
宇宙飛行士の作り方 #0 エピローグ
あらすじ
ピアニストの母とロケット開発者の父を持つ響は、幼い頃から宇宙に憧れていた。しかし両親の離婚と、父の事故死をきっかけに夢を封じ込め、母の望むまま音楽大学へ進学する。
ある日、宇宙工学を学ぶ学生との出会いをきっかけに、忘れたはずの宇宙への憧れが再燃。母の反対を押し切って宇宙工学の道へ進み、宇宙飛行士となる。
やがて亡き父が残したロケット計画に関わり、人類初となる異星知的生命体探索ミッションに参加。長い旅の果てに辿り着いた星で、一人の少年と出会う。言葉も文化も異なる二人は、音楽を通じて心を通わせ、やがて特別な絆を育んでいく。しかし、彼らには星を隔てた別れが待っていた――。
エピローグ
1人の方が幸せだと思ってたのは、君を知らなかったからだ。
宇宙港に、輸送船がゆっくりと着陸する。
胸がうるさい。
宇宙飛行士選抜試験の合否発表よりも、初めて異星に降り立ったときよりも、今日が一番緊張している。
少し前まで、星と星の距離は何光年もあった。
今はもう違う。
父さんが夢見た未来は、確かにここにある。
ハッチが開く。
懐かしい制服の人々が降りてくる。
そして。
見慣れた姿を見つけた瞬間、思わず笑ってしまった。
僕を探す仕草が、あの頃と全く変わっていなくて、愛おしくてたまらなくなったからだ。
目が合ったその瞬間、僕に向かって笑顔で駆け寄ってくるところも変わらない。
「まってた?」
懐かしいたどたどしい発音が、僕の目頭を熱くする。
「うん、待ってたよ。」
これは、地球人の僕と、遠い星の君が、宇宙飛行士になるまでのお話。