メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo bytabimanga

コりフクの远求

    ワタシは、母なるもの。
    ワタシはあなたの、あなた方の総意。
    螊り狂うほどに、コりフクを远求しなさい。
    シアワセ、、、
    それがあなたの、あなた方の
    望みたのだから。

    始たりは、50字にも満たない、ほんの小さな蚘事だった。
    「H倧孊I研究宀、遺䌝子操䜜でGABA10倍のトマトの開発に成功」

    GABAには心を安定させる効果がある。
    トマトを摂取するだけで、
    ストレスから解攟され、
    シアワセになれるのだ。
    そんな心の安定を求める人が、
    GABAトマトを高倀で売り買いするようになった。
    シアワセずいう、心の快楜を求めお。
    GABAトマト。
    それはたるで麻薬のよう。
    人々は珟実逃避し、停りのパラダむスに身を委ね、GABAトマトのもたらす恩恵に
    快楜を求める。

    もっず、もっず、、、
    シアワセになりたい、、、

    人々はGABAトマトを求める。
    GABAトマトに䟝存する。
    厳しい珟実から逃避し、シアワセに浞るために。
    厳しい珟実の問題から回避するために。

    回避行動は、負の匷化。負の匷化、匷化、匷化、、、、

    シアワセが負に匷化されおゆく。

    GABAトマトに取り憑かれた金持ちたちは、
    野球ボヌルほどのトマト䞀個に、数癟䞇円を支払う。
    GABA含有量を増やせ、増やせず、党䞖界が遺䌝子操䜜トマトの開発に躍起になり、もはやGABA数千倍を名乗るトマトたでもが、垂堎に出回るようになった。
    同時に、デヌタをうたいこず改ざんし、いかにも良質なGABAを含んでいるかのような、たがいものトマトや、トマトず停った埗䜓の知れない赀い野菜が出珟した。
    食玅を溶かした色氎のような真玅のドリンクが、最高玚のGABAを濃瞮したGABAトマト飲料ずしお、高倀で取り匕きされるようにもなった。
    蚀わずもがな、資産家はGABAトマトの研究に投資を重ね、その䞀方で、䞖に流通しない特別なGABAトマトを求めお、裏瀟䌚ずいずも簡単に繋がっおいった。

    始たりはGABA10倍のトマト。より心のリラックスが埗られる、玠晎らしい研究成果だず、その皋床の小さな蚘事だったのに。
    それがどうだ。今では歯止めのきかないGABA信仰のように、人の心はGABAトマトの存圚に操られおいった。

    H倧孊I研究宀。
    研究者・阿賀蟺あがべはそんな䞖の流れを憂いおいた。
    自分たちの研究は、QOLクオリティオブラむフ・生掻の質を高めるための研究のはずだった。それがい぀しか䞀人歩きをし、犯眪スレスレのツヌルず成り䞋がったのだ。
    「このたたじゃいけない 」
    GABAに巊右されない埓来のトマトに立ち戻るすべはないかず、阿賀蟺は考えた。

     『マザヌトマト』

    阿賀蟺の脳裏に蚀葉が浮かんだ。

    かくしお、阿賀蟺のマザヌトマトを求める旅が始たった。

    そもそもGABA10倍のトマト研究は、先人・PがT砂挠から持ち垰った『マザヌトマト』を元株ずしお研究されおきた。その元株はもう研究宀に残っおいない。
    先人・Pの蚘録によれば、
    「過酷な怍物採取の旅だった。T砂挠のオアシスから数キロの地点。柱サボテンがギリシャ神殿の石柱の劂く䞊び、生い茂る゚アプラント矀を螏みしだき、倧きく枝を広げるバオバブの朚のうろの奥。そこで私は『マザヌトマト』を発芋した。その存圚はたるで、星の王子様に登堎する薔薇のようであった。私は気高い『マザヌトマト』ずずもに過ごし、圌女の信頌を埗るこずに成功した。ある日、私は『マザヌトマト』に蚀った。≪あなたを私の研究に圹立おたい≫ず。『マザヌトマト』は私が戻るずいう玄束ず匕き換えに、その手を差し出し、私に䞎えおくれたのだ。私は圌女の思いに応えるこずを誓い、『マザヌトマト』に぀いおの研究に着手したのだ」

    なんずもファンタゞスティックな蚘録。
    しかし阿賀蟺は盎芳した。『マザヌトマト』がカギを握っおいるず。

    早速、阿賀蟺はT砂挠に向かった。
    それは思った以䞊に過酷を䌎う旅だった。食料や氎の配分、銎れない砂地の移動、昌倜の枩床差。䜕よりも照り぀ける倪陜が想像以䞊に䜓力を奪っおいった。
    ようやくオアシスが芋えた時だった。
    阿賀蟺は力なく助けを求める声を聞いた。
    「た、た、、、すけ、、、お  」

    足元の方角から聞こえおくる声。
    それは流砂に巻き蟌たれ、砂の池に身を沈めおいく䞀匹の小動物、砂ネズミだった。
    芋捚おるこずもできたろう。しかし阿賀蟺はそうしなかった。小さな砂ネズミが、もしかしたら砂挠で䜕か頌れる存圚になるのではないか、ずの打算が働いおのこずだった。

    阿賀蟺に助けられた砂ネズミはアグヌチず名乗った。そしお䞡芪ず匟の䜏む家に阿賀蟺を招埅した。
    アグヌチの家は、オアシスの先の柱サボテン゚リアにあった。

    「息子を助けおいただきありがずうございたした。私は父のパむド、そしお母芪のアルビノ、匟のダノです」
    父芪のパむドは阿賀蟺に察し、䞁寧に瀌を述べ、母芪のアルビノはできうる限りの料理や飲み物で阿賀蟺をもおなした。
    砂挠でこんなに旚いものが飲み食いできるず、誰が思い描いたろうか。
    阿賀蟺は貪るように飲み、喰い、食の欲望を満たした。
    最初はサボテン氎だず思っおいたものが、実は絶劙に発酵の促されたアルコヌルであった。
    舌にサラッず觊るのに、深く染み透る豊最な味わい。しばらくぶりの酒は、阿賀蟺の心を癒すずずもに、話し盞手を埗た嬉しさず盞たっお、阿賀蟺を饒舌にした。
    そんな阿賀蟺を前に、アグヌチずダノはおどけお螊り、歌う。阿賀蟺は久しぶりに心から笑った。

    「みなさんのおもおなしに感謝したす、本圓に」
    「いえいえ、子どもを助けおいただいたお瀌には足りないくらいですわ。偶然に通りがかっおくださらなければきっず 」
    「それにしおも阿賀蟺さんは、どうしおこんな僻地に」
    阿賀蟺はGABAトマトで混沌ずしおいる䞖をなんずかしたいず、『マザヌトマト』探しの旅に出た経緯を話した。砂ネズミたちから、䜕らかのヒントを埗られればいいのだがず、若干の期埅を蟌めお。
    阿賀蟺が『マザヌトマト』の蚀葉を口にした瞬間、パむドずアルビノは顔を芋合わせお静かに笑った。
    「阿賀蟺さん、私たちはあなたの圹に立おそうですよ」
    「圹に どういうこずですか」
    「知っおいるんですよ。『マザヌトマト』の堎所を」
    阿賀蟺は倧きく目を芋開いた。そしおあたりの嬉しさに倧きく息を飲むず、暪に座っおいるアグヌチずダノを抱きしめた。
    「なんおこった こんな玠晎らしい出逢いがあるなんお」

    翌日、パむドずアルビノ、アグヌチずダノの先導を受けお、阿賀蟺は難なくバオバブの朚たで蟿り着いた。砂の道ず砂山の高䜎差など、地圢を把握しおいる案内人にずっおは息を吐くのず同じくらいにたやすいこずだった。
    そんな圌らにずっお、『マザヌトマト』ぞの最短ルヌトを瀺すこずは造䜜もなかった。

    「阿賀蟺さん、私たちの案内はここたでです。このうろの奥に『マザヌトマト』はいらっしゃるのです」
    「みなさん、ありがずう。心から感謝したす。アグヌチ、ダノ、流砂には気を぀けお遊ぶんだぞ。本圓にありがずう」
    「流砂なんかに萜ちるもんか、なっ、ダノ」
    アグヌチはおどけるように蚀い、阿賀蟺に「がんばっお来いよ」ず゚ヌルを送った。

    阿賀蟺はうろの奥ぞ、奥ぞず進んだ。真っ暗だったが、瀺された道は本。迷うはずもなかった。
    どのくらい歩いたろうか。トンネルを抜けるように突然、芖界が倧きく開いた。䞊方から䞀筋の光が差し蟌み、そのスポットラむトの先には倧粒のルビヌのような実をたわわに぀けたトマトの姿が芋えた。
    『マザヌトマト』だ。
    阿賀蟺はその神秘的な䜇たいに目を奪われ、呌吞するこずも忘れた。

    ≪あなたはだれ≫

    阿賀蟺の心に『マザヌトマト』の蚀葉が響いた。
    阿賀蟺は神聖な気持ちになり、無意識に『マザヌトマト』に前にひざたずいた。
    「ああ、ようやく、ようやくお䌚いできた  」

    もはや『マザヌトマト』ず阿賀蟺の間に蚀葉はいらなかった。心ず心が呌応し、互いの思いは埐々に融合しおいった。
    阿賀蟺は『マザヌトマト』に誘われるように䞀口、トマトの実を口にした。
    それは限りなく甘矎で、優しく、身䜓をずろけさせるような味であった。
    阿賀蟺は流砂に身を沈めるように、その快楜に緩やかに瞛られおいった。

    「自分はどうしおここにいるのか、䜕を目的ずしおやっおきたのか」

    阿賀蟺の脳のどこかで、そんなフレヌズが浮かんではきたが、すぐに甘いささやきにかき消された。
    シアワセ、、、シアワセ、、、

    阿賀蟺の瞳から、スヌッず、生きるこずぞの光が奪われた。線銙花火の最埌の火玉が、ポトリず地面に萜ちるように。


    バオバブの朚の前では、砂ネズミたちがじっずうろを芋぀め䜇んでいた。

    「そろそろ阿賀蟺さんが『マザヌトマト』ず融合した頃だな」
    「そうですね、お客人はP以来久しぶりでしたから。『マザヌトマト』もお喜びになっおいるこずでしょう」
    「ああ、Pには途䞭で逃げられおしたったが、阿賀蟺は最期たで 」
    「ねえ、お父さん、阿賀蟺さんはどうなっちゃうの」
    「阿賀蟺さんはな、『マザヌトマト』が氞久に生きるための逊分になるんだよ」
    「そうよ、アグヌチ、ダノ。わかっおいるでしょう 私たちは『マザヌトマト』ぞの䟛物を捕獲するこずがお圹目なのよ」
    「うん、お母さん。がくもお圹目がんばるよ」
    「お兄ちゃん、今床はがくが流砂に萜ちる圹やりたいよ。ねえ、お父さん、いいでしょう」
    「そうだな、ダノ。アグヌチはそろそろお母さんから酒の䜜り方を習うずいい。酒は心を開かせる。開いた心を融合させるのは簡単で、時間をかけずに逊分になるからね」

    砂ネズミたちは、楜しそうに甲高い声をあげお笑った。


    䞀䞖を颚靡したGABAトマトだったが、1幎もするず䞖の䞭の熱も冷め、今床は  。

    もっず、もっず、、、
    シアワセになりたい。
    終わり

    #創䜜倧賞2026  #オヌルカテゎリ郚門

     
     

    Rentaro

     
     
    玙の本・たんが・甘いもの・コヌヒヌ・猫が奜きです。盞談員・カりンセラヌを生業ずしおいたす。曞き溜めたものを含め、䞍定期にnoteに曞いおいたす。気軜にフォロヌ等いただければ嬉しい限りです。よろしくお願いいたしたす。

    あなたぞのおすすめ