れられるようなそんな気持ちになる。
涙が滲んで目を開けていられなくなるまで、柔らかな空のグラデーションとピンホールみたいな太陽を見つめる。
全部が歪んでぐちゃぐちゃになっても失われない綺麗な色。
ぐっと目を瞑っても瞼の裏に光が見える。
視界が失われると風や匂いや音を強く感じる。
身体中の熱を攫ってくれる冷たい風。
夕方の少し湿った、これから眠りにつく草花の香り。
車が通り抜ける音、子供たちがはしゃぐ声。
すぅと身体の力が抜けて私が透明になる。
光の眩しさに攫われてしまう。
輪郭がほどけていく。
空のグラデーションに溶けていく。