
「あれっ、ひとりいない」

「あそこで夕方まで遊んでいると、一人必ず消える」
そんな噂というか、都市伝説的な場所がある。
街はずれのT字路で、
壁1枚挟んで、向こう側は開発された都市。
こちら側は、忘れ去られた古い街。
「子供を早く帰らせるための大人の嘘」
だと僕たち子供は思っていた。
レミちゃんが消えるまでは。
ある日、いつもの仲間、
男子3人、女子3人で遊んでいたら、
僕たちの影がびっくりするくらい長く伸びていた。
夕暮れ、空は綺麗な茜色に燃えていた。
「ねえ、そろそろ帰らないとお母さんに怒られちゃう」
女子が口々に言う。
「1、2、3、4、5……」
僕は、仲間を数えた。
「……あれっ、一人いない」
僕と仲間の顔色が、一瞬で真っ青になる。
「どこ? かくれんぼはもう終わりだよ、レミちゃん!」
そう呼んでもレミちゃんの返事がない。
「あれ、見て!」
女子のひとりが叫んで地面を指さした。
ぽつんと、三つ編みをした小さくて細い影が、ゆらゆらと揺れているのが見えた。
「きゃーーーー!」
僕たちは、恐ろしさのあまり、みんなちりじりにその場から逃げた。
それ以降、レミちゃんは行方不明。
僕たちは、もう二度とあの場所で遊ぶことはなかったし、
あの影のことは誰も口にしなかった。
今でも夕暮れ時に自分の影が長く伸びると、
あの細い影が混じっていないか足元を見てしまう。