Photo by
szkjszdrm
品性という言葉を知らない(第48話)連載小説
SNS社会の生々しさや、主人公の人格のゆがみに迫る現代サスペンス
栗山杏奈は歯科クリニックで働くいわゆるキラキラ女子を演じているが
実は夜職の顔がある
―――さらには2つのSNSで使い分ける顔
恋愛・友達・仕事・家族―――
友達は自分のSNSをいかに彩ってくれるか
男は自分の日常をいかに華やかに楽しませてくれるか
既婚者や彼女持ちの複数の男たちとの関係
杏奈はそういう関係こそが、自分にとって都合のいいものだと思っていた
――しかし
杏奈自身うまくいっていると思っていた
仕事も、人間関係も、男との関係も、
「上から見下ろしていた」はずの世界が少しずつ狂い始めていったある日
2つのSNSで使い分ける顔が少しずつ明るみに出ていく――――
47話はこちら
ひとり旅から帰ってきた杏奈は職場にお土産を買ってきた
普段から職場で疎外感を感じたいた
お土産に誰も手を付けないと
いらだつ杏奈の身に次に起こるのは―――
仕事を終えて自宅のソファに腰かける杏奈。
「はぁぁぁ、温泉の疲れとれないんだけど…歯医者も疲れたし…
全然スマホ見る暇もなかった。
どうなってるかなぁ。見に来てくれてるかな、匠さん♡」
そう言いながらスマートフォンを開く。
「わ!いつもよりコメントもいいねも、いっぱいついてる!」
『素敵~♡』
『ひとり温泉いいですね!』
『この旅館行ってみたい!』
「ほらねー!ふふ…こうゆうコメントできる人は、心も顔も美しいと思うよ!分かる人には分かるんだって!」
さらにスクロールする。
『この人、昨日仏像に抱きついてた人?』
『仏像に抱きつくのはさすがに引く』
『わいせつ物陳列罪にならない?お風呂で足とかいらないよー』
「はいはい!湧いてますね!心も顔もブスたちが!」
さらにスクロールをすると杏奈が小さく声を出した。
「……は?」
『寺の投稿から来ました( ̄ー ̄) 』
『歯科受付って本当に?』
『自分の行ってる歯医者の人だったら嫌だ』
『自分の娘がこんなんだったら泣く』
杏奈の表情が徐々に変わる。怒りの感情が湧いてくる。
「…ったく!…なんなんだよ!」
次に飛び込んできたのは
『この人のX知ってるよ、なかなかの辛辣ちゃん♡』
『XとInstagramの対比えぐいよぉぉぉ(*^^)v』
杏奈は、頭を殴られたような衝撃と、血の気が引いていくのを感じた。
